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小林繁美「精霊たち(木神)」「精霊たち(陽炎)」 太陽の丘えんがる公園 8

2020年07月03日 08時04分47秒 | 街角と道端のアート
(承前)

 オホーツク管内遠軽町にある「太陽の丘えんがる公園」に行った話は「その3」まで書きました。
 アートに関係ある記事の方を先にアップします。

 同公園でいちばん知名度の高いコスモス園の入り口のそばの「虹のエリア」に、2003年、彫刻が寄贈されました。

 当初は、2人の計3点だったそうですが、いま設置されているのは3人の計6点。
 このうち4点が、小林繁美さんの作品です。

 小林繁美さんは道展会員の金工家です。
 ご本人は見た目はふつうの社会人ですが、はっきりいって、天才といっても過言ではない、すごい人だと筆者は思ってます。
 アフリカの仮面などを思わせる独特の造形ですが、見ているうちに、こちらの土俗的な部分が引き出されてきます。
 いわば、無国籍な太古のアニミズムが、ここに結晶しているといえるかもしれません。
 
 以前は、札幌時計台ギャラリーで定期的に個展を開いており、吉田豪介さんなどはそのたびに、同ギャラリーが発行していた「21ACT」で絶賛していたことを思い出します。

 ただ、このあたりは筆者にもよくわからないのですが、小林繁美さんの所属は「工芸」「金工」で、「彫刻」ではありませんでした。
 北海道には、折原久左ヱ門、佐々木けいし、武田亨恵、望月建といった「パワフルな金工家」の系譜が存在するというのが、筆者の見立てです。作品は器などではなく、オブジェとか立体、彫刻とみても、いっこうにさしつかえないように感じます。
 アーティスト自らが企画し声をかける「北海道立体表現展」といった展覧会には、金工の作家は、彫刻家にまじって出品していたことも多いのですが、公立美術館が1980~2000年代に主催して開いていた「北の彫刻展」「北海道の美術」といったグループ展には意外と呼ばれていないという印象があります。そのせいかどうかは不明ですが、作品そのものの持つ力はあるのに、北海道の美術史にはいまひとつきちんと位置づけられていないのではないか、もう少し顕揚してもいいのではないかという気がしてなりません。
 印象批評っぽくて、申し訳ないのですが…。




 コスモス園のほうから、この赤い小さな橋を渡った草原のなかに、全部で6基が点在しています。
 早春には、カタクリの紫の小さな花が咲き乱れます。


 設置された看板には、6基はいずれも寄贈によるものだと書いてあります。

 「芸術の丘」という名称ははじめて見ました。

 小林繁美さんの残り2基と、小石さん、望月さんの作品は、次項以降の記事で紹介します。


関連記事へのリンク
小林繁美展(2003)



・JR遠軽駅、遠軽バスターミナルから約2.4キロ、徒歩30分



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