札幌の道展会員で、昨年あらたに新制作協会の会員になった塚崎聖子さんが6年ぶりの個展を開いていました。
どこか初期ルネッサンスを思わせる人物描写、丁寧に処理されたマチエール、絵画世界を引き立てる古材を使った自作の額と、その中に描かれたステンドグラスの窓のような小さな絵の数々など、独自の世界を存分に展開しています。
「黒い雨音」。
天使がらっぱを持って空に浮かび、空が泣いているような雨が降る中で、地上では建物が崩壊しています。
明示はされていませんが、新約聖書「ヨハネの黙示録」を思わせる終末的な感覚を漂わせる作品です。
塚崎さんによれば、やはりロシアによるウクライナ侵攻が念頭にあったようで、画家の平和への祈りが根底に流れています。
塔が崩壊する瞬間をとらえたようすは、石狩・厚田にアトリエを構える佐藤武さんの絵画を彷彿とさせます。
雲などの、古画にも似たマチエール(画肌)は、画像ではわからないと思います。さすが、この画家の持ち味が生かされています。
次は「漂流」。
三連画というスタイルに加え、両サイドの蛇、中央の木から果樹を摘む行為など、旧約聖書の「創世記」を強く連想させます。
ただし、塚崎さんは、信仰ゆえにキリスト教の意匠をかりてきているのではなく、人間の普遍的ななにかに通じるものを描き出そうとしているように思えます。
その次も「漂流」と題されている絵です。
forbidden fruit
meaning of life
existence
drift rebirth
といった文字が画面に刻まれています。
ちなみに、この味のある額縁は、かつてすすきの南部(ジャスマックプラザの向かい側)にあった古民家改装スペースで惜しくも解体された鴨々堂の廃材を使っているのだそうです。
横長の会場の写真は、右から
「バレッタ」
「雲に抱かれる人」
「月の音 森の声 II」(小品)
「月の舟歌(マグノリア)」。
バレッタは、地中海の小さな島国マルタ共和国の首都です。
コロナ禍の前に旅した場所で朝方、スケッチをしたのだそうです。
手前の植物が画面に奥行きと深みをあたえています。
マグノリアは、塚崎さんの好きな花なのだそうです。
今回の出品作にも、随所に登場します。
筆者はマグノリアときくと、宮沢賢治を思い出してしまうのですが、それは関係ないとのことでした。
ほかの作品は次の通り。
車窓の景(同題6点)
海へ
風の音
古楽器
森と少女
月と森と少年 I
月と森と少年 II
雲間を行く
月の音 森の声 I
オリビエット
卓上 II
卓上 I
バレッタ(同題計3点)
雲を呼ぶ音
ORIGIN
風の音
月の舟歌
沈黙の森(平面インスタレーション)
アップが遅れて、申し訳ありません。
2024年4月18日(水)~29日(月)午前10時~午後6時(最終日~5時)
茶廊法邑(札幌市東区本町1の1)
過去の関連記事へのリンク
■塚崎聖子個展 (2018)
■新制作展―北海道ゆかりの作家たち (2017、画像なし)
■塚崎聖子小品展 (2014)
■塚崎聖子個展 (2010)
■「春への序奏」展-いのちの形、そして色-(2010年1月)
■塚崎聖子個展(2007年)
■塚崎聖子個展(2004年)
どこか初期ルネッサンスを思わせる人物描写、丁寧に処理されたマチエール、絵画世界を引き立てる古材を使った自作の額と、その中に描かれたステンドグラスの窓のような小さな絵の数々など、独自の世界を存分に展開しています。
「黒い雨音」。
天使がらっぱを持って空に浮かび、空が泣いているような雨が降る中で、地上では建物が崩壊しています。
明示はされていませんが、新約聖書「ヨハネの黙示録」を思わせる終末的な感覚を漂わせる作品です。
塚崎さんによれば、やはりロシアによるウクライナ侵攻が念頭にあったようで、画家の平和への祈りが根底に流れています。
塔が崩壊する瞬間をとらえたようすは、石狩・厚田にアトリエを構える佐藤武さんの絵画を彷彿とさせます。
雲などの、古画にも似たマチエール(画肌)は、画像ではわからないと思います。さすが、この画家の持ち味が生かされています。
次は「漂流」。
三連画というスタイルに加え、両サイドの蛇、中央の木から果樹を摘む行為など、旧約聖書の「創世記」を強く連想させます。
ただし、塚崎さんは、信仰ゆえにキリスト教の意匠をかりてきているのではなく、人間の普遍的ななにかに通じるものを描き出そうとしているように思えます。
その次も「漂流」と題されている絵です。
forbidden fruit
meaning of life
existence
drift rebirth
といった文字が画面に刻まれています。
ちなみに、この味のある額縁は、かつてすすきの南部(ジャスマックプラザの向かい側)にあった古民家改装スペースで惜しくも解体された鴨々堂の廃材を使っているのだそうです。
横長の会場の写真は、右から
「バレッタ」
「雲に抱かれる人」
「月の音 森の声 II」(小品)
「月の舟歌(マグノリア)」。
バレッタは、地中海の小さな島国マルタ共和国の首都です。
コロナ禍の前に旅した場所で朝方、スケッチをしたのだそうです。
手前の植物が画面に奥行きと深みをあたえています。
マグノリアは、塚崎さんの好きな花なのだそうです。
今回の出品作にも、随所に登場します。
筆者はマグノリアときくと、宮沢賢治を思い出してしまうのですが、それは関係ないとのことでした。
ほかの作品は次の通り。
車窓の景(同題6点)
海へ
風の音
古楽器
森と少女
月と森と少年 I
月と森と少年 II
雲間を行く
月の音 森の声 I
オリビエット
卓上 II
卓上 I
バレッタ(同題計3点)
雲を呼ぶ音
ORIGIN
風の音
月の舟歌
沈黙の森(平面インスタレーション)
アップが遅れて、申し訳ありません。
2024年4月18日(水)~29日(月)午前10時~午後6時(最終日~5時)
茶廊法邑(札幌市東区本町1の1)
過去の関連記事へのリンク
■塚崎聖子個展 (2018)
■新制作展―北海道ゆかりの作家たち (2017、画像なし)
■塚崎聖子小品展 (2014)
■塚崎聖子個展 (2010)
■「春への序奏」展-いのちの形、そして色-(2010年1月)
■塚崎聖子個展(2007年)
■塚崎聖子個展(2004年)