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自己修復性と耐熱性を両立させた多孔性結晶の合成を開拓

2018-10-11 | 科学・技術
 空気清浄フィルターや浄水フィルターなどは、小さな細孔を持つ物質でできている。これは、細孔よりも大きな異物は排除され、小さな異物は滞留させ、空気や水を綺麗にしている。このような材料は多孔性材料と呼ばれ、家庭用品だけでなく、化学製品の製造現場などに欠かせない重要な工業製品となっている。但し、高温に耐える多孔性結晶は一般に限られており、いかに熱的に丈夫な多孔性材料を作るかが焦点の一つとなっている。
 高温に耐える多孔性材料といえども、化学物質である以上、加熱していくと構造的な歪みが蓄積し、どこかで崩壊する。崩壊したら廃棄するしかない、が一般的な考え方である。
 東京大学化学生命工学専攻博士課程(当時)の山岸洋氏(現:筑波大学数理物質系助教)、相田卓三教授(理化学研究所 創発物性科学研究センター副センター長/東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻)らを中心とした東京大学、理化学研究所、名古屋大学、京都大学の研究グループは、対称性の高い単純な分子を異方的に自己組織化させ、優れた「耐熱性」と「自己修復性」を両立させた多孔性結晶の開拓に成功した。
 多孔性材料としては歴史的にゼオライト(ケイ素やアルミニウムからできた鉱物の一種)や紺青(顔料の一種)が有名である。原料として用いられた分子は、6つの腕を放射状に伸ばした構造を有している。この分子を高極性の有機溶媒(アセトニトリル)中に溶解させると自己集合し、異方的な多孔性結晶を与える。「対称性の高い分子を結晶化させると、同じく対称性の高い単純な構造を与える」というのがこれまでの常識であった。
 しかしながら、この多孔性結晶は202℃ までの高温に耐え、さらなる加熱で崩壊させても、アセトニトリルなどの蒸気にさらしておくと潰れた細孔が自発的に修復する。すなわち、自己修復性と耐熱性が両立する「自己修復性を示す耐熱性の多孔性結晶」の開拓に成功した。
 ◆自己修復性
 一旦崩壊した材料を分子レベルまで分解せずに修復することができる性能の有無のこと。自己修復性を示す多孔性結晶は極めて珍しく、現在知られている限り3例程度で、いずれも耐熱性は本報告の多孔性結晶よりも劣る。
 ◆C.H・・・N 結合
 分子の間に働く極めて微弱な引き合う力を指します。炭素原子につながった水素原子と窒素原子の間に生じる。C.H・・・N 結合が多孔性結晶を与えた例は本研究以前にはなかった。
 ◆クラッシャブルゾーン
 結晶に歪みが生じた際、他の部分に先駆けて壊れる部分。
 孔を作る上でより大事な部分を歪みから守る役割を持つ。本結晶では、C.H・・・N 結合でくみ上げられている孔の天井・床部分が該当する。

 朝から雨。気温は、最高気温20℃以下と、秋だ。
 散歩していたら、塀に絡まった”ヒヨドリジョウゴ”の花を見つけた。実となっているのもある。実は秋に赤い実となり、綺麗だ。
 名(ヒヨドリジョウゴ)の由来には、鵯(ひよどり)がこの果実を好み、食べると酒を飲んだ様になり騒ぐから、との説がある。本当は、特に好んで食べるわけではない様で、冬になっても残っていることが多い。
 全草(特に果実)にソラニン(神経毒、主にナス科の植物に含まれるステロイドアルカロイドの1種)を含むと言われる。因みに、中国では乾燥した全草を漢方薬として用い、生薬名を白毛藤(バイマオテイン)と呼ぶ。
 ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)
 学名:Solanum lyratum
 ナス科ナス属
 蔓性多年生植物
 開花時期は8月~9月
 花は集散花序につき、大きく外に反り返る花冠(かかん)が特徴
 花冠は深く5裂し、色は白色(または紫色)
 果実は球形(径1cm位)の液果(えきか)で、透き通る様な赤に熟す