書の一分野である墨象の団体二つが毎春、札幌市民ギャラリーで展覧会を開いています。
いずれも太い筆で力強く書いた作品が会場に並んでいます。字釈がないと、とても読めない字ばかりですが、逆に、ふだん書展に足を運ばない人でも、純粋に造形面から鑑賞できて楽しめると思います。
北海道墨人展の会場で出品者の吉田敏子さん(札幌)にお会いしました。
吉田さんは「こんな大作は久しぶり」という「風神」(180×420センチ)と「雷神」(280×360センチ)を出品しています。冒頭画像の左側が「風神」、右側が「雷神」です。
風神雷神というと、俵屋宗達の名画を思い出しますが、今回の作品はかならずしもそれに沿ったものではないとのこと。とりわけ、風神のほうは「俵屋宗達とは逆」と吉田さんは話します。
「風といっても、吹き終わった後の残っている感覚のような…。風格とか風情という言葉もありますし」
雷のほうは「とても怖い」という思いをずっと抱いていたそうです(まあ、ふつうはそうかもしれませんが)。
ところが、ある日、雷雨なのに外出を余儀なくされたとき、雷の響きが「交響曲のように聞こえた」ことがあったそう。
今回の「雷」のつくりがリズミカルで丸い線質を持っているのは、そういう体験ゆえかもしれません。
「若いときよりも墨(の成分)が薄くて助かりましたが、こんな大きいのは久々で、エネルギーを出し尽くしました」
と笑っておいででした。
このほか、渋谷北象さん(旭川)「燈」は、左下を空白にした配置の妙が、さすがベテラン。
伊藤迪子さん(後志管内余市町)「息」は淡墨で、濃淡が全くといっていいほど見られないのがむしろ新鮮に感じます。軸装というのもめずらしい。
樋口雅山房さん(札幌)は「花」「山」など、比較的小さな作を10点。アルカイックとでもいうべき、のどかな筆致です。
道内12人のほか、ことしも相模原市の中森博文さんが特別出品しています。
一文字書が多い墨人展と比べると、札幌墨象会は多字数書も目立ちます。こちらは道内28人が出品。
上戸抱山さんの「桜さく・桜ちる」は、紙の上の方を大胆にあけて、桜が散るさまと余韻を表現しています。
三上山骨さん「人(岩絵による)」は象形文字のような作。右手に大きな筆を盛っているように見えるところがおもしろいです。
三上雅倫さん「嘯風」は、最初から最後まで墨のかすれた具合が印象的です。
島田青丘さん「無盡」。淡墨による格子模様のような線が全面を覆っています。
以前も書いたのですが、筆者は、島田さんの作品に、原初的なまがまがしさというかデモーニッシュなものをいつも感じるのです。なぜだろう。
2017年4月5日(水)~9日(日)
北海道墨人展は午前10時~午後6時、札幌墨象会は午前10時~午後5時(いずれも最終日~午後4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
札幌墨象会展は8日午後2時から体験書作、9日午後1時から公開批評会。
北海道墨人展は9日午後2時から公開研究会
■2016年の両団体
■第29回北海道墨人展■第66回札幌墨象会展 (2015)
■第56回札幌墨象会展 (2009)
■第53回札幌墨象会展(2007年)
■第52回
■第46回
■第45回
■第44回
■02年秋
■札幌墨象会12人の書展
■第40回(01年春)
■第24回北海道墨人展 (2010)
■第23回北海道墨人展 (2009)
■第9回北の墨人選抜展(2008年9月)
■第21回北海道墨人展(2007年)
■第20回北海道墨人展
■第16回北海道墨人会(2002年4月8日の項)
※以上、画像なしが多いです
■交錯する眼差しの方へ II 遠藤香峰・大川壽美子・須田廣充・竹下青蘭・吉田敏子(2013)
■交錯する眼差しの方へ 遠藤香峰・大川壽美子・須田廣充・竹下青蘭・吉田敏子 書展 (2008)
札幌の美術2003 19+1の試み展 ※画像なし
・地下鉄東西線「バスセンター前駅」から約200メートル、徒歩3分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約520メートル、徒歩7分(札幌駅バスターミナル、時計台前などから現金のみ100円)
・中央バス「豊平橋」から約820メートル、徒歩11分(月寒、清田、平岡方面から来る人は、これもひとつの手)
(市民ギャラリーには駐車場はありませんが、すぐ前の東6丁目通がパーキングになっているほか、周囲にコインパーキングがいくつもあります)
いずれも太い筆で力強く書いた作品が会場に並んでいます。字釈がないと、とても読めない字ばかりですが、逆に、ふだん書展に足を運ばない人でも、純粋に造形面から鑑賞できて楽しめると思います。
北海道墨人展の会場で出品者の吉田敏子さん(札幌)にお会いしました。
吉田さんは「こんな大作は久しぶり」という「風神」(180×420センチ)と「雷神」(280×360センチ)を出品しています。冒頭画像の左側が「風神」、右側が「雷神」です。
風神雷神というと、俵屋宗達の名画を思い出しますが、今回の作品はかならずしもそれに沿ったものではないとのこと。とりわけ、風神のほうは「俵屋宗達とは逆」と吉田さんは話します。
「風といっても、吹き終わった後の残っている感覚のような…。風格とか風情という言葉もありますし」
雷のほうは「とても怖い」という思いをずっと抱いていたそうです(まあ、ふつうはそうかもしれませんが)。
ところが、ある日、雷雨なのに外出を余儀なくされたとき、雷の響きが「交響曲のように聞こえた」ことがあったそう。
今回の「雷」のつくりがリズミカルで丸い線質を持っているのは、そういう体験ゆえかもしれません。
「若いときよりも墨(の成分)が薄くて助かりましたが、こんな大きいのは久々で、エネルギーを出し尽くしました」
と笑っておいででした。
このほか、渋谷北象さん(旭川)「燈」は、左下を空白にした配置の妙が、さすがベテラン。
伊藤迪子さん(後志管内余市町)「息」は淡墨で、濃淡が全くといっていいほど見られないのがむしろ新鮮に感じます。軸装というのもめずらしい。
樋口雅山房さん(札幌)は「花」「山」など、比較的小さな作を10点。アルカイックとでもいうべき、のどかな筆致です。
道内12人のほか、ことしも相模原市の中森博文さんが特別出品しています。
一文字書が多い墨人展と比べると、札幌墨象会は多字数書も目立ちます。こちらは道内28人が出品。
上戸抱山さんの「桜さく・桜ちる」は、紙の上の方を大胆にあけて、桜が散るさまと余韻を表現しています。
三上山骨さん「人(岩絵による)」は象形文字のような作。右手に大きな筆を盛っているように見えるところがおもしろいです。
三上雅倫さん「嘯風」は、最初から最後まで墨のかすれた具合が印象的です。
島田青丘さん「無盡」。淡墨による格子模様のような線が全面を覆っています。
以前も書いたのですが、筆者は、島田さんの作品に、原初的なまがまがしさというかデモーニッシュなものをいつも感じるのです。なぜだろう。
2017年4月5日(水)~9日(日)
北海道墨人展は午前10時~午後6時、札幌墨象会は午前10時~午後5時(いずれも最終日~午後4時)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
札幌墨象会展は8日午後2時から体験書作、9日午後1時から公開批評会。
北海道墨人展は9日午後2時から公開研究会
■2016年の両団体
■第29回北海道墨人展■第66回札幌墨象会展 (2015)
■第56回札幌墨象会展 (2009)
■第53回札幌墨象会展(2007年)
■第52回
■第46回
■第45回
■第44回
■02年秋
■札幌墨象会12人の書展
■第40回(01年春)
■第24回北海道墨人展 (2010)
■第23回北海道墨人展 (2009)
■第9回北の墨人選抜展(2008年9月)
■第21回北海道墨人展(2007年)
■第20回北海道墨人展
■第16回北海道墨人会(2002年4月8日の項)
※以上、画像なしが多いです
■交錯する眼差しの方へ II 遠藤香峰・大川壽美子・須田廣充・竹下青蘭・吉田敏子(2013)
■交錯する眼差しの方へ 遠藤香峰・大川壽美子・須田廣充・竹下青蘭・吉田敏子 書展 (2008)
札幌の美術2003 19+1の試み展 ※画像なし
・地下鉄東西線「バスセンター前駅」から約200メートル、徒歩3分
・ジェイアール北海道バス、中央バス「サッポロファクトリー前」から約520メートル、徒歩7分(札幌駅バスターミナル、時計台前などから現金のみ100円)
・中央バス「豊平橋」から約820メートル、徒歩11分(月寒、清田、平岡方面から来る人は、これもひとつの手)
(市民ギャラリーには駐車場はありませんが、すぐ前の東6丁目通がパーキングになっているほか、周囲にコインパーキングがいくつもあります)