北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■北山寛一「追想譜」 (5月23日まで)

2010年05月23日 11時16分17秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 北山寛一さんは札幌の画家だが、しばらく石狩か厚田在住だと勘違いしていた。
 それくらい、7年前の札幌時計台ギャラリーでの個展で見た「野辺」が印象的だったのだと思う。
 日本海を望む丘。名もない野の花が咲き乱れ、水平線には、鈍い光の夕日が沈もうとしている光景は、荘厳さはないものの、限りない美しさとやさしさを感じさせ、いつまでも心に残っていた。
 その「野辺」という絵は、今回の展示で、ほぼおなじ個所を描いたと思われる「潮騒」とならんで、会場のいちばん目立つ場所を飾っている。「潮騒」は、画面右上をカモメらしき鳥が横切っている。

 今回の個展は、風景画のほか、静物画や人物画もあり、北山さんの高い伎倆をあらためて間近に知ることのできる良い機会だった。
 案内状に使われていたのは「広場 I」という縦位置の作品の一部で、腰かけている西洋人女性を大きく描き、奥に、古代遺跡にありそうな大きな柱が1本と、白い衣をまとった修道女3人が配されている。白、黒のほか、肌色のような微妙な色だけで画面が覆われて、どこかなぞめいた雰囲気を感じた。
 一方、「カノン」などの静物画は、テーブルの後ろに、縦笛をふく少女が描かれている。卓上の羊や小鳥は、置物のようであり、スケールをあえて違えて描いた本物のようでもある。全体が暗めのトーンなのに、中央に置かれた花瓶の花だけが鮮烈な色合いで咲きこぼれており、これまた不思議な作品だと思う。

 また、会場の出入り口附近に掛かっていた「雪原譜」も、冬の林と野を横切る子どもたちと、38羽の鳥を、モノトーンの落ち着いた色合いで描いた大作で、忘れがたい。

 北山さんは1947年、石狩管内新篠津村生まれ、道教大函館校卒。
 1968年から全道展に出品し、68年に会員に推挙されているが、94年に退会している。
 以前、道立近代美術館が毎年開いていた「北海道の美術 イメージ」展に何度も出品しているし、安井賞展や、フランスの美術展にも入選を果たしている。
 近年も、教職員OBのグループ展に毎年参加しているほか、さいとうギャラリーが年2回実施している小品展にも出品しているが、まとめて見るのは久しぶりだ。

 出品作は次の通り。
F8  教会 大三坂 トレビの泉
F10 初冬の教会
F15 忘却の時 天空の街 夜の静物
F20 夜
F30 アッシジ 広場I 広場II チューリッヒの春
F60 小さなものたち カノン
F100 雪原譜 野辺 潮騒


2010年5月3日(月)-23日(日)午前9:00-午後6:00(土・日曜は-午後4:00) 会期中無休
STV北2条ビル エントランスアート(中央区北2西2 地図A)



第4回ノルテの作家展(2006年)
北山寛一展(2003年)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。