横浜市立大学学術院医学群微生物学の梁明秀教授、宮川敬講師らの研究グループは、国立感染症研究所、徳島大学、京都大学、愛媛大学などとの共同研究により、エイズの原因となるヒト免疫不全ウイルスが宿主細胞内の防御システムから逃れる分子メカニズムを明らかにした。(平成31年4月23日プレスリリース)
研究グループは、Vpxは細胞内でリン酸化修飾を受けることが知られていたため、これがSAMHD1に対する働きを制御する可能性を考えた。そこでリン酸化修飾に関わる400種類以上の宿主タンパク質群のうち、Vpxと相互作用するものを探索したところ、PIMキナーゼと呼ばれる宿主タンパク質がVpxとよく結合し、特異的にリン酸化することを見いだした。さらに質量分析計を用いて詳しく調べたところ、Vpxの13番目のアミノ酸であるセリンがPIMキナーゼによりリン酸化されることが明らかになった。このセリンを別のアミノ酸に置換すると、Vpxのリン酸化が起きなくなり、ウイルスの増殖が顕著に減少した。また、分子動力学を用いた構造シミュレーションの結果、このセリンのリン酸化はSAMHD1との相互作用を強めることが予測され、生化学実験でそれが実証された。
次に、siRNAを用いてPIMキナーゼの発現を抑制した細胞にHIV-2を感染させたところ、ウイルスの感染は低く抑えられた。この細胞ではVpxが存在するにも関わらず、細胞内のSAMHD1がほとんど分解されておらず、SAMHD1による抗ウイルス活性が持続していたと考えられる。
既知のPIM阻害薬の1つAZD1208を、HIV-2を感染させたマクロファージに添加すると、長期間にわたりウイルスの増殖が抑制された。このことから、AZD1208という既存の抗がん剤に、HIVタンパク質Vpxの機能阻害という作用もあることが明らかとなり、ドラッグリポジショニングによる新規抗ウイルス剤の可能性が示された。
本研究では、宿主PIMキナーゼがVpxのSAMHD1に対する働きを制御するウイルス調節因子であることを明らかにした。また、PIMキナーゼを阻害することにより、HIV-2の複製を効果的に阻止できることを初めて示した。
今後の展開
HIV-2感染維持に重要なウイルス調節因子がPIMキナーゼという酵素の一種であったことから、変異しやすいウイルスタンパク質ではなく、この酵素を標的とすることで、耐性を獲得しにくい新たなエイズ治療法開発への応用が期待できる。PIMキナーゼの標的であるVpxの13番目のセリンは、ウイルスの進化の過程で保存されており、この部位のリン酸化はVpxの機能に必須な領域であると予想される。したがって、PIM阻害剤などを用いてこの部位のリン酸化を阻止することで、現存するすべてのHIV-2の増殖を抑制することが可能であると考えられる。今後は、既存のPIM阻害薬などを用いた動物実験などを行うとともに、Vpxのリン酸化領域を模倣したペプチドや化合物などを探索することで、ウイルス宿主間相互作用を標的とした新しいタイプの治療薬開発へ展開させたいと考えている。
◆後天性免疫不全症候群(AIDS:acquired immunodeficiency syndrome)
エイズ(AIDS)は、HIV(human immunodeficiency virus:ヒト免疫不全ウイルス)感染による。適切な治療が施されないと重篤な全身性免疫不全により日和見感染症や悪性腫瘍を引き起こす。近年、治療薬の開発が飛躍的に進み、早期に服薬治療を受ければ免疫力を落とすことなく、通常の生活を送ることが可能となって来た。しかし、いまだ人類が直面する最も深刻な感染症の一つと言える。
世界中で感染者が3670万人以上と推測されている。地域では、サハラ以南のアフリカの流行(2350万人)が深刻であり、次いで南・東南アジアの感染者数が多い(420万人)。日本には約3万人程の感染患者。
◆感染経路
主な感染経路には、(1)性的接触、(2)母子感染(経胎盤、経産道、経母乳感染)、(3)血液によるもの(輸血、臓器移植、医療事故、麻薬等の静脈注射など)がある。
血液や体液を介して接触が無い限り、日常生活ではHIVに感染する可能性は限りなくゼロに近いといえる。唾液や涙等の分泌液中に含まれるウイルス量は存在したとしても非常に微量で、お風呂やタオルの共用で感染した事例は今のところ報告されていない。HIVは体外に出るとすぐに不活化してしまう程脆弱なウイルスである。
◆用語説明
〇PIMキナーゼ
ヒトが体内で作り出す酵素の一種で、タンパク質にリン酸を付加する機能をもつ。PIMキナーゼは、セリン・スレオニンをリン酸化する酵素で、リンパ性悪性腫瘍を誘発することが知られている。
〇抗HIV因子SAMHD1
ヒトは本来、ウイルスから生体を守るいくつかのタンパク質をもつ。SAMHD1はその一種であり、HIVの侵入後に起こるウイルスゲノムの逆転写過程を強く阻害して感染を抑制する。
今日の天気は曇り、時々晴れ、時々小雨。気温は高くなく、最高気温19℃とか。畑作業は、”ズッキーニ”の受粉作業、”ズッキーニ”と”玉ねぎ”の収穫。
マンション入口のアポローチに、”ドクダミ”の花畑。白い花が満開の様に咲いている・・花が咲くと、初夏か・・今日の気温では、夏はまだまだ。
名(ドクダミ)の由来は、「毒痛み」あるいは「毒ため」からと言われる。湿疹・かぶれには生葉をすり潰したものを貼り付けると良いと言う。
”ドクダミ”は”ゲンノショウコ”・”センブリ”に並んで三大民間薬と言われる程の有名な薬草である。でも最近は民間薬そのものを見る機会がほとんどない。
ドクダミ
別名:毒溜め(どくだめ)、魚腥草(ぎょせいそう)、地獄蕎麦(じごくそば)
十薬・重薬(じゅうやく)
ドクダミ科ドクダミ属
多年草、地下茎を伸ばし増殖し群生する
開花時期は6月~7月
4枚の白い花弁のように見えるが苞(ほう)である、萼(ガク)もない
中心の淡黄色の部分、蕊(しべ)の様に見える部分は花(雌しべと雄しべのみ)
ほとんどが一重の花であるが、八重もある
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研究グループは、Vpxは細胞内でリン酸化修飾を受けることが知られていたため、これがSAMHD1に対する働きを制御する可能性を考えた。そこでリン酸化修飾に関わる400種類以上の宿主タンパク質群のうち、Vpxと相互作用するものを探索したところ、PIMキナーゼと呼ばれる宿主タンパク質がVpxとよく結合し、特異的にリン酸化することを見いだした。さらに質量分析計を用いて詳しく調べたところ、Vpxの13番目のアミノ酸であるセリンがPIMキナーゼによりリン酸化されることが明らかになった。このセリンを別のアミノ酸に置換すると、Vpxのリン酸化が起きなくなり、ウイルスの増殖が顕著に減少した。また、分子動力学を用いた構造シミュレーションの結果、このセリンのリン酸化はSAMHD1との相互作用を強めることが予測され、生化学実験でそれが実証された。
次に、siRNAを用いてPIMキナーゼの発現を抑制した細胞にHIV-2を感染させたところ、ウイルスの感染は低く抑えられた。この細胞ではVpxが存在するにも関わらず、細胞内のSAMHD1がほとんど分解されておらず、SAMHD1による抗ウイルス活性が持続していたと考えられる。
既知のPIM阻害薬の1つAZD1208を、HIV-2を感染させたマクロファージに添加すると、長期間にわたりウイルスの増殖が抑制された。このことから、AZD1208という既存の抗がん剤に、HIVタンパク質Vpxの機能阻害という作用もあることが明らかとなり、ドラッグリポジショニングによる新規抗ウイルス剤の可能性が示された。
本研究では、宿主PIMキナーゼがVpxのSAMHD1に対する働きを制御するウイルス調節因子であることを明らかにした。また、PIMキナーゼを阻害することにより、HIV-2の複製を効果的に阻止できることを初めて示した。
今後の展開
HIV-2感染維持に重要なウイルス調節因子がPIMキナーゼという酵素の一種であったことから、変異しやすいウイルスタンパク質ではなく、この酵素を標的とすることで、耐性を獲得しにくい新たなエイズ治療法開発への応用が期待できる。PIMキナーゼの標的であるVpxの13番目のセリンは、ウイルスの進化の過程で保存されており、この部位のリン酸化はVpxの機能に必須な領域であると予想される。したがって、PIM阻害剤などを用いてこの部位のリン酸化を阻止することで、現存するすべてのHIV-2の増殖を抑制することが可能であると考えられる。今後は、既存のPIM阻害薬などを用いた動物実験などを行うとともに、Vpxのリン酸化領域を模倣したペプチドや化合物などを探索することで、ウイルス宿主間相互作用を標的とした新しいタイプの治療薬開発へ展開させたいと考えている。
◆後天性免疫不全症候群(AIDS:acquired immunodeficiency syndrome)
エイズ(AIDS)は、HIV(human immunodeficiency virus:ヒト免疫不全ウイルス)感染による。適切な治療が施されないと重篤な全身性免疫不全により日和見感染症や悪性腫瘍を引き起こす。近年、治療薬の開発が飛躍的に進み、早期に服薬治療を受ければ免疫力を落とすことなく、通常の生活を送ることが可能となって来た。しかし、いまだ人類が直面する最も深刻な感染症の一つと言える。
世界中で感染者が3670万人以上と推測されている。地域では、サハラ以南のアフリカの流行(2350万人)が深刻であり、次いで南・東南アジアの感染者数が多い(420万人)。日本には約3万人程の感染患者。
◆感染経路
主な感染経路には、(1)性的接触、(2)母子感染(経胎盤、経産道、経母乳感染)、(3)血液によるもの(輸血、臓器移植、医療事故、麻薬等の静脈注射など)がある。
血液や体液を介して接触が無い限り、日常生活ではHIVに感染する可能性は限りなくゼロに近いといえる。唾液や涙等の分泌液中に含まれるウイルス量は存在したとしても非常に微量で、お風呂やタオルの共用で感染した事例は今のところ報告されていない。HIVは体外に出るとすぐに不活化してしまう程脆弱なウイルスである。
◆用語説明
〇PIMキナーゼ
ヒトが体内で作り出す酵素の一種で、タンパク質にリン酸を付加する機能をもつ。PIMキナーゼは、セリン・スレオニンをリン酸化する酵素で、リンパ性悪性腫瘍を誘発することが知られている。
〇抗HIV因子SAMHD1
ヒトは本来、ウイルスから生体を守るいくつかのタンパク質をもつ。SAMHD1はその一種であり、HIVの侵入後に起こるウイルスゲノムの逆転写過程を強く阻害して感染を抑制する。
今日の天気は曇り、時々晴れ、時々小雨。気温は高くなく、最高気温19℃とか。畑作業は、”ズッキーニ”の受粉作業、”ズッキーニ”と”玉ねぎ”の収穫。
マンション入口のアポローチに、”ドクダミ”の花畑。白い花が満開の様に咲いている・・花が咲くと、初夏か・・今日の気温では、夏はまだまだ。
名(ドクダミ)の由来は、「毒痛み」あるいは「毒ため」からと言われる。湿疹・かぶれには生葉をすり潰したものを貼り付けると良いと言う。
”ドクダミ”は”ゲンノショウコ”・”センブリ”に並んで三大民間薬と言われる程の有名な薬草である。でも最近は民間薬そのものを見る機会がほとんどない。
ドクダミ
別名:毒溜め(どくだめ)、魚腥草(ぎょせいそう)、地獄蕎麦(じごくそば)
十薬・重薬(じゅうやく)
ドクダミ科ドクダミ属
多年草、地下茎を伸ばし増殖し群生する
開花時期は6月~7月
4枚の白い花弁のように見えるが苞(ほう)である、萼(ガク)もない
中心の淡黄色の部分、蕊(しべ)の様に見える部分は花(雌しべと雄しべのみ)
ほとんどが一重の花であるが、八重もある
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