8月5日と6日にわたって朝日新聞が連載した「慰安婦検証」について、所感を述べます。
今回は、吉田証言の虚偽性、挺身隊を慰安婦と誤用(朝日的表現)したこと等を認めています。
しかし、この問題の本質の一つは「従軍慰安婦」として「官憲による組織的、暴力的な強制連行がなされた」という印象が世界に広がったという点です。
これにより、今でも「日本の官憲によって朝鮮人女性が20万人も強制連行された」というとんでもないイメージが世界に定着しつつあります。
この点について、朝日は「軍の関与」や「慰安所での女性の自由を奪われ、尊厳が傷つけられた」などとして、「強制性はあった」と問題をすり替えつつ、居直っています。
朝日は反省するならば、問題をすり替えるのではなく、「日本政府が20万人もの朝鮮人女性を強制連行した事実はない」ということを、国際社会に説明し、朝日新聞社を上げて、韓国政府やアメリカ政府に直談判し、誤解の払拭に努めるべきでしょう。「従軍慰安婦は虚偽だったキャンペーン」を行うことをお勧めします。私たち日本人の名誉と誇りを傷つけたのですから、日本の信用を取り戻してほしい。それが反省をし、責任を取るということです。
次の重要な点は、「従軍慰安婦」という虚偽の問題が、いつの間にかに「慰安婦」問題にすり替えられ、国際社会での日本における「女性への暴力問題、人権問題」へと変容していったことです。
誤解を恐れずに言いますと、戦争における性の問題は、全世界の各国の課題です。極限のストレスの中で戦っている兵士たちが、現地の民間女性に危害を加えないようにするために、各国はいろいろな対策を行ってきました。対策を怠った国の軍隊は狂暴化し、悲惨な結果を招いています。ですから、戦争という異常時における「影の部分」、もしくは「大人の知恵」のようなものがあるのです。それが慰安所というものの本質です。
ですから慰安所のような施設や、その他の対策は、全世界の国々が行っていることであり(行っていない方が危険とも言えます)、日本だけが糾弾される理由はありません。日本だけが糾弾されるならば、アンフェアです。
さらに批判を恐れずに言うならば、そのような慰安所で働いていた慰安婦たちは、いろいろな事情で働いていましたが、高給取りで、辞めることもできたし、接客拒否もできたと言われています。
その中で、一部の悪い人たちが、女性を騙して慰安婦にするような犯罪行為もありましたが、それは個人の犯罪であり、犯人は日本政府に処罰されています。このようなことは、悲しいかな、現代でも風俗街でのトラブルのように全世界でも発生しています。
ですから、重要なことは、「慰安所において“性奴隷”のような状況があったか」ということになりますが、慰安所全般に対しては「なかった」と言えます。一部に悪意で犯罪的な行為をした人もいましたが、それは個人犯罪です。
言ってしまえば、世界各国は「大人の知恵」として、何らかの対策(慰安所もその一つ)が行われてきました。その中で、犯罪が起きることもあったでしょう。それに対して、良識ある国家は、しっかりと犯罪を取り締まり、犯罪者を裁きます。日本だけではなく、世界中の国々が行ってきたのです。(付言しますと、旧ソ連軍が満州に侵攻した時に、民間人に悲惨な危害を加えたような、糾弾すべき事案が世界にはあります。それはどう裁かれたのでしょうか。朝日は追求しないのでしょうか)
つまり、朝日の今回の論調は、個人の犯罪を、国家の犯罪として肥大化させ、国際社会において「日本は、女性への暴力、人権侵害が著しい国である」という、これまたアンフェアな印象をつくり上げているのです。
朝日新聞の今回の検証は、反省の態度を示しながら、結局は「日本を更におとしめている」という構図になっていると言わざるを得ません。私には、問題をこじらせているように見えるのです。
ですから、本当に反省していないのではないでしょうか。朝日新聞という会社の集合想念の根底にある「日本は悪い国」というイメージを変えない限り、結論は変わらないでしょう。
以上が所感です。反論もあろうかと思いますが、私見として述べさせていただきました。
江夏正敏 (幸福実現党・政調会長)オフィシャルブログ
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