これも遅ればせながらですが
富士重工、トヨタ系列に 苦境のGMが富士重株を売却
(2005年10月 6日 (木) 01:28 asahi.com)
スバル(富士重工)は、元は海軍の零戦と並び称された「隼」 (一式戦闘機)を生み出した中島飛行機の流れを汲む名門です。
現代にもその設計者気質は受け継がれ、水平対抗エンジンと4WD技術へのこだわり、WRC(世界ラリー選手権)に参戦してコンストラクターズ・チャンピオンの常連になるなど、独自の存在感とブランドイメージを持っています。
「レガシィ」はアメリカやヨーロッパでも大人気だそうです。
僕は所有した事はないのですが、チョイ乗りでも独自のテイストを味わう事が出来ますし、現在のモデルのモデルチェンジのサイクルに合えば候補の1台でした。
今回それが「カイゼン」のトヨタ系列に入るということで、独自色が薄まってしまうのではないかというのが心配です(スバルファンの方はもっと心配しているでしょう)
世界の自動車メーカーは資本提携が進んでいて、単独で独立を堅持しているのはBMWとホンダくらいです。
最近ホンダは売れ線のミニバンばかり作っていて「ホンダらしさ」:やたら回ったり燃費もいいエンジンとか、初期のシビックのようなパッケージングの妙や、昔のプレリュードのようなケレンなどの「一筋縄じゃいかないぞ」というホンダらしさが消えているので、スバルにはBMW(後輪駆動・直列6気筒エンジン)の向こうを張ってもらいたいのですが、
企業規模を調べてみたら、直近の決算(連結ベース)で
(単位:百万円)
BMW(04/12) ホンダ(05/3) 富士重工(05/3)
売 上 6,231,736 8,650,105 1,446,491
利 益 312,324 486,197 18,238
(税引後)
と(富士重工の利益は前年比△52%と特殊要因があるのかもしれませんが)規模で圧倒的な差があるんですね。
さすがにこの規模では世界市場での競争を勝ち抜くための技術開発投資負担など難しいものがあったのかもしれません。
※でも、今回のGM株の20%のうち11.3%は富士重工が自社株取得するわけで、それだけ余裕があるのなら、なぜGMの出資を受けたか、また、なぜ今回20%全部を自社株取得をしなかったか、という理由にも興味がわきます。
これからトヨタが8.7%出資してどのような提携をするのかに関心がうつりますが、うまくスバルのブランド・イメージを残して欲しいものです。
その点、GMやフォードは心得ていたようで、GMはドイツのオペル(100%)、スゥェーデンのサーブ(50%)、イタリアのフィアット(20%)にも出資していますが、それぞれプラットフォームやエンジンは共有しながらも、独自のブランドを維持しています。
もっと上手いのがフォードで、100%出資のジャガーやボルボに親会社のイメージを感じさせず、うまくブランドのプレミアム感を維持していると思います。
また、BMWのミニブランドの再生やルノーの日産てこ入れなども含めて、外国(他国)からの資本ということで、「ジャガーの英国テイスト」とか「ボルボのスカンジナビア・デザイン」とかはあまり影響を受けなかったのかもしれませんが、今回日本企業同士の提携というあたりは、ちょっと難しいかもしれませんね。