題名は軽い感じがしますが、中味はしっかりした良書です。
副題に「社会保障改革の正しい見方・考え方」とあるように、現行の年金や医療保険・介護保険制度と少子高齢化がそれに与える影響、そして最近行われた「改革」の意味について非常にわかりやすく説明しています。
著者の主張をかいつまんで言えば、つぎのようなものです。
少子高齢化の人口構造はこれから出生率が上昇したとしても生まれた子供が保険料を負担できるようになるまで(つまり20年以上後まで)は保険の財政構造には影響はない。そのなかで現在の「賦課方式」(現役世代の保険料を受給者である高齢者への支給の原資とする方式)による年金・保険制度はいずれ破綻する。
賦課方式の下でここ数年「改革」が行われてきたが、これらは社会保障財政の観点からは「負担の引き上げ」か「給付カット」の二種類でしかない。
そしてそれらの効果は一時的でかつ社会保障である以上限界があり、しかも世代間の不公平の解決(または緩和)にはならない。
そして著者は社会保証制度全体を「積立方式」(自分の世代の保険料を自分の世代の支払いに当てる)に移行すべきであるとし、また、現行の賦課方式からの移行は十分可能であると主張します。
説明に使われているモデルもわかりやすく、非常に説得力があります。
ではなぜそうしないのかというと、制度改革は現在の賦課方式で大きなメリットを得ている高齢者には不利になり、政治家にとっては投票率や地方の人口構成から高齢者票は大きな影響力を持つので不人気な政策はとらない、また厚生労働省も各ポストの任期が短いなかで現状の制度を否定するようなことはできない、という構造があります。
そうなると、世代間の不公平を是正するには、若い世代が投票に行かなければ、ということになってしまうのですが、試算で言えばちょうど損得がevenになる世代の僕から見てもちょっとこれはまずいのではないか、と思うレベルの問題の大きさです。
鳩山氏が民主党の代表になり、総選挙も盛り上がってきましたが、年金制度についての議論にも注目したいと思います。
(でも、麻生さんも鳩山さんもおじいさんの配当をずいぶんもらっている人なので、賦課方式による若年層から高齢者への所得移転とか世代間の不公平についてはイメージがわきにくいかな?)
副題に「社会保障改革の正しい見方・考え方」とあるように、現行の年金や医療保険・介護保険制度と少子高齢化がそれに与える影響、そして最近行われた「改革」の意味について非常にわかりやすく説明しています。
著者の主張をかいつまんで言えば、つぎのようなものです。
少子高齢化の人口構造はこれから出生率が上昇したとしても生まれた子供が保険料を負担できるようになるまで(つまり20年以上後まで)は保険の財政構造には影響はない。そのなかで現在の「賦課方式」(現役世代の保険料を受給者である高齢者への支給の原資とする方式)による年金・保険制度はいずれ破綻する。
賦課方式の下でここ数年「改革」が行われてきたが、これらは社会保障財政の観点からは「負担の引き上げ」か「給付カット」の二種類でしかない。
そしてそれらの効果は一時的でかつ社会保障である以上限界があり、しかも世代間の不公平の解決(または緩和)にはならない。
そして著者は社会保証制度全体を「積立方式」(自分の世代の保険料を自分の世代の支払いに当てる)に移行すべきであるとし、また、現行の賦課方式からの移行は十分可能であると主張します。
説明に使われているモデルもわかりやすく、非常に説得力があります。
ではなぜそうしないのかというと、制度改革は現在の賦課方式で大きなメリットを得ている高齢者には不利になり、政治家にとっては投票率や地方の人口構成から高齢者票は大きな影響力を持つので不人気な政策はとらない、また厚生労働省も各ポストの任期が短いなかで現状の制度を否定するようなことはできない、という構造があります。
そうなると、世代間の不公平を是正するには、若い世代が投票に行かなければ、ということになってしまうのですが、試算で言えばちょうど損得がevenになる世代の僕から見てもちょっとこれはまずいのではないか、と思うレベルの問題の大きさです。
鳩山氏が民主党の代表になり、総選挙も盛り上がってきましたが、年金制度についての議論にも注目したいと思います。
(でも、麻生さんも鳩山さんもおじいさんの配当をずいぶんもらっている人なので、賦課方式による若年層から高齢者への所得移転とか世代間の不公平についてはイメージがわきにくいかな?)
![]() |