北海道大学電子科学研究所の相良剛光助教、玉置信之教授、スイス・フリブール大学アドルフ・メルクレ研究所のクリストフ・ウェダー教授らの研究グループは、伸縮により白色蛍光のON/OFFを瞬時に可逆的に切り替えるゴム材料の開発に成功した。本研究成果は、4月24日公開の「ACS Central Science」誌にオンライン版として掲載された。
力(機械的刺激)を受けて、見た目の色や発光(蛍光)特性変化を示すような材料は、材料の受けるダメージや加えられている力を簡単に可視化・評価できるため、さまざまな形での活用が期待されている。特に最近、主に高分子化学の分野において、機械的刺激を受けて色変化を示す「メカノフォア」と呼ばれる分子骨格が盛んに研究されている。例えば、フォトクロミック色素としても有名なスピロピランは、最初はほとんど無色に近いが、機械的刺激を受ける(導入した高分子鎖を介して引っ張られる)と中央の共有結合が切れてメロシアニンと呼ばれる分子構造に変化し、着色する。しかし、共有結合を切断するには比較的大きな力が必要であり、瞬時にかつリバーシブルに、見た目の色や発光(蛍光)特性を変化させることは、一般には難しいと考えられる。
研究手法
超分子化学の分野で長年研究されてきたロタキサンに着目し、よく知られた青色・緑色・橙色の3種類の蛍光団を用いて、共有結合を切断せずとも蛍光特性が変化する3種の「超分子メカノフォア」を開発した。それぞれのロタキサン型超分子メカノフォアをポリウレタンに導入し、さらに混ぜ合わせることによって、機械的刺激を受けると白色蛍光を瞬時に、かつ可逆的にON/OFFスイッチするゴム材料を開発した。
研究成果
3種類のロタキサン型超分子メカノフォアを合成した。ロタキサンは蛍光団を持つ環状分子、蛍光団からの蛍光を消光するための消光団とストッパー部位を持つ軸分子の2分子で構成される。大きなストッパー部位のおかげで、環状分子は軸分子から遠くに離れることはできない。今回開発したロタキサン型超分子メカノフォアのメカニズムは、まず初期状態では、消光団が環状分子に包接され、消光団と蛍光団が隣接することで蛍光団からの蛍光が消光される。しかし、いったん高分子鎖を介して機械的刺激がメカノフォアに伝達されると、環状分子がスライドして消光団から離れ、蛍光団からの強い蛍光が観察されるようになる。共有結合を切断しているわけではないため、加えられている機械的刺激をなくすと、すぐに蛍光団が消光団の近くに戻り、蛍光は再び消光される。
今回の研究では導入する蛍光団として、拡張されたピレンやアントラセン、そしてレーザー色素としてよく知られているDCM色素を用いた。これらの蛍光団は、365nmの励起光照射下、強い青色蛍光、緑色蛍光、橙色蛍光(周囲の環境に依存して赤色蛍光にもなる)を示す。ロタキサンを形成すると、溶液中では蛍光団からの蛍光が消光団によって完全に消光されることが明らかとなった。それぞれの超分子メカノフォアをポリウレタンに共有結合を介して導入し、溶媒キャスト法によりゴム特性を持つフィルムを作製した。得られたフィルムは伸縮により瞬時、かつ可逆的に蛍光をON/OFFスイッチすることが分かった。これにより、蛍光団を単純に変更することで、機械的刺激に応答してスイッチする蛍光の色を簡単に変更できることが実証された。さらに、得られた3種類のポリウレタンを質量比で8:16:5の割合で混ぜることにより、白色蛍光をON/OFFスイッチするゴム材料の開発に成功した。フィルムを延伸することにより、青色、緑色、橙色の発光強度が上昇していることがスペクトル測定により明らかとなった。これまでに白色発光を示す有機材料は多数報告されているが、機械的刺激で白色蛍光をON/OFFスイッチする材料は今回のゴム材料が初めての例となる。
用語解説
〇フォトクロミック色素
光を吸収することで分子構造が変化し、吸収色や蛍光特性が変化する色素のこと。
〇ロタキサン
輪っかのような環状分子と棒のような軸分子からなるインターロック分子(いくつかの部品が機械的に組み合わされた分子)の1つ。環状分子と軸分子は共有結合で連結されているわけではないが、軸分子に導入された大きなストッパー構造により軸から離れることができない。
〇溶媒キャスト法
合成した高分子を溶ける溶媒に溶かして溶液としたのち、適切な基板や容器の上に滴下し、溶媒を自然に留去することでフィルムを得る方法のこと。
今日の天気は、雲多いが晴れ。早朝の畑作業は、”ズッキーニ”に受粉作業と”トウモロコシ”の種播き準備。
道沿いの空き地?お庭に紫色の花が咲いていた。”リンドウ”かなと思って寄って見たが、”リンドウ”ではない。お家の方に聞いたら、分からないと言う。
調べたら、濃紫色の筒状の花が、まっすぐ伸びた茎の上部に”リンドウ”のように集まって咲く”リンドウザキカンパニュラ”の様だ(確信はない)。
別名に、リンドウに似て先端の5裂した紫色の鐘形花が集まり咲く”ヤツシロソウ:八代草”とあるが、開花期が秋、なのでこれと異なる・・と思う。
リンドウザキカンパニュラ(竜胆咲きカンパニュラ)
英名:Clustered bellflower
学名:Campanula glomerata
キキョウ科カンパニュラ属(ホタルブクロ属)
多年草 (宿根草)
原産地:ヨーロッパ中北部~シベリアに分布
開花時期は5月~7月
花は茎頂または葉腋に1個つくが、総状・穂状あるいは円錐状の花序をなしてつく
力(機械的刺激)を受けて、見た目の色や発光(蛍光)特性変化を示すような材料は、材料の受けるダメージや加えられている力を簡単に可視化・評価できるため、さまざまな形での活用が期待されている。特に最近、主に高分子化学の分野において、機械的刺激を受けて色変化を示す「メカノフォア」と呼ばれる分子骨格が盛んに研究されている。例えば、フォトクロミック色素としても有名なスピロピランは、最初はほとんど無色に近いが、機械的刺激を受ける(導入した高分子鎖を介して引っ張られる)と中央の共有結合が切れてメロシアニンと呼ばれる分子構造に変化し、着色する。しかし、共有結合を切断するには比較的大きな力が必要であり、瞬時にかつリバーシブルに、見た目の色や発光(蛍光)特性を変化させることは、一般には難しいと考えられる。
研究手法
超分子化学の分野で長年研究されてきたロタキサンに着目し、よく知られた青色・緑色・橙色の3種類の蛍光団を用いて、共有結合を切断せずとも蛍光特性が変化する3種の「超分子メカノフォア」を開発した。それぞれのロタキサン型超分子メカノフォアをポリウレタンに導入し、さらに混ぜ合わせることによって、機械的刺激を受けると白色蛍光を瞬時に、かつ可逆的にON/OFFスイッチするゴム材料を開発した。
研究成果
3種類のロタキサン型超分子メカノフォアを合成した。ロタキサンは蛍光団を持つ環状分子、蛍光団からの蛍光を消光するための消光団とストッパー部位を持つ軸分子の2分子で構成される。大きなストッパー部位のおかげで、環状分子は軸分子から遠くに離れることはできない。今回開発したロタキサン型超分子メカノフォアのメカニズムは、まず初期状態では、消光団が環状分子に包接され、消光団と蛍光団が隣接することで蛍光団からの蛍光が消光される。しかし、いったん高分子鎖を介して機械的刺激がメカノフォアに伝達されると、環状分子がスライドして消光団から離れ、蛍光団からの強い蛍光が観察されるようになる。共有結合を切断しているわけではないため、加えられている機械的刺激をなくすと、すぐに蛍光団が消光団の近くに戻り、蛍光は再び消光される。
今回の研究では導入する蛍光団として、拡張されたピレンやアントラセン、そしてレーザー色素としてよく知られているDCM色素を用いた。これらの蛍光団は、365nmの励起光照射下、強い青色蛍光、緑色蛍光、橙色蛍光(周囲の環境に依存して赤色蛍光にもなる)を示す。ロタキサンを形成すると、溶液中では蛍光団からの蛍光が消光団によって完全に消光されることが明らかとなった。それぞれの超分子メカノフォアをポリウレタンに共有結合を介して導入し、溶媒キャスト法によりゴム特性を持つフィルムを作製した。得られたフィルムは伸縮により瞬時、かつ可逆的に蛍光をON/OFFスイッチすることが分かった。これにより、蛍光団を単純に変更することで、機械的刺激に応答してスイッチする蛍光の色を簡単に変更できることが実証された。さらに、得られた3種類のポリウレタンを質量比で8:16:5の割合で混ぜることにより、白色蛍光をON/OFFスイッチするゴム材料の開発に成功した。フィルムを延伸することにより、青色、緑色、橙色の発光強度が上昇していることがスペクトル測定により明らかとなった。これまでに白色発光を示す有機材料は多数報告されているが、機械的刺激で白色蛍光をON/OFFスイッチする材料は今回のゴム材料が初めての例となる。
用語解説
〇フォトクロミック色素
光を吸収することで分子構造が変化し、吸収色や蛍光特性が変化する色素のこと。
〇ロタキサン
輪っかのような環状分子と棒のような軸分子からなるインターロック分子(いくつかの部品が機械的に組み合わされた分子)の1つ。環状分子と軸分子は共有結合で連結されているわけではないが、軸分子に導入された大きなストッパー構造により軸から離れることができない。
〇溶媒キャスト法
合成した高分子を溶ける溶媒に溶かして溶液としたのち、適切な基板や容器の上に滴下し、溶媒を自然に留去することでフィルムを得る方法のこと。
今日の天気は、雲多いが晴れ。早朝の畑作業は、”ズッキーニ”に受粉作業と”トウモロコシ”の種播き準備。
道沿いの空き地?お庭に紫色の花が咲いていた。”リンドウ”かなと思って寄って見たが、”リンドウ”ではない。お家の方に聞いたら、分からないと言う。
調べたら、濃紫色の筒状の花が、まっすぐ伸びた茎の上部に”リンドウ”のように集まって咲く”リンドウザキカンパニュラ”の様だ(確信はない)。
別名に、リンドウに似て先端の5裂した紫色の鐘形花が集まり咲く”ヤツシロソウ:八代草”とあるが、開花期が秋、なのでこれと異なる・・と思う。
リンドウザキカンパニュラ(竜胆咲きカンパニュラ)
英名:Clustered bellflower
学名:Campanula glomerata
キキョウ科カンパニュラ属(ホタルブクロ属)
多年草 (宿根草)
原産地:ヨーロッパ中北部~シベリアに分布
開花時期は5月~7月
花は茎頂または葉腋に1個つくが、総状・穂状あるいは円錐状の花序をなしてつく