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札幌彫刻美術館の本郷新記念館前に来るといつも思い出す

2012年09月17日 22時34分01秒 | つれづれ日録
 
 彫刻家の丸山隆さんが亡くなって10年余りが過ぎた。

 最晩年までがんを押して精力的に制作・発表を続け、多くの後進を育て、北海道の美術に大きな刻印をのこしていった。

 札幌彫刻美術館の、本郷新記念館の前に来ると、いつも丸山さんのことを思い出す。

 ここに初めて来たのは、1996年の「北の彫刻展」の際だったと思うが、この通路に、彼の金属製の作品「不可視コード」がごろんと転がっていたのだ。

 「なんだか、UFOが不時着に失敗したみたいだなあ」
と筆者は思った。

 この展覧会にはほかにも数々の実力ある作家の作品も出ていたはずだが、申し訳ないけれど、よくおぼえていない。
 丸山さんの作品だけが、なぜか、脳裡に鮮明に残っている。

 このアプローチを通るたびに、丸山さんの作品を「不在」というかたちで、再確認してきたからかもしれない。

 そう考えると、あらゆる美術作品は、サイトスペシフィックな作品として成立する可能性を内包しているのかもしれない。
 すくなくとも自分にとって、丸山さんの「不可視コード」は、同じ題の作が、道展などでも再三発表されていたことを除いても、この場所の記憶と密接に結び付いているからだ。

 丸山さんはもういない。
 UFOが不時着したみたいな彫刻がこの札幌彫刻美術館の舗道に置かれることも、たぶん二度とない。

 にもかかわらず、1996年にこの場で彫刻を見たことをはっきりと覚えている自分が生きている限りは、丸山さんは生きているのだし、「不可視コード」は、この場に設置され続けている…。
 そういえなくもないのではないか、と思う。




丸山隆「触地座標」
劉連仁生還記念碑
丸山隆さんの訃報

□artscapeの関連ページ http://www.dnp.co.jp/artscape/exhibition/curator/ym_0411.html



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