一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『悩む力』

2008-10-16 | 乱読日記

話題の本ではありますが、紙幅の2/3もある帯を見て、相当売れているんだなと認識を新たにしました。

誰にでも具わっている「悩む力」にこそ、生きる意味への意志が宿っている

ということを夏目漱石とマックス・ウェーバーを手がかりに語っている本です。

「語っている」と書きましたが、姜尚中先生のひとり語り風な文章で、たまに相づちやつっこみを入れて対話風に読み進めることができます。

本書でキーワードの一つにあげられているのが「アテンション(ねぎらいのまなざしを向けること)」。
家族等でなく社会における他者からの承認を与えられることで、社会の中での自分の存在を認められる、ということが、たとえば働くことの動機付けになります。
逆にそれは、他者との関係で悩みを生むことになるのですが、それこそが生きる力になる、といいます。

このあたりは押井守『凡人として生きるということ 』での主張とも通じる部分があります。

手っ取り早い解決を求める姿勢は結果だけを評価することにつながり、ところが人生にはうまく行かないことが多い以上、逆に悩みを増やしてしまうことにつながるということだと思います。
そして評価基準を変えずに結果を出そうするなら、かく乱要因としての他者を排除する方向に向かってしまうのかもしれません。


この本を読んでいて思い出したのがこれ suntory goldのCM(多分70年代)です。登場するのは野坂昭如(若い!)。





みんな悩んで大きくなった、というのは今も同じですが、世の中が複雑になったことで悩む種が増えたということもあるでしょうし。
また、このCMのような声を大にして言える「教養的な悩み」以外の悩みも立派な悩みなんだと力づけてもくれる本です。

コメント
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