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キーボー氏のブログで「5つのルール」を読んだ

2010年09月06日 00時05分53秒 | アートに関するインターネット・ブログなど
 「キーボー」こと高橋喜代史さん。きのうまで、札幌のCAI02で個展を開いていた。

 個展を終わるにあたって彼が書いたブログ「ハイブリッドアート」 
http://ameblo.jp/hybridart2/

を読んだ。

 最新エントリはこちら。

http://ameblo.jp/hybridart2/entry-10637771320.html
  
 くわしくは、ブログを直接読んでほしいのだが、彼はつぎのように書いている。
  (以下引用)


でもまぁ僕自身が個展で作品を発表する際、5つのルールを自分に課しているのだが、

今展では、それら5つのルールに関してはクリアできたので良かったと思っている。


その5つのルールとは、、、

・オリジナリティ(独自性、独創性、作品からその人らしさ、その人自身が見えるか)

・チャレンジング(新展開、新機軸へ挑戦しているか、新たなスタイルをうちだせているか)

・コンセプト(背景、必然性、構造がしっかりしているか、作品の思想に現代性、普遍性はあるか)

・コンテクスト(文脈、美術史をふまえ、奥行きや深み参照を感じれるか、議論は可能か)

・レゾンデートル(美術にしかできない表現、体感や体験があるか、美術の存在意義はあるか)

  (引用終わり)

 これを読んで、正直なところ、すごいと思った。

 似たようなことを考えてる人は大勢いるだろう。
 自分も含めて。
 でも、ここまできっちり箇条書きにするまで、思考を練り上げている人って、そんなにはいないんじゃないだろうか。

 彼に「自分で考えたの?」と、ツイッターで聞いたら、そうだとのこと。

 もしかりに、だれそれの本にあった-という答えでも、彼を軽蔑する気持ちはまったくなかった。
 なぜなら、それはそれで、いろいろ読んで勉強しているという証左だから。

 自力で考えたのだとしたら、それはほんとにすごいと思う。




 彼の作品のおもしろさは、むしろウォーホルのブリロ・ボックス的なところにあるんじゃないかと、最近考えている。
 ただ
「わー、擬音だ、おもしろいねー、すごい迫力だよねー」
でも、まあ、いいんだけどさ。

 なんで、
ギューン
が、アートになるのか?
 自分は、そこを、最近いろいろ考えているのだ。

 社会学的にアプローチするのが、いちばんとっつきやすいかな。
 つまり、「ギューン」が、現代アートのギャラリーにあるから、現代アートなのだ、と。

 どこに展示・設置されているかというのも、りっぱにコンテクスト(文脈)だ。
 もし、おなじような表現がスーパーマーケットのチラシにあったら、それは「広告」だし、もちろん「少年ジャンプ」の連載の中にあったら、文字通り「擬音」だ。

 JRタワー内での擬音が、おなじ作品にもかかわらず、いまひとつ精彩を欠いて見えたのは、あの場所が「アートを展示するところ」というコンテクストになじんでいなかったからではないかと思う。つまり、他の広告看板と同列の勝負を強いられてしまうのだ(そこで「近隣の広告に勝つ迫力が必要だ」という議論には、筆者はくみしない。だって、もともと、勝負の土俵がちがうんだから)。




 カントの3批判書の中で、美について考察した「判断力批判」が、一番脱線が多くて、一番キレがない。
 すくなくても「純粋理性批判」でカテゴリーを提示したときの厳密さと自信は感じられない。
 それは、そもそも「美とは何か」という問いが、単なるアポリアではなくて、そもそも哲学の問いなのか-という気持ちが、大哲学者の中にあったからじゃないのか。
 などと、くだらないことを考えている。

 カントの時代には「美」と「崇高」あたりを考えておればよかったが、現代アートはそうではない。
 むしろ「美」や「崇高」が作品の妨げになることすらある。
 現代アートが目指すものは、上に5項目が挙げられているとおりである。
 もしかしたら、ほかにもあるかもしれないし、人によって多少異なるかもしれないが、自分はこの五つの観点には、大賛成だ。
 ただ、だからといって現代アートが「美」を有していたらダメ、ということにもならないだろう。

 キーボーのブログで見た「ドドドドド」の連作は、「あはは、擬音だ、すごい迫力だよねー」という単純な思いが、ストレートに、抽象画の美につながっている。
 これもすごいと思う。
 文字でありながら、書でもなく、カリグラフィでもないところで、絵画作品が成立している。
 そして、レタリングでもないんだよな、これ。
 最近よく耳にする「活版の美」みたいのとは、まったく異なる文脈で「絵画の美」になっている。


 というわけで、ぜんぜんまとまらない文章になってしまった。
 なんだか、自分のバカさかげんをさらしてしまったみたいだ。
 ほんとに言いたかったことは
「五つのルールを読め!」
ということだけだ。



Sapporo II Project(2009年)
500m美術館(2008年)
高橋喜代史個展-現代アートと書道のハイブリッドアーティスト(2007年)


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2 コメント

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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2010-09-06 20:45:30
キーボーさん、どもども。

なるほどねー、クオリティね。
でも、それはなんにでも使える言葉で、ほかの概念(というかものさし)と一緒に使うには無理があるかもね。

あと、まあ自分の作品に点数をつけるのはいいけど。

オレは点数、大嫌いです。
学校のテストみたいじゃん。
アートくらい、点数で割り切れないものはないと思う。
みんなテスト嫌いなんじゃないかと思っていたら、RPGってテストみたいだよなあ。
ナントカの力●点、かんとか力▲点とかさ。冗談じゃないよって思います。

もう、なんか、数字とか言葉とかで割り切れない
「なんじゃこりゃ!」
っていうのがイチバンじゃね? って思うのです。

きっと自分は驚きたくてギャラリーや美術館に行くんだと思う。もちろん、それだけじゃないけど。
返信する
ありがとうございます。 (キーボー)
2010-09-06 00:37:57
大きく取り上げてもらい
嬉しさと恥ずかしさが同居していますが、
やはり、単純にとても嬉しいです。

自分で改めて見直してみて、ひとつ足りないなと思ったのは「クオリティ」ですね。
もしかすると何年か後に「クオリティ」と何かを足して7つのルールになっているかもしれません。。。

ちなみに3年前から、一項目ごとに10点満点で
自己採点していって5項目合計して40点以上あれば自己評価で合格にしています。

なんか40点だと低い感じがするんで、合計点を
2倍して100点満点形式をとっていますが(笑

今回の「ギューン」を現時点で自己採点すると

オリジナリティ9点
チャレンジング10点
コンセプト8点
コンテクスト7点
レゾンデートル8点

計42点×2=84点の作品でした。

長文、失礼しました。
今後とも叱咤激励、宜しくお願いします。

ありがとうございました!!

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