北海道美術工芸協会が主催する団体公募展。道展、全道展、道美展にはそれぞれ工芸部門があるが、工芸諸部門だけの公募展は、美工展が唯一です。
道展や全道展にはないような種類の作品もあるので、それを見るのも、楽しみのひとつです。
ことし、他の展覧会ではほとんど見ることがないのに、美工展の会場で光っていたのが「ペーパークラフト」の作品。紙を細かく切って模様を作っており、「切り絵」の立体版といったおもむきもあるのですが、おどろくような精緻な作品がありました。
たとえば、小林ちほ(江別)「反省」。赤ピーマンが題材で、どうしてこの題がついているのかわかりませんが、網目模様の細かさにびっくりします。森の木々をすかして陽光を見上げた場面のようにも見える大沼昭夫(札幌)「明日 耀く」(佳作賞)も、ただ細かいだけでなく、その細かさが感動につながっています。一方で、橋本昌司(江別)「地球に乗った象」は、童画風で、絵本の表紙などにぴったりの夢あふれる作品です。
美工展は、協会賞(最高賞)の該当なしという年もよくあります。
今年の協会賞は、木工で、吉村穂貴(札幌)「Inclination & Square」が選ばれました。
4本の細い脚に支えられた背の低いテーブルで、すっきりした形状が評価されたのでしょう。三つずつひきだしが両側についています。
木工は、会友の城浦光希(同)による「コンソールテーブル」も、細身のテーブル。また、水橋亮(上川管内音威子府村)「Iceberg №4」は、流氷を思わせる不定形の木片17個が、腰を下ろす部分をかたちづくっている、ユニークな作品でした。
会員・羽賀隆(江別)の「ease IV」はいすで、来場者が自由に座れます。背の部分が縦に二つに割れているのが特徴でしょうか。会員は羽賀さんのほか、阿部吉伸(岩見沢)さん、笠原幸義さん(函館)の計3人です。
人形は一般2人の3点。
宮崎広幸(札幌)「森のオーケストラ」は、木の枝や、どんぐり、松かさなどの実、樹皮などで作った総勢25人からなる労作。ピアノ、パイプオルガン、指揮、打楽器、オーボエ、コントラバス、バイオリン、フルート、チェロ…と、堂々たる大編成です。
人形道展が解散したり、Necco界隈で球体関節人形の展覧会が何度も開かれたり、それなりに話題のある人形の世界ですが、美工展には影響は及んでいないようです。
皮革では、高木晶子(同)「サウダーデ(ファドより)」の、曲線の組み合わせと、革にしみこんだ色合いの深さに感銘を受けました。
高木さんは体調が思わしくないとのことで、作品サイズも小さくなりましたが、これまでが大きかったので、今年が特別に小品だという感じは受けません。
高橋良平(同)「2016・作品A」が新人賞。革を、支持体に垂直に置き重ねて作った作品で、正面から見ればシャープな形が、横から見れば厚みが感じられます。もう少し丁寧にそれぞれの革片を整形すれば、よりシャープさが増したかもしれません。
組紐は、和装に用いるための作品が毎年ほとんどです。今回、瓜生幸(同)「華」は、菊の花のようなオブジェとして出品された、珍しい例。
安保悦子(同)「火の鳥」は、朱、青、紺、黄、桃、緑、白と、たくさんの色を用いながら、まとめています。
陶芸は、藤井由起子(同)「素秋」の白い化粧土の清楚さ、山谷智子(同)「春宵」のくびれた形、井上妙子(同)「やすらぎ」の大胆な緑や朱の配置など、見どころが多かったです。
このほか、織の会員・三浦千津子(千歳)、佳作賞・常本幸子(札幌)の仕事に注目した。
分野別の出品数は次の通り。
染色7(会員4、会友3)
木工7(会員3、会友1、一般3)
織6 (会員4、一般2)
組紐6(会員5、会友1)
陶芸6(会員5、一般1)
ペーパークラフト6(会友2、一般4)
和紙絵5(会員4、会友1)
押花4(会員2、会友2)
籐3 (会員3)
人形3(一般3)
皮革3(会員2、一般1)
ガラス2(一般2)
金工、刺繍、ボビンレース、木彫、葉彩画=1(会員)
その他2(一般)
2016年4月20日(水)~24日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
■第42回(画像なし)
【告知】第42回美工展
■第37回 美工展 ■続き (2010)
■第36回
■第35回
■第34回(画像なし)
■第33回
■第31回(画像なし)
■第30回(画像なし)
■第29回
■第28回(画像なし)
■第8回美工展会員展(2003年)
・地下鉄東西線「バスセンター前」9番出口から約300メートル、徒歩4分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約510メートル、徒歩7分=札幌駅前、時計台前から現金のみ100円で乗れます
・東西線「菊水駅」1番出口から約650メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約850メートル、徒歩11分
(市民ギャラリーに駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングはいくつかあります)
道展や全道展にはないような種類の作品もあるので、それを見るのも、楽しみのひとつです。
ことし、他の展覧会ではほとんど見ることがないのに、美工展の会場で光っていたのが「ペーパークラフト」の作品。紙を細かく切って模様を作っており、「切り絵」の立体版といったおもむきもあるのですが、おどろくような精緻な作品がありました。
たとえば、小林ちほ(江別)「反省」。赤ピーマンが題材で、どうしてこの題がついているのかわかりませんが、網目模様の細かさにびっくりします。森の木々をすかして陽光を見上げた場面のようにも見える大沼昭夫(札幌)「明日 耀く」(佳作賞)も、ただ細かいだけでなく、その細かさが感動につながっています。一方で、橋本昌司(江別)「地球に乗った象」は、童画風で、絵本の表紙などにぴったりの夢あふれる作品です。
美工展は、協会賞(最高賞)の該当なしという年もよくあります。
今年の協会賞は、木工で、吉村穂貴(札幌)「Inclination & Square」が選ばれました。
4本の細い脚に支えられた背の低いテーブルで、すっきりした形状が評価されたのでしょう。三つずつひきだしが両側についています。
木工は、会友の城浦光希(同)による「コンソールテーブル」も、細身のテーブル。また、水橋亮(上川管内音威子府村)「Iceberg №4」は、流氷を思わせる不定形の木片17個が、腰を下ろす部分をかたちづくっている、ユニークな作品でした。
会員・羽賀隆(江別)の「ease IV」はいすで、来場者が自由に座れます。背の部分が縦に二つに割れているのが特徴でしょうか。会員は羽賀さんのほか、阿部吉伸(岩見沢)さん、笠原幸義さん(函館)の計3人です。
人形は一般2人の3点。
宮崎広幸(札幌)「森のオーケストラ」は、木の枝や、どんぐり、松かさなどの実、樹皮などで作った総勢25人からなる労作。ピアノ、パイプオルガン、指揮、打楽器、オーボエ、コントラバス、バイオリン、フルート、チェロ…と、堂々たる大編成です。
人形道展が解散したり、Necco界隈で球体関節人形の展覧会が何度も開かれたり、それなりに話題のある人形の世界ですが、美工展には影響は及んでいないようです。
皮革では、高木晶子(同)「サウダーデ(ファドより)」の、曲線の組み合わせと、革にしみこんだ色合いの深さに感銘を受けました。
高木さんは体調が思わしくないとのことで、作品サイズも小さくなりましたが、これまでが大きかったので、今年が特別に小品だという感じは受けません。
高橋良平(同)「2016・作品A」が新人賞。革を、支持体に垂直に置き重ねて作った作品で、正面から見ればシャープな形が、横から見れば厚みが感じられます。もう少し丁寧にそれぞれの革片を整形すれば、よりシャープさが増したかもしれません。
組紐は、和装に用いるための作品が毎年ほとんどです。今回、瓜生幸(同)「華」は、菊の花のようなオブジェとして出品された、珍しい例。
安保悦子(同)「火の鳥」は、朱、青、紺、黄、桃、緑、白と、たくさんの色を用いながら、まとめています。
陶芸は、藤井由起子(同)「素秋」の白い化粧土の清楚さ、山谷智子(同)「春宵」のくびれた形、井上妙子(同)「やすらぎ」の大胆な緑や朱の配置など、見どころが多かったです。
このほか、織の会員・三浦千津子(千歳)、佳作賞・常本幸子(札幌)の仕事に注目した。
分野別の出品数は次の通り。
染色7(会員4、会友3)
木工7(会員3、会友1、一般3)
織6 (会員4、一般2)
組紐6(会員5、会友1)
陶芸6(会員5、一般1)
ペーパークラフト6(会友2、一般4)
和紙絵5(会員4、会友1)
押花4(会員2、会友2)
籐3 (会員3)
人形3(一般3)
皮革3(会員2、一般1)
ガラス2(一般2)
金工、刺繍、ボビンレース、木彫、葉彩画=1(会員)
その他2(一般)
2016年4月20日(水)~24日(日)午前10時~午後6時(最終日~午後4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
■第42回(画像なし)
【告知】第42回美工展
■第37回 美工展 ■続き (2010)
■第36回
■第35回
■第34回(画像なし)
■第33回
■第31回(画像なし)
■第30回(画像なし)
■第29回
■第28回(画像なし)
■第8回美工展会員展(2003年)
・地下鉄東西線「バスセンター前」9番出口から約300メートル、徒歩4分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約510メートル、徒歩7分=札幌駅前、時計台前から現金のみ100円で乗れます
・東西線「菊水駅」1番出口から約650メートル、徒歩9分
・中央バス「豊平橋」から約850メートル、徒歩11分
(市民ギャラリーに駐車場はありませんが、周辺にコインパーキングはいくつかあります)
おっしゃるとおり、今年はペーパークラフトが増えました。それには、今回で会員に推挙された小林ちほさんの存在が大きいかと思います。
最終日に、小林さんが作品の前で、、色合いや濃淡、また陰影など10数枚に上るパーツをそれぞれ切抜き重ねていった様子を、スマートフォンに保存した各工程の写真を示しながら説明していましたが、多くの観覧者が熱心に聞き入っていました。
こういう方は北海道に限らず、日本に限らず、世界に向かって作品を問うチャンスを早い時期につかんでほしいと思います。小林さんも、また、協会賞を受賞した木工の吉村さんも大学4年生で、現在就活中とのこと。今までやってきたことを生かせる職場をうまく見つけられることを願うばかりです。
吉村さんは若い方だろうな~と思いましたが、小林さんが大学4年というのは意外でした。最終日の説明は、聞きたかったですね。興味深いです。
あと、高木さんの病気が快癒されることを願っています。
今年こそ梁井さんとお話ししたいと思っていたので、お会いできずとても残念でした。
今年の一般入選者は、10代から80代。ジャンルも年代も違う作家が出会える場になること、とてもうれしく思っています。
今年の会場は、如何でしたか?会期が終わったばかりでボーっとしていますが、来年に向け考えていきます。
これは、来年からは、何日のいつごろ行くか、お知らせしておいた方がよいかもしれませんね(笑)。
1人で複数点出していらっしゃる方が多くて、ちょっと寂しい感じもしましたが、若い人がけっこう出している点は興味深かかったです。