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あらゆる光を吸収し、耐久性にも優れた、究極の暗黒シートを開発

2019-05-13 | 科学・技術
 産業技術総合研究所物理計測標準研究部門応用放射計測研究グループ雨宮邦招研究グループ長、井邊真俊研究員、光放射標準研究グループ蔀洋司研究グループ長と、量子科学技術研究開発機構量子ビーム科学研究部門高崎量子応用研究所越川博主任研究員、八巻徹也上席研究員は、微細な表面構造であらゆる光を吸収する、究極の暗黒シートを開発した。
 表面を黒色化した材料、特に乱反射防止用には、100%に近い光吸収率の材料が求められる。しかし、99%以上の光を吸収する従来の材料は耐久性に乏しく、一般環境での利用が困難だった。今回、シリコーンゴムなどの表面に、あらゆる光をとらえて逃がさない光閉じ込め構造を形成することで、柔軟で耐久性にも優れた究極の暗黒シートを製造する技術の開発に成功した。ポイントとなる光閉じ込め構造は、サイクロトロン加速器からのイオンビームの照射と化学エッチングにより、ポリマー表面に微細な円錐状の空洞構造を多数形成することで実現した。これを原盤としてシリコーンゴムに転写作製した暗黒シートは、紫外線~可視光~赤外線の全域で99.5%以上の光を吸収し、特に熱赤外線に対しては99.9%以上という世界最高レベルの光吸収率を達成した。これまでにない美しい黒が映える新素材としての活用や、映像のコントラスト向上のほか、サーモグラフィーなどでの熱赤外線の乱反射防止といった応用も期待される。
 研究の内容
 素材表面の微細な円錐状空洞構造に光が閉じ込められる原理。
 微細な空洞に光が入射すると、壁面で何度も反射を繰り返して、最終的に正味の反射率がゼロ近くまで低減するので光吸収率は100%近くなる。この原理は、いわゆる空洞黒体と同じである。微細空洞構造により、100%近い光吸収率を達成するには、空洞壁面の傾斜を急峻にしつつ、その表面はナノメートルレベルで滑らかにし、円錐状空洞構造のエッジは十分に鋭くする必要がある。また、紫外線~可視光~赤外線の全てを吸収させるには、空洞の深さは最大波長以上の数十マイクロメートル程度にする必要もある。
 こうした超精密な空洞構造は、通常の微細加工技術(リソグラフィーや超精密機械加工など)では作製できない。今回は、サイクロトロン加速器からのイオンビームを用いて、この難しい構造を作製した。これは、樹脂材料基板にイオンビームを照射して、高分子切断の痕跡を生じさせ、続く化学エッチングでその痕跡を円錐孔に拡大形成する技術である。エッチング処理後でも極めて表面粗さの小さい加工面が得られる、均質で非晶質性の樹脂(CR-39樹脂)を基板に用いることで、設計通りの精巧な微細空洞構造を実現できた。しかしCR-39樹脂素材は元々無色透明であり、そのままでは黒色素材とはならない。また、別の素材に同じ加工を直接高精度に施すのは難しい。
 そこで、別の黒色材料に拡張して暗黒シートを作成するために、微細空洞構造を転写する方法を開発した。今回、微細空洞構造を作製したCR-39樹脂基板を原盤として利用し、カーボンブラックを混錬したシリコーンゴムの表面に微細構造を転写することで、紫外線~可視光~赤外線のあらゆる光を99.5%以上も吸収することが確認でき、「究極の暗黒シート」を作成できることが示せた。特に熱赤外線の波長域では、世界最高水準となる99.9%以上の光吸収率が得られた。
 この暗黒シートはシリコーンゴムの柔軟性を保っており、曲げても触っても、粘着テープを貼りつけて剥がしても、性能が劣化せず、高い光吸収率を維持できる。このように、耐久性と、極めて高い光吸収率を併せ持つ黒色素材は世界初である。暗黒シートは原盤から繰り返し作製できるため、量産性もよい。また、他の素材への拡張性の高さも示すことができた。美しい黒が映える新素材として、例えば高級感ある黒の演出や、黒が沈む高鮮明映像への貢献のほか、サーモグラフィーでの熱赤外線の乱反射の防止など、一般環境での幅広い応用が期待される。
 今後の予定
 今後は、可視光に対しても99.9%以上の光吸収率を目指す。また、広く一般用途に使用できるよう、実用化のための研究開発を進める。
 ◆用語説明
 〇サイクロトロン加速器
 加速器は、イオンや電子などの荷電粒子を電磁気の力で加速する装置。サイクロトロンは、小型の加速器では得られない高いエネルギーにまでイオンを加速できる大型装置である。高エネルギーのイオンビームは、照射試料の奥深く(100μm以上)にまで打ち込むことができる。
 〇熱赤外線
 あらゆる物体は、その温度に応じた光を放出している。常温域では主に赤外線を、高温になると主に可視光を放出する(例:赤熱)。常温域で主に放出される波長帯(8μm-15μm)の赤外線を特に熱赤外線と呼ぶ。
 〇サーモグラフィー
 物体の温度に応じて放出される光を画像として撮影する装置。常温に近い温度で用いるものは、熱赤外線カメラ素子が備えられていて、空港での発熱者検知、自動車用の夜間カメラ(歩行者検知)、建物の断熱診断、機器の異常発熱の検査などにも用いられている。
 〇空洞黒体
 あらゆる光を完全に吸収する理想的な物体である黒体は、現実には存在しないので、大きな中空の空洞に小さな穴を設けて、模擬的に黒体を実現したものを空洞黒体と呼ぶ。小さな穴から空洞に入った光は内部で繰り返し反射していくうちに吸収されて減衰し、再び小さな穴から出ていく確率は非常に小さくなる。
 〇リソグラフィー
 微細加工技術の総称。光を用いてパターンを形成するフォトリソグラフィー、加速した電子で描画する電子線リソグラフィー、X線を用いるX線リソグラフィーなどがある。
 〇超精密機械加工
 微小なダイヤモンド工具を精密に制御して、材料を機械的に切削加工する方法。
 〇CR-39樹脂
 アリルジグリコールカーボネイトからなる3次元網目構造の熱硬化性ポリマー。透明度が高く、光学特性がよいため、工業的にはメガネのレンズとして用いられている。高品質のCR-39樹脂は、一様等方性、均質性、非晶質性に優れ、放射線感受性が高い(放射線損傷を受けやすい)。このため、イオンビームや荷電粒子線の暴露で生じた損傷痕跡が化学エッチングにより明瞭な円錐状の穴となり、容易に計数できるので、アルファ線や中性子線といった放射線のモニタリングにも用いられる。
 〇カーボンブラック
 炭素の微粒子。油やガスを不完全燃焼させるか、炭化水素を熱分解すると得られる。いわゆる煤(すす)もカーボンブラックの一種。黒色顔料として着色に広く用いられるほか、ゴムに混ぜると強度が増すので、タイヤゴムにも使用される。

 天気は晴れ。風が少しあり、少し冷たい。早朝の畑作業は、水運び・・雨が降らない、種に水を!。
 散歩道横の小さな傾斜地で、”フユシラズ”が群生し、花が咲いている。冷たい風や雪にも負けずに咲き、真冬でも次々と花をつけるので、名は”フユシラズ”。
 ”フユシラズ”はキンセンカ(金盞花)より古い時代に渡来したと言われ、ホンキンセンカ(本金盞花)とも呼ばれる。キンセンカ(金盞花)と同属で、キンセンカよりも小さい黄色の花を付け、ヒメキンセンカとも呼ばれる。
 フユシラズ(冬知らず)
 別名:姫金盞花(ひめきんせんか)、本金盞花(ほんきんせんか)
 学名:Calendula arvensis
 キク科カレンデュラ属
 一年草(秋~翌春の越年性)
 原産地は地中海沿岸、10世紀頃の渡来と推測される
 開花時期は11月~5月
 花は径2cm位、花色は橙・黄色
  花の大きさは、キンセンカ(金盞花)2周り程小さくした感じ
 花は日が当ると開き、夜は花を閉じる


ガラスなどの表面が曇るのを防ぐコーティング技術を開発

2019-05-12 | 科学・技術
 スイス連邦工科大学の研究グループはガラスなどの表面が曇るのを防ぐコーティング技術を開発した。光を吸収して熱に変換し、曇りを素早く除去できる。耐久性が高く効果を長期間保つ特色もあると言う。
 眼鏡やカメラレンズ、自動車のガラスなどの表面に金の微粒子を含んだ酸化チタンを数ナノ(ナノは10億分の1)メートルの薄さで被覆した。赤外線を吸収して表面の温度をセ氏3~4度高める働きがある。急激な温度の低下や湿度の向上によって発生した曇りを取り除く。透明性は変化しない。
 水とよくなじんで水滴を作らせずに曇り止め効果のある酸化チタンだけのコーティングよりも効果は高いとみている。企業と協力して製品化を検討していく。
 ◆防曇(ぼうどん)
 防曇とは、曇りを防ぐ技術・機能であり、視界確保が重要な、建材・車両・浴室などに用いられるガラス類や、レンズ・メガネなどの透明材料、 また、鏡などの反射材料に活用されている。
 曇りは、固体の表面に空気中の水蒸気が冷却して凝縮し「結露」が発生し、その微妙な水滴で光が散乱して発生する。表面の組成や傷、汚れなどにより水滴の生成条件は異なる。
 防曇技術として、材料表面の親水・撥水処理などがあり、材料表面が曇らないよう様々な防曇技術が開発されている。
 防曇の方法
 1、材料表面に水滴を付着させない(結露させない)
  材料表面の除湿、周辺空気や材料そのものを加熱
 2、材料表面に付着した水滴を除去する
  超撥水表面を成膜することで水滴が大きく成長し、その自重により除去する
 3、材料表面を水膜にして光の散乱を低減する
  超親水表面を成膜することで、水滴が生成される前に水膜化する

 天気は晴れ、雲がとても少なく、天に青空が広がる。風がやや強く、少し冷たい。今日の畑作業は、カキナの整理。
 垣根を飾る様に小さな黄色の花が咲いている。八重のモッコウバラ(木香薔薇)だ。バラと言っても刺(とげ)のないバラ(薔薇)だ。
 一般的に”モッコウバラ”と言うと、この淡黄色の八重咲(ロサ・バンクシア・ルテア)との事。花姿には一重咲と八重咲があり、花色にも淡黄色と白色がある。黄色の八重には香りが少ないが、一重の黄花や白花に芳香がある。白花は黄花より少し遅れて咲き、花の数は少ない。
 因みに、このモッコウバラ(木香茨)は、秋篠宮家眞子内親王のお印である。
 モッコウバラ(木香茨、木香薔薇)
 バラ科バラ属(トゲがない)
 常緑つる性低木
 丈は0.5m~7m
 開花時期は4月~5月
 花色は淡黄色と白色、一重・八重咲きがある
 花径は3cm位


光をあてるとタンパク質を作り出すことができる人工細胞の作製に成功

2019-05-11 | 科学・技術
 東京工業大学地球生命研究所の車兪澈(くるま ゆうてつ)特任准教授と東京大学大学院新領域創成科学研究科の博士課程大学院生Samuel Berhanu(サミュエル・ベルハヌ)、上田卓也教授は、光をあてるとタンパク質を作り出すことができる人工細胞の作製に成功した。
 人工細胞は、脂質膜の中でDNAからタンパク質を合成する擬似的な細胞である。これは、非生物である物質や遺伝情報から、生命現象が創発する過程を再現できるとして期待されている。しかし、これらの反応は、あらかじめ供給したエネルギー源を消費して反応を行うだけのもので、実際の細胞のようにエネルギー源であるATP自体を生産することはできなかった。
 研究グループは今回、光をあてるとATPを生産する植物の葉緑体のような細胞小器官を人工的に作製し、これを人工細胞に組み入れることで、光エネルギーからタンパク質を合成することに成功した。さらにこの方法を用いて細胞小器官を構成している膜タンパク質を合成できた。より生物に近い、エネルギー的に自立した人工細胞の実現に道が拓けた。
 研究成果
 人間が生活で電気を消費して生きているように、細胞もATPと呼ばれるエネルギー源を消費して生きている。ATPは通常呼吸や光合成により細胞内で生産される。
 車特任准教授らは、光エネルギーを利用してATPを生産する、直径約100~200 nm(nmは、1 mmの100万分の1)の人工細胞小器官を生み出した。
 光照射により生産したATPを遺伝情報伝達分子(mRNA)の材料として、または翻訳のエネルギーとして消費することで、DNAからタンパク質を合成する人工細胞を作製した。これにより、光という物理的なエネルギーを、情報伝達分子や機能性高分子に変換することが人工細胞系で可能になった。さらに反応産物として人工細胞小器官の部品となるタンパク質を合成することで、実際の生物と同じ様に自身のパーツを生み出すことに成功した。
 研究の経緯
 細胞内のATPは主に細胞膜、またはミトコンドリア内膜に存在するATP合成酵素によって合成される。ATP合成酵素が働くためには、あらかじめ膜内外のプロトン濃度勾配を形成する必要があり、これが直接のエネルギーとなる。プロトン濃度勾配は通常、呼吸や光合成による電子伝達系を経て形成される。
 研究グループは、好塩菌から単離したバクテリオロドプシン(bR)が光エネルギーからプロトン濃度勾配を形成することに着目し、bRとATP合成酵素を組み合わせることで、光によってATPを合成する人工細胞小器官を作製した。直径数百nmほどのこの人工細胞小器官を、細胞と同じくらいのサイズの大きな膜小胞(GUV)に閉じ込めて光を当てたところ、実際の細胞内と同じレベルのATPを人工膜の中に合成することができた。
 具体的には、光合成したATPからmRNAを合成し、翻訳と合わせることでGFP(緑色蛍光タンパク質)を合成した。また、アミノ酸をtRNAに結合する際のエネルギーとして、または翻訳の直接的なエネルギー源であるGTP(グアノシン3リン酸)を合成するためのエネルギーとしてATPを消費することでGFPを合成した。生きた細胞の中ではATPを細胞内諸反応のエネルギー源として、あるいはmRNAの基質として消費している。そのため、今回、生きた細胞と同じことを人工細胞系で再現した事になる。
 ◆用語説明
 〇人工細胞
 直径数μmから数十μmマイクロメートルの膜小胞の内部でタンパク質を合成する擬似的な細胞。内部に無細胞系を持つ。
 〇 ATP
 アデノシン3リン酸。アデノシンに3分子のリン酸が結合したエネルギー貯蔵分子。細胞内での様々な反応に消費される。
 〇細胞小器官
 細胞内部にある様々な機能を持つ構造体。ミトコンドリアや、葉緑体などがこれにあたる。
 〇人工細胞小器官
 バクテリオロドプシンとATP合成酵素を直径約100~200nmの脂質膜(リポソーム)に構成した人工的な細胞小器官。光をあてることで、バクテリオロドプシンがリポソーム内に水素イオン(プロトン)を輸送し、これにより形成されたリポソーム内外のプロトン濃度勾配がATP合成酵素を駆動させることでATPを合成する。
 〇mRNA
 伝令RNA。タンパク質を合成するため、DNAの持つ遺伝情報をコピーしたRNA。
 〇ATP合成酵素
 膜を介したプロトン濃度勾配をエネルギーとして、ADPとリン酸からATPを合成する酵素。F型のATP合成酵素は3種類の膜タンパク質と5種類の細胞質タンパク質から構成される。
 〇バクテリオロドプシン(bR)
 高度好塩菌が紫色の細胞膜上に持つ7回膜貫通型の膜タンパク質。光をあてると内部のレチナールが異性化し膜の反対側へプロトン分子をポンプする。
 〇Giant Unilamellar Vesicle (GUV)
 巨大膜小胞。リン脂質から構成されるカプセル状の膜構造。内部中空になっており様々な分子を内包することができる。
 〇無細胞系
 試験管内でDNAの持つ遺伝情報から転写翻訳を経てタンパク質を合成するバイオテクノロジーツール。個々の因子から再構築したものはPURE systemと呼ばれる。
 〇tRNA
 転移RNA。mRNA上の3つ文字記号を解読し、対応するアミノ酸をリボソームに運ぶ73~93塩基のRNA。

 今日も朝から晴れ。暫く雨が降りそうもない。早朝にゴーヤの苗を植えた。暑い日が続くと大きくなる・・!。
 散歩で見つけた、お庭の石の側での”タツナミソウ”の花。花は茎から基部で急に曲がって直立した筒状で、先が丸く膨らみ横向きとなっている。茎に幾つもの花穂を出し、同じ向の花を付ける。この様な花姿が波頭の文様を思わせる。・・この様子が名の由来。
 タツナミソウの仲間には多くの種があり、分類が難しいと言う。学者により見解が異なるので、学名なども違う・・と言われる。
 タツナミソウ(立浪草)
 別名:スクテラリア
 学名:Scutellaria indica
 シソ科タツナミソウ属
 多年草
 原産地は東アジア(北海道を除く日本列島を含む)
 開花時期は4月~6月
 花冠は筒部が長い2~4cmの唇形、基部で急に曲がり直立する
 上唇は兜状に丸く膨らみ、下唇は内側に紫色の斑点があり3裂している
 花色は紫が基本で、青紫・淡紅紫・ピンク、白もある


変異が入ることなく季節性インフルエンザウイルスを効率よく分離培養できる培養細胞株の開発に成功

2019-05-10 | 医学
 東京大学医科学研究所ウイルス感染分野の河岡教授らは、変異が入ることなく季節性インフルエンザウイルスを効率よく分離培養できる培養細胞株の開発に成功した(4月30日発表)。本研究は、東京大学、横浜市衛生研究所、米国ウィスコンシン大学が共同で行ったもの。
 季節性ウイルスは性状が頻繁に変わる。性状解析には臨床検体からのウイルス分離が不可欠であるが、インフルエンザウイルスの分離に広く利用されているMDCK細胞を用いて季節性ウイルスを分離培養すると、変異が入り性状が変化してしまうという問題があった。
 本研究グループは、MDCK細胞の遺伝子を改変することで、変異が入ることなく季節性ウイルスを効率よく分離培養できる培養細胞株hCKを開発した。季節性ウイルスの一つであるA/H3N2流行株のhCK細胞における分離と増殖効率は、MDCKとAX4細胞に比べて顕著に高いことがわかった。hCK細胞で分離したA/H3N2流行株の遺伝子には変異がほぼ認められなかったのに対し、MDCKとAX4細胞で分離した流行株には高い頻度で変異が見つかった。さらに、A/H3N2流行株をhCK細胞で長期間継代しても変異が入らないこともわかった。
 本研究の成果で、ヒトの間で流行している季節性インフルエンザウイルスの性状変化をより高い精度で監視することが可能になる。さらに、hCK細胞をワクチン製造に利用することで、従来の鶏卵ワクチンに比べ高い有効性が期待できる培養細胞ワクチンをより迅速により安価に供給することが可能になると期待される。
 ◆用語説明
 〇MDCK細胞
 イヌ腎臓上皮細胞株Madin-Darby canine kidney cellの略称。
 〇季節性インフルエンザウイルス
 2009年に出現したブタ由来ウイルス(A/H1N1pdm)の大流行に伴い、それまで流行していたソ連型ウイルス(A/H1N1)が消滅した。2019年4月現在、A/H1N1pdm、香港型A/H3N2、B型の3種類が季節性ウイルスとして流行している。
 〇AX4細胞
 本研究グループが以前開発したヒト型レセプター関連遺伝子を発現するプラスミドを導入したMDCK細胞。AX4細胞はヒト型レセプターの発現量はMDCK細胞よりも高いものの、鳥型レセプターはMDCK細胞と同程度に発現している。
 〇細胞培養ワクチン
 季節性インフルエンザワクチンは発育鶏卵で増やしたウイルスから製造されているが、鶏卵で季節性ウイルスを増やすとHAに変異が入り、その抗原性が大きく変化してしまう。ワクチン製造を培養細胞で行うことにより、卵馴化による抗原変異のリスクを軽減させることは可能であるが、季節性ウイルスは培養細胞での増殖能が低いことから、細胞培養ワクチンの生産性の低さが大きな問題となっている。
 〇プラスミド
 細菌や酵母がもつ染色体DNAとは異なる独立した環状のDNA分子。目的遺伝子のDNA断片を組込んだプラスミドを培養細胞に導入すると、目的遺伝子が細胞内で強制的に発現される。

 今日も朝から晴れたいい天気。最高気温が25℃程と夏日となる。朝早く、ナスの苗を畑に植えた、収穫が楽しみ。
 田圃の中の道を歩く。比較的大きな道なので、道の両脇には雑草が生い茂っている。その中に、背が高く、スッキリと花を咲かせている”ヘラオオバコ”。高さ30cm~80cmの花茎を出し、先端に長さ数cmの円柱形の花穂をつける。花粉症の原因植物、と言う。
 名(ヘラオオバコ)の由来は、細長い葉が粘土細工に使う箆(へら)に似ているから。
 本草は、環境省指定の要注意外来生物類型2に指定されている。要注意外来生物とは、環境省が指定するもので、外来生物法で特定外来種には選定されていないが、被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物。
 ★要注意外来生物
 外来生物法で特定外来種には選定されていないが、被害に係る知見が不足しており、引き続き情報の集積に努める外来生物 。環境省が指定する。
 4つのカテゴリに、計148種類が選定(2009年2月現在)されている。外来植物(緑化植物)は、農林水産省・国土交通省との連携で検討され、12種が選定されている。

 ヘラオオバコ(箆大葉子)
 別名:イギリスオオバコ
 オオバコ科オオバコ属
 多年草、両性花で根茎でも繁殖する
 ヨーロッパ原産、江戸時代末期に侵入し雑草となった帰化植物
 世界中に分布、コスモポリタン的雑草
 開花時期は4月~8月


2018年の医療事故報告は4,565件、最多を更新

2019-05-09 | 社会・経済
 全国の医療機関が日本医療機能評価機構に報告した2018年の医療事故は、4,565件(2018年、前年より470件増)だった(5月8日同機構への取材)。年単位の集計を始めた2005年以降で最多を更新している。機構は「医療事故を報告することが定着してきた」としている。
 機構によると、法令に基づき報告を義務付けられた大学病院や国立病院機構の病院などからの報告が4,030件と9割弱を占めた。このうち死亡事例は293件(7.3%)で、障害が残る可能性が高い事例は427件(10.6%)だった。
 内容別では、
  転倒や転落を含む「療養上の世話」:1,366件(33.9%)最多
  治療や処置に関するもの:1,113件(27.6%)
 地域別では、
  関東甲信越:1,320件
  中国四国:732件
  九州沖縄:709件
  東海北陸:568件
  近畿:413件
  東北:226件
  北海道:62件
 機構は医療行為に関連して患者が死亡したり、当初予期された水準を上回る処置が必要になったりしたケースを医療事故として情報収集し、年間の報告件数をまとめている。
 ◆日本医療機能評価機構(JCQHC:Japan Council for Quality Health Care)
 公益財団法人。
 医療機関の機能を学術的観点から中立的な立場で評価し、その結果明らかとなった問題点の改善を支援する第三者機関」として、平成7年(1995年)に設立。
 ◆医療事故(いりょうじこ、英: medical error)
 医療事故は、一般に医療に関する事故をいう。
 医療に関わる場所で、医療の全過程において発生するすべての人身事故で、以下の場合を含む。なお、医療従事者の過誤、過失の有無を問わない。
 ア 死亡、生命の危険、病状の悪化等の身体的被害及び苦痛、不安等の精神的被害が生じた場合。
 イ 患者が廊下で転倒し、負傷した事例のように、医療行為とは直接関係しない場合。
 ウ 患者についてだけでなく、注射針の誤刺のように、医療従事者に被害が生じた場合。

 朝から晴れ。風も穏やか。
 井戸がある。その井戸のそばに、”ラナンキュラス・ゴールドコイン”の花が見える。お隣には様々な花が一緒に咲いている。
 金貨の花を思わせる、”ラナンキュラス・ゴールドコイン”、花径2cm前後の八重の光沢のある黄色い花である。
 キンポウゲ(ラナンキュラス)属の植物は世界中に500種以上が分布すると言われる。園芸で”ラナンキュラス”の名前で出回っているのは、その中の”ラナンキュラス・アシアティクス(Ranunculus asiaticus)”からの改良品種が多くを占める。
 ”ラナンキュラス・ゴールドコイン”は、中央アジア原産のレペンス種(Ranunculus repens:ハイキンポウゲ)を改良した園芸品種と言う。
 ラナンキュラス・ゴールドコイン
 英名:Ranunculus 'Gold Coin'
 学名:Ranunculus repens cv.Gold Coin
   ラナンキュラスの別名は、花金鳳花(はなきんぽうげ)
 キンポウゲ科キンポウゲ属(ラナンキュラス属)
 園芸種は、半耐寒性の球根性一年草として扱う
 原産地は西アジア・トルコ地方
 開花時期は4月~6月
 花径2cm前後、花色は光沢のある黄色(黄金色)、八重咲


 井戸。滑車が見える。汲み上げ口は閉ざされている。

アメリカの平均寿命は2年連続で短く78.6歳に

2019-05-08 | 世相
 新聞を読んでいたら、「アメリカの平均寿命が22年ぶりに短くなった」とあった。少し昔の話で、現在の話ではない。
 発表された2016年の平均寿命は78.6歳で、前年に比べさらに0.1歳短くなった・・この傾向は進む。
 世界の寿命ランキングで31位、G7諸国では唯一30位以下
  米国の平均寿命(作成:My Big Apple NY)
       2014年 2015年 2016年
  米国平均  78.9  78.7  78.6
  男性    76.5  76.3  76.1
  女性    81.3  81.1  81.1
 理由として注目されたのは、
 〇増加する一方の「オピオイド系ドラッグの過剰摂取死」。
 医師が処方するオピオイド系の強い鎮痛剤への依存症になり、やがて「ヘロイン」や、もっと強く危険な合成オピオイド「フェンタニル」などに手を出すようになる。その結果、ドラッグ過剰摂取死の数は2000以降の15年間で2.5倍に増加し、深刻な社会問題になっている。
 〇死因として注目される「自殺」
 15年間で3割以上増加した。2016年の自殺による死者は4万5000人に上り、オピオイド系の麻薬過剰摂取死4万2000人を上回る。原因としては、深刻化する貧困。裕福なアメリカ人の寿命は1980年の83歳から2016年には89歳まで延びたのに対し、貧困層は76歳のままで止まっている。
 〇高額な医療費や健康保険料が支払えない
 先進国中、唯一国民皆保険でないアメリカでは、高額な医療費や健康保険料が支払えず、まともな医療を受けられない人が少なくない。これは、貧富による寿命の差に関係している。
 〇乳幼児死亡率が高い
 その国の「健康度」を測る指針とされている乳幼児死亡率は、昨年よりわずかに低くなっているが、いまだに先進国中で最も高く、日本の2.5倍以上となっている。
 ◆世界平均寿命ランキング
 世界全体では男女平均が72.0歳、男性が69.8歳、女性が74.2歳。 それぞれ前回の統計より長い。
 WHO(世界保健機関)が2018年に発表した統計によると、
 1位は日本で男女の平均寿命は84.2歳。 現在、世界一長生きの国となっている。 日本は前回83.7歳で、2位のスイスと僅差だったが、今回は1歳近い差をつけて1位となった。
 男性のみの平均寿命は1位がスイスで81.2歳。 日本はわずかな差だが81.1歳で2位となっている。前回日本人男性は6位だったので、順位は上がっている。
 女性のみの平均寿命1位は日本で87.1歳。 2位のフランスと1歳以上の差をつけて1位となった。

 朝から晴れたいい天気。畑で蒔いた種が芽を出した。
 散歩道で好きなのは、車が少ない住宅地、お庭がよく見える、お花がよく見える。
 今日見つけたのは、咲き始めた”ツリガネズイセン(釣鐘水仙)”。幾つもの青い花の小さなツリガネを下げて咲いている。葉がスイセン(水仙)に似ている。
 名(ツリガネズイセン)の由来は、スイセン(水仙)に似た葉と釣鐘状の花から・・分かりやすい。”スイセン(水仙)”となっているが、葉の形が似ているが”スイセン(水仙)”の仲間(ヒガンバナ科)ではない。
 ツリガネズイセン(釣鐘水仙)
 別名:シラー ヒスパニカ
 英名 スパニッシュ ブルーベル(青花のみ)
 学名:Scilla hispanica
 ユリ科シラー属
 多年草(球根草)
 原産地:ヨーロッパ
 日本には明治末期に渡来
 開花時期:4月~5月
 葉は水仙に似て、花は釣鐘状
 鱗茎に毒を含む
 花色は青、ほかに白・紫・ピンクがある


人工知能の中核技術である深層学習を高速化する技術を開発

2019-05-06 | 科学・技術
 富士通研究所は、人工知能(AI)の中核技術である深層学習(ディープラーニング)を高速化する技術を開発した。
 一般的に使われる画像セットを一定以上の精度で正しく判定できるようになるまでにかかる時間は74.7秒と世界最高速を達成した。これまでは米グーグルが2018年12月に達成した108秒が最速だったが、30秒以上短縮した。
 深層学習では、AIが学習に使う画像処理半導体(GPU)の答えと正解との誤差を正す作業を繰り返して精度を上げる。GPUを多数つなげば高速化できるが、処理が複雑になり、速度が低下するケースがある。学習が進めば誤差が小さくなっていくことに着目。誤差を修正する範囲を絞ることでGPUの負担を軽くし、処理速度の低下を防いだ。
 富士通のサーバーやスーパーコンピューターに適用し、実用化を目指す。
 ◆Deep Learning(ディープラーニング)
 Deep Learningは脳の神経ネットワークを単純化してコンピュータのプログラム上で再現したもの。
 人間の脳は300億を超える(諸説あり)多数のニューロン(神経細胞)で構成されており、無数のニューロンとニューロンは、シナプス結合と呼ばれるつながりを作ることでネットワークを形成している。Deep Learningは、ニューラルネットワークというコンピュータアルゴリズムに基づいて作られている。ニューラルネットワークとは、脳の仕組みを真似たもので、私たちの脳を構成しているニューロンが互いにつながって情報のやり取りしている仕組みをコンピュータ上に採用して再現したものである、と言える。
 「深層学習」と訳され、機械学習(Machine Learning)の中の一つの学習の手法であると言える。機械学習とは、AI(人工知能)の中心をなす技術であり、プログラム自身が学習していく仕組みのこと。
 AI(人工知能)の急速な発展を支える主要技術で、その進歩により画像解析・音声認識・文書解析など様々な分野への実用化が進んでいる。

 今日の天気は下り坂。朝から午後3時ころまで曇り~晴れ、次第に雲も多くなり小雨となる。
 昼前の散歩で見た、あぜ道の”カキドオシ”、花が咲いている。”カラスノエンドウ(植物学的には、ヤハズエンドウ)”の花も見える。
 ”カキドオシ”はいたる所で見られる雑草・多年草。葉は丸い形から狭い扇形を切り取った様である。花は小さくユニークだけど素敵だ。茎は長く横に這い、所々から根を下ろし、横枝は時に多少立ち上がることもある。
 名(カキドオシ:垣通し)の由来は、隣から垣根をくぐりぬけて侵入するから、と言う。
 因みに、若葉は食用になる、と言われるが、試食したことはない。
 カキドオシ(垣通し)
 別名:疳取草(かんとりそう)
   子供の疳を取り除く薬となるから、生薬名は連銭草(れんせんそう)
 学名:Glechoma hederacea var. grandis
 シソ科カキドオシ属
 つる性の多年草
 開花時期は4月~5月
 花は葉腋から出て、長さ15mm~25mmの淡紫色の唇形花冠


子どもの人口1,533万人と38年連続減少

2019-05-05 | ニュース
 今日(5月5日)は子どもの日、国民の祝日である。節気では立夏(りっか、夏の気配が感じられるころ)。節句では端午の節句。端午の節句は、五節句の一つで菖蒲の節句とも呼ばれ、男子の健やかな成長を祈願し各種の行事を行う。
 子どもとは、15歳未満の年少者。
 総務省が「こどもの日」に合わせて毎年公表する15歳未満の子どもの推計人口(2019年4月1日現在)は、1533万人で前年(2018年)より18万人少ない。1982年から38年連続の減少となった。
 総人口に占める子どもの割合は、12.1%と前年より0.2ポイント減で、1975年から45年連続で低下となった。1995年以降は、65歳以上の割合が子どもの割合を上回る状態が続いている。
 子どもの推計人口内訳は、男子785万人、女子748万人。3歳ごとの年齢区分では、12歳~14歳が322万人と最も多く、9歳~11歳321万人、6歳~8歳309万人、3歳~5歳295万人、0歳~2歳286万人と、年齢区分が下がるほど人口が減っている。
 人口に占める子どもの割合が最も高いのは沖縄の17.0%で、次いで滋賀の14.0%、佐賀の13.6%の順だった。最も低いのは秋田の10.0%、青森の10.8%、北海道10.9%と続く。
 子どもの推計人口で、前年より増加するのは、東京都のみで前年より8000人増の155万人。前年と同じなのは、沖縄で24万7000人。他の45道府県はいずれも減少となった。
 ◆15歳未満の子どもの割合
   出典:世界の統計、平成27年国勢調査(総務省統計局)
       (単位:1,000人)
 国名      総人口  15歳未満の子ども割合(%)
 アメリカ合衆国 321,774  19.0
 フランス     64,396  18.5
 イギリス     64,716  17.8
 カナダ      35,940  16.0
 イタリア     59,798  13.7
 ドイツ      80,689  12.9
 日本      127,095  12.5

 今日もいい天気、良く晴れた。暫く、雨が降っていない。早朝の畑作業は、”ダリア”球根を植える。
 歩道の一隅で、”ヒメフウロ”が小さな花を咲かせている。近くを見渡したら、少し大きな鉢に”ヒメフウロ”が植えられており、葉の脇から細長い柄を出し、先に紅色の小さな花1・2輪ずつつけている。蕾も幾つかあり、これからも沢山花が咲く。
 咲いている花は小さくて可愛らしい、このことから”ヒメフウロ(姫風露)”と名付けられたとか・・。別名は”シオヤキソウ(塩焼草)”、全草に特有の匂いがあり、この匂いが塩を焼いた時のものであるからと言う。
 ”ヒメフウロ”は本州や四国の一部の石灰岩地に自生し、レッドリスト(絶滅危惧Ⅱ類)に指定されている。我々が目にするのは、国外などから帰化したもの、と言われる。
 ヒメフウロ(姫風露)
 別名:塩焼草(しおやきそう)
 フウロソウ科フウロソウ属
 多年生草本植物(種は420種以上が確認されている)
 開花時期は4月~10月(初夏が最盛期)
 花は5弁花、花弁には2本の濃い紅筋がある、花径は1.5~2cm
 花は茎の先に1~2個付ける
 茎と葉の端が赤みを帯びている


生体内で核酸医薬と会合・ドッキングしながら脳腫瘍に到達して標的治療を行うナノマシンを開発

2019-05-04 | 医学
 川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター長片岡一則、東京大学未来ビジョン研究センター特任教授宮田完二郎、東京大学大学院工学系研究科准教授近藤豊、名古屋大学大学院医学系研究科教授らの研究グループは、失活しやすい核酸医薬を血流中で安定に保護し、膵臓がんや脳腫瘍などの難治がんへ送り届けるための技術「核酸医薬搭載ナノマシン」の開発に成功した(4月24日発表)。
 「siRNA:Small interfering RNA」に代表される核酸医薬は、その塩基配列に応じて特定の遺伝子発現を調節できる。ことから、がんやアルツハイマー病などの遺伝子変異に由来する難病に対する新規治療薬として期待されている。しかし、核酸医薬は体の中、例えば血流中ではすぐに代謝されてしまい、核酸医薬の疾患組織への到達効率は低く、十分な治療効果が得られないという問題がある。
 この問題解決のため、核酸医薬搭載ナノマシンが開発された。
 このナノマシンは、血流中で核酸医薬とランデブーしてドッキングすることのできるポリマーからできている。核酸医薬はナノマシンとドッキングすることで、分解酵素の攻撃から保護される。また、このナノマシンはサイズが抗体分子とほぼ同じサイズ(約20nm;20X10億分の1メートル)と非常に小さいため、「血流中での核酸医薬の保護」し、生体内に存在する種々のバリアを突破することができる。また、「難治がん 組織に存在する生体バリアを突破する超小型サイズ(30nm以下)」を同時に実現した。
 具体例としては、膵臓がん組織に存在する線維性の間質組織(メッシュ構造)や脳腫瘍に存在する血液-脳腫瘍関門と呼ばれる生体バリアを潜り抜け、がん細胞へと核酸医薬を送り届けることに成功している。
 この様な核酸医薬搭載ナノマシンの設計には、構成成分であるポリマーの形と長さが重要になる。本研究で創られたポリマーは、血液中で核酸医薬に結合する一方で、それ以外の生体成分への吸着を抑えるような設計が組み込まれている。
 現在、この核酸医薬搭載ナノマシンを医薬品として実用化するための取り組みが進められている。膵臓がんや脳腫瘍への新たな治療法の登場に大きな期待が寄せられる。
 ◆核酸医薬
 DNAやRNA(リボ核酸)を構成する生体分子の核酸を利用した医薬品。
 これまでの医薬品より、遺伝子など細胞内の様々な分子に特異的に作用するのが特色。このため治療薬のなかった病気に向けた新薬を作れる可能性がある。細胞で培養しなければならない抗体医薬と異なり、化学合成できるのでより安価に製造できる。
 核酸医薬の研究・開発のきっかけは、1998年に遺伝子からたんぱく質を合成する過程を抑え込む「RNA干渉」が発見されたから。この発見した2名の研究者(アンドリュー・Z・ファイアー、クレイグ・メロー)は2006年のノーベル生理学医学賞を受賞した。

 今日も朝から晴れたいい天気。早朝の畑作業は、”エダマメ”の植え付け準備。
 畑からの帰り、沢山の小さな花が集合している。”アリッサム”かな”イベリス”かな、と思って見たら、”タイム”の花だった。
 ”タイム”は、 常緑性の低木で、枝は斜め上に伸び、先端が立ち上がる。葉は5mmほどで枝に密生している。繁殖力は旺盛で、枝の節が地面に付くとそこから根を出す。5月ごろにピンク色の小さな花を枝先に沢山咲かせる。
 ”タイム”はハーブの一種で、葉や茎を生のまま、または乾燥させて香辛料として使う。独特の風味と防腐効果があるため、肉類の料理にも使われる。
 タイム(Thyme)
 別名:立麝香草(たちじゃこうそう)
 シソ科イブキジャコウソウ属
 常緑性の低木(草本に見えるが、茎が木化する木本)
 学名:Thymus vulgaris
 原産地は地中海沿岸
 樹高:15cm~30cm
 タイム類は茎が立ち上がる立性と、這うように広がる這性の2タイプがある
 開花時期:4月~6月


桜の代表的品種であるソメイヨシノの全遺伝情報を解読

2019-05-03 | 生物
 今日(5月3日)は憲法記念日。現在の日本国憲法は、1946年(昭和21年)11月3日に公布、1947年(昭和22年)5月3日に施行された。施行から70年余りとなり、人間で言えば高齢者、健康診断や治療が欠かせない年齢。改憲・護憲・加憲等の論議が起きている。
 2018年に日本経済新聞社とテレビ東京が憲法記念日を前に世論調査を実施した。
 調査は日経リサーチが4月27日~29日に全国の18歳以上の男女に携帯電話も含めて乱数番号(RDD方式)による電話で実施。1009件の有効回答(回答率は47.6%)を得た。
 憲法についての回答
   現状のままでよい:48%
   改正すべきだ:41% 2017年4月は賛否が拮抗していた

 島根大学や京都府立大学、かずさDNA研究所の研究グループが桜の代表的な品種であるソメイヨシノのゲノム(全遺伝情報)を解読したと、発表した。研究グループは、遺伝子解析が進めば正確に開花時期が予測できる、と期待している。
 サクラはバラ科に属する樹木で主に北半球の温帯に広く分布するが、美しい花を咲かせる種はアジア、特に日本に多い。日本だけをみても野生種やその変種から育成された栽培品種だけでも200種以上とされている。日本から米国ワシントンなどにも移植されて世界的に有名なソメイヨシノは、その成り立ちや開花時に働く遺伝子などについて多くの謎に包まれている。
 研究グループは、島根大学・生物資源科学部附属生物資源教育研究センターの本庄総合農場(島根県松江市)のサクラ139品種とソメイヨシノの原木とされる上野恩賜公園(東京都台東区上野公園)の樹木の組織を採取してゲノムを解析した。
 その結果、これまでの通説の通り、ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラという2品種を祖先に持つことが分かった。また、かずさDNA研究所がある千葉県木更津市鎌足地区に古くから伝わる鎌足桜はヤマザクラとオオシマザクラという2種の系統である可能性が高いことも判明した。
 研究グループはまた、ソメイヨシノを構成する2種のサクラに対応するそれぞれ3億5000万塩基対のゲノムを解読。ゲノム配列から約95100の遺伝子を特定できて「ソメイヨシノの遺伝子地図」を作成した。今回解読できたゲノムは ゲノムの構造はオウトウ(サクランボ)やモモ、ウメとよく似ていたという。同グループによると、ソメイヨシノの2つの祖先種と分かったエドヒガンとオオシマザクラは552万年前に異種に別れたと推定でき、この2種が百数十年前に交雑によって再び一つになることでソメイヨシノが誕生したと考えられるという。
 同グループは、開花前1年間の一ヶ月ごとと、開花前1ヶ月間の2日ごとのソメイヨシノのつぼみの解析を行い、開花に至るまでの遺伝子発現の変化を明らかにした。これらの研究成果から同グループは「(今後も研究を続けて)遺伝子解析が進めば正確に開花時期を予測できる」と期待している。
 ◆ソメイヨシノ
 染井吉野、学名: Cerasus ×yedoensis (Matsum.) Masam. & Suzuki ‘Somei-yoshino’
 エドヒガン系の桜と日本固有種のオオシマザクラの雑種の交配で生まれた日本産の園芸品種。遺伝子研究の結果、ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの雑種が交雑してできた単一の樹を始源とするクローンである。
 江戸末期から明治初期に、江戸の染井村に集落を作っていた造園師や植木職人達によって育成された。初めサクラの名所として古来名高く西行法師の和歌にもたびたび詠まれた大和の吉野山(奈良県山岳部)にちなんで「吉野」「吉野桜」として売られ、広まったが、藤野寄命による上野公園のサクラの調査によってヤマザクラとは異なる種の桜であることが分かり(1900年)、この名称では吉野山に多いヤマザクラと混同される恐れがあるため、「日本園芸雑誌」において染井村の名を取り「染井吉野」と命名したという。翌年、松村任三が学名をつけた。
 今日では、メディアなどで「桜が開花した」というときの「桜」はソメイヨシノ(の中の、気象台が定めるなどした特定の株)を意味するなど、現代の観賞用のサクラの代表種である。

 朝から晴れていい天気。風も穏やか。朝一番に畑に植える”ナス”床(マルチ)を作る。
 畑の近くのマンションのアポローチ。お庭で、”ツルニチニチソウ”の花が咲き出した。朝にお水を上げたのか、葉が濡れている。お花も葉も雨上がりの様で綺麗に見える。
 花は”ニチニソウ”にそっくりで、つる性だから茎は横に伸びている。葉は卵形で、斑(ふ)が入っているのとないのがある。花を見るより葉を見る”観葉植物”として、花壇のグランドカバーやプランターなどで使われるようだ。
 ”ツルニチニチソウ”はキョウチクトウ科で、キョウチクトウの仲間は毒性(アルカロイド)を持つが、”ツルニチニチソウ”は死に至る程の毒性はない(弱い、嘔吐や下痢)・・でも食べ過ぎには注意?。
 ツルニチニチソウ(蔓日々草)
 別名:ツルキキョウ、ツルビンカ、ビンカ・マジョール(学名から)
 キョウチクトウ科ツルニチニチソウ属
 つる性の耐寒性宿根草
 原産地は地中海沿岸、明治時代に渡来し野生化した帰化植物
 開花時期は4月~7月(12月~1月でも咲く)
 花径は数cm、色は淡青色~薄紫色で白もある
 花は筒状だが筒先端が割けて5弁花に見える
 葉に斑(ふ)が入るのと入らないのがある


皮膚が老化してしまう仕組み明らか

2019-05-02 | 健康・病気
 東京医科歯科大学難治疾患研究所幹細胞医学分野の西村栄美教授と松村寛行助教、大学院生の劉楠さんら研究グループは、同大学院皮膚科学分野の並木剛准教授らとの共同研究で、皮膚の老化の仕組みが、幹細胞競合による恒常性維持機構の疲弊によることをつきとめた(4月4日発表)。
 組織・臓器の老化は、日々発生する内因性・外因性の損傷やストレスがその誘因となることが知られている。しかし、通常多少のストレスを受けても直ちに皮膚に老化細胞が蓄積して高齢者のような皮膚にならず、何十年という長期にわたってその若さと機能を維持し続ける。こうした組織や臓器の恒常性を維持する機構として幹細胞システムが知られている。皮膚表面の表皮をはじめ上皮組織は活発な新陳代謝を行っており、多くの幹細胞クローンが消滅する一方で一部の残存クローンが増大する現象が共通して観察される。この幹細胞の消滅と残存は一見ランダムに見えることから「中立的幹細胞競合」と呼ばれている。しかし、それが生涯にわたって本当に中立的におこる現象なのか、むしろ選択的に適応度の高い細胞を選択する細胞競合を反映しているのかについては明らかにされていなかった。
 本研究では、実際に生体内の幹細胞の動態と運命を解析することにより、表皮幹細胞においてストレス応答性の幹細胞競合が起こっていること、特に幹細胞と基底膜を繋ぐヘミデスモソーム構成成分であるXVII型コラーゲン(COL17A1)の発現がゲノムストレス/酸化ストレス誘導性のタンパク質分解によって生理学的に変動し、その結果、個々の幹細胞におけるCOL17A1の発現量に有意な差異を生じていること、その差異が幹細胞分裂の様式に差を生じることで、幹細胞間における細胞競合を引き起こすことを明らかにした。
 マウス成体内でのin vivo多色幹細胞クローン分析とin vitroの3次元細胞培養モデルなどを駆使することにより、COL17A1高発現細胞が水平方向に対称性分裂して基底膜上で増幅する(勝者幹細胞クローンとなる)のに対して、加齢によりCOL17A1を失った細胞(低発現細胞)は非対称分裂(縦分裂)を連続して行いながらヘミデスモソーム構成分子やヘミデスモソーム構造を失って基底層との係留が減弱していく過程が観察された。その結果、限られた空間内で両者が互いに競合しあうこととなり、後者は次第に基底層(ニッチ)から排除され分化を経て皮膚表面から排除されることが明らかになった。これらの敗者クローンは、酸化ストレスやゲノムストレスに続くDNA損傷応答を経てCOL17A1の発現減少、ヘミデスモソームの消失を引き起こし、基底膜からの微小剥離により皮膚から排除することも明らかになった。したがって、COL17A1高発現細胞が表皮幹細胞として長期にわたって維持されており、COL17A1レベルのより低い低品質細胞を皮膚から排除し続けるなかで、自身も次第にCOL17A1の発現を失ってしまうため細胞競合が減弱して表皮の細胞競合が減弱して表皮の老化が顕著となることが明らかになった。
 さらに表皮の角化細胞以外に表皮内でメラニン色素を産生している色素細胞や表皮の基底膜下に分布する繊維芽細胞などに着目して解析したところ、表皮幹細胞の細胞競合が反復されるなかで、表皮基底層から排除されていく敗者クローン細胞集団に囲まれていた色素細胞も周囲の敗者細胞と一緒に排除されること、ならびに基底膜下の真皮内の線維芽細胞も表皮幹細胞におけるヘミデスモソームの構築変化と並行して消失していくことが観察された。このような真皮浅層の繊維芽細胞の消失は真皮の細胞外マトリックスの構築にも変化を及ぼして深部に波及しうるため、臓器としての老化へと繋がっていくものと考えられた。
 表皮幹細胞においてCOL17A1を恒常的に発現させた高週齢マウスを解析すると、皮膚の老化の抑制効果ならびに再生促進効果が得られた。さらにCOL17A1の発現を誘導する低分子化合物によって皮膚の再生促進効果が得られており、今後皮膚老化の新規治療的戦略や予防へと繋がることが期待される(特許出願中)。他の臓器の上皮組織においても同様に幹細胞競合が臓器の恒常性と老化を制御している可能性や、その制御が健康長寿に繋がる可能性も考えられるため、今後の広がりやあらたな展開が期待される。
 ◆用語
 〇表皮幹細胞
 皮膚の最外層に位置する表皮は、その大部分が表皮角化細胞(ケラチノサイト)で構成されている。表皮角化細胞は基底層で分裂したのち、分化しながら皮膚表面に向かって移動し、角層を形成してバリア機能を担っている。表皮基底層に位置する細胞は未分化でその多くが自己複製するため表皮幹細胞と呼ばれていることが多いが、生体内でどの細胞集団が長期にわたり幹細胞として機能するのかについては正確には明らかにされていなかった。
 〇ヘミデスモソーム (半接着斑)
 上皮細胞が基底膜に接着する接着装置の一種で、多くの細胞膜裏打ちタンパク質が複合体を形成している。
 上皮細胞を膜貫通性に基底膜へと繋げて係留する。
 〇XVII型コラーゲン(COL17A1)
 ヘミデスモソームの構成分子の一つ。表皮においては基底細胞が発現する膜貫通性蛋白。その先天性の欠損により表皮真皮接合部が不安定化し、接合部型表皮水疱症を発症し、皮膚の萎縮、脆弱性、びらん、色素異常、脱毛などを引き起こす。
 〇細胞競合
 組織中で近接する同種細胞間で相対的に環境適応度の高い細胞が低い細胞を集団から排除する現象。

 朝から晴れた。とても風が強い、ボウシが飛ばされる!。
 白い板壁の塀の上から黄色の花が沢山垂れさがっている。花はラッパ型の1cm程の小さく、ジャスミンに似た芳香がある。名は”カロライナジャスミン”。”カルフォルニアジャスミン”と呼ぶことがあるが、これは間違い。この花は、サウスカロライナ州の州花になっている。”カロライナジャスミン”には、一重咲き品種と八重咲きの品種があり、この花は一重咲き。”ジャスミン”という名前が付けられているが、モクセイ科ソケイ属(Jasminum)の「ジャスミン」とは全く違う種で、マチン科ゲルセミウム属である。
 ”カロライナジャスミン”は全草(根・根茎に特に多い)に有毒成分(ゲルセミシン、ゲルセミン、センペルビリンなど)を含む有毒植物である。お茶などに利用すると、中毒(脈拍増加、呼吸麻痺、中枢神経刺激作用、血圧降下、心機能障害)の症状。名(カロライナジャスミン)の由来は、ノースカロライナ州・サウスカロライナ州生まれのジャスミンのような香りがする花から。因みに、マチン科・リンドウ科・キョウチクトウ科の植物の多くは有毒植物である。
 カロライナジャスミン(Carolina Jasmine)
 学名: Gelsemium sempervirens
 別名:ゲルセミウム、イエロージャスミン、イブニングトランペット、トランペットフラワー
   カロリナソケイ、ニセジャスミン、センペルヴィレンス
 マチン科ゲルセミウム属
 常緑つる性低木
 原産地は北アメリカ南部
 つる長は3m~6m
 開花時期は4月~5月


単細胞生物「海ぶどう」の全ゲノム解読に成功

2019-05-01 | 生物
 おめでとう。
 令 和
 今日から新元号となります。新しい時代が平和となることを願います。

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)は、沖縄県恩納村漁業協同組合と共同で、沖縄県を代表する食用海藻である、海ぶどう(標準和名・クビレズタ)の全ゲノム解読に世界で初めて成功した。海ぶどうは長さ10m~20cmにもなる緑藻の一種であるが、沢山の核を含むたった1個の細胞でできている、生物の体作りという観点からとても不思議な生物である。
 海ぶどうのゲノムのサイズは、養殖・栽培されている農水産物の中でも最小クラスの2,800万塩基対で、遺伝子の数もわずか9,000ほどであることが明らかになった。また、海ぶどうは野菜や果物などの陸上植物とは全く別の生物であるものの、成長に関しては類似した遺伝子が関わっている可能性が示唆された。
 研究チームは、沖縄県恩納村漁業共同組合で養殖された海ぶどうからDNAを抽出し、OISTが保有する次世代型ゲノムシーケンサー(超並列シーケンサー)を駆使して、その全ゲノム配列を解読した。
 超並列シーケンサーから出力された配列データをつなぎ合わせ、全長2,800万塩基対のゲノム配列を決定した。決定されたゲノム配列は36本の配列に95%の塩基が含まれており、各遺伝子がどのようにゲノム上に配置されているか知る上で有用な情報を得ることができる。ゲノム上に見つかった9,311個の遺伝子の中から海ぶどうに特異的な特徴を探した。その結果、タンパク質の細胞内の配置を制御する遺伝子が失われつつある一方で、細胞核の物質の出入りを制御する遺伝子や、陸上の緑色植物で生活環境や葉の形作りなどを制御するTALE型ホメオボックス遺伝子などが多様化していることがわかった。
 これらの結果は、巨大な単細胞生物である海ぶどうの形作りが、多細胞生物や微細な単細胞生物とは異なるメカニズムでタンパク質を必要とされる部位に配置したり、細胞核自体が物質の輸送を制御することで実現されていることを示唆している。一方で、海ぶどうが単細胞生物でありながら、巨大で複雑な体の構造を獲得したきっかけには、陸上植物と同様にTALE型ホメオボックス遺伝子の増加が鍵となった可能性が示唆された。
 この複雑な形態と独特の歯触りは、この単細胞生物に特異的な遺伝子セットによって実現されていることが示唆された。
 ◆クビレズタ(海ぶどう)
 クビレズタ(括れ蔦、学名:Caulerpa lentillifera)はイワズタ科イワズタ属に属する海藻。単細胞生物である。沖縄県や鹿児島県では海ぶどうやグリーンキャビアと呼ばれ、食用となる。海水水槽で観賞用に栽培されることもある。
 和名はくびれのあるツタの意味で「クビレヅタ」であったが、2000年に改定された日本産海藻目録より「クビレズタ」に改められた。最新である2005年改訂版でも「クビレズタ」となっている。
 日本では南西諸島に、日本国外では東南アジアやオセアニア等の浅海域に分布する。主に、潮間帯の下部から漸深帯の砂地に生育する。
 長さ2-5m程度まで成長する。匍匐茎(ランナー)を伸ばし、匍匐茎の途中から直立する茎が生える。この直立する茎が食用になる部位で、球状の小枝(葉のような形状)が密生しており、「海ぶどう」の由来にもなっている。また、和名のクビレズタは、直立する茎と小枝の間がくびれていることにちなむ。
 食用
 沖縄県では、昔から食べられており、その形状から海ぶどうやグリーンキャビアと呼ばれている。生で、醤油や三杯酢等をタレのように浸けながら食べる。刺身の付け合わせにもされる。ご飯の上にのせて三杯酢をかけた「海ぶどう丼」や、味付けせずに沖縄そばの上に乗せて「海ぶどうそば」として食べることもある。調味液に長く浸すと、プチプチとした食感をもたらす粒状の部分がしぼんでしまう。また低温に弱く、冷蔵庫で保存すると萎んでしまうので常温で保存する。3日~4日間は常温で問題なく保存できる。
 因みに、他の数多くの海藻と違い、海ぶどうは天然または海で養殖されたものではなく、野菜や果物のように陸上のビニールハウス内に作られた海水プールで育てられる。この養殖方法が開発されたことで海ぶどうの大量栽培が可能となり、その生産額は2013年に沖縄県内で10億円を超え、その後も増加を続けている。
 ◆ゲノムサイズ
 ゲノムサイズが小さい水産物として知られるオキナワモズクは約13,000の遺伝子を含む約1億4千万塩基のゲノム。
 我々ヒトのゲノムは約30億塩基であり約20,000の遺伝子が含まれる。
 ◆TALE型ホメオボックス遺伝子
 ホメオボックス遺伝子は各種の遺伝子の転写制御に関わる因子。植物や動物など様々な生物の形態発達を調整する役割を持ち、特定の遺伝子のスイッチをオン・オフすることで、細胞が組織の構造を形作る過程をコントロールする。
 ◆仕切りのない細胞
 海ぶどうが仕切りのない細胞で複雑な形を作り上げられるのは、体の部位ごとにゲノムDNAを包み込む構造である核膜が特殊化し、その種類に応じて遺伝子のスイッチを制御する物質が選択的に細胞核に取り込まれるためだと考えられる。

 朝は小雨、段々と雨は止み、昼頃から晴れ~曇り。
 ”ベニバナトキワマンサク”の花が咲き出した。冬でも落葉しない樹で、葉は赤紫色、花は紅色の細い紐状。この”トキワマンサク”はマンサク科トキワマンサク属。この花は紅色の細い紐状で、早春の”マンサク”の花は黄色の細い紐状、良く似ている。でも”マンサク”はマンサク科マンサク属、と属が異なる。
 ベニバナトキワマンサク(紅花常盤万作)
 別名:赤花常盤万作(あかばなときわまんさく)
 マンサク科トキワマンサク属(ロロペタルム属)
 耐寒性常緑小高木
 原産地は日本、中国南東部、インド北東部
 マンサク科トキワマンサク属の 「トキワマンサク(常盤万作)」の変種の紅花品種
 開花時期は4月~5月
 トキワマンサクは白花、ベニバナトキワマンサクは赤花