一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『なぜ上司とは、かくも理不尽なものなのか』

2008-10-04 | 乱読日記
前回紹介した『命令違反が組織を伸ばす』の著者の本。

今回は著者の専門の「組織の経済学」(=行動経済学の理論を組織論に応用するアプローチのことを言うらしい)を使って「ダメ上司」を分析しています。

あとがきによると本書の基本コンセプトは「出張の際、ビジネスマンが東京駅で購入し、大阪駅までに読み終えることができるライト・ビジネス書」だそうで(これは多分扶桑社新書全体に共通するコンセプトのようですが)、たしかにさらっと読めます。

今回のツールは「エージェンシー理論」「取引コスト理論」と「所有権理論」です。
エージェンシー理論は依頼人と代理人(エージェント)の情報の非対称性が代理人
のモラル・ハザードを引き起こす、というエージェンシー問題を代表とする、すべての関係を依頼人と代理人の関係に置き換えて考える理論です(最近の食品偽装などもこれで説明ができますね)。
「取引コスト理論」は前回出ました。
「所有権理論は」財が持つすべての特質についての所有権を明確に帰属させることができないことが「自分のものは大事にするけど他人のものは大事にしない」というような考えや「自分のものでないものを自分のものと勘違いする」ことが資源の非効率な配分につながる、という理論です。(公害は前者の例で、児童虐待は後者の例です。ひょっとするとゴールドマン・サックスがハイレバの投資を始めたのもパートナーシップから上場企業になったことも影響しているのかもしれません)

本書に出てくる例がなるほど多かれ少なかれどこの会社にもありそうなことなので楽しみながら読めます。
確かにコンセプト通りにできてます。

本書を読むことで「ダメ上司」「ダメ組織」の背景にも彼らなりに合理的な理由があることを知れば、単に腹を立てストレスをためるだけでなく、自分に余裕ができ、対策も立てやすくなるのでは、というのが著者の希望でもあります。

対処編は最後のほうに触れているのですが、「受容」「対立」「離脱」とそれぞれどういう状況だとどういう選択が合理的か、という整理をしてくれています。


ただ問題は、今自分が置かれている状況がどこなのかが正確にはわからないことなんですよね・・・
(これは前著の「プロスペクト理論」の参照点の問題ですね)



コメント
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