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■札幌国際芸術祭2017アーティスト・プレビュー 平川紀道 《datum》(2017年2月16~19日、札幌) 2月19日は10カ所(3)

2017年02月21日 18時24分45秒 | 札幌国際芸術祭
(承前。(2)よりも先にアップします)

 正式名称は
2017冬季アジア札幌大会連携 創造都市発信事業 札幌国際芸術祭2017アーティスト・プレビュー 平川紀道 《datum》

 同芸術祭のサイトによると

今年の8月に開幕する札幌国際芸術祭2017のモエレ沼公園会場では、宇宙の文化芸術活用を推進するARTSATプロジェクトと札幌市資料館を拠点に継続的な活動を行なっているSIAFラボのコラボレーションにより、モエレ沼公園を舞台とした新作《Sculpture to be Seen from Space, Improvisation to be Heard from Space. 宇宙から見える彫刻、宇宙から聞こえる即興演奏》を発表します。

(中略)

《datum》は、平川が現在取り組んでいる高次元空間における美をテーマとした映像と音響によるインスタレーションです。今回は、モエレ沼公園で実際に作家が撮影した画像データを使用し、最新作として発表します。

 とのこと。

 高次元空間とか、むつかしい理屈はよくわかりませんが、迫力ある映像でした。
 巨大なスクリーンに、モエレ沼公園内の冬景色が一瞬投影されたかと思うと、それがおびただしい数の点となって分解し、集積し、揺れ動き、色を変え、さまざまに変容していきます。
 冬景色は数種類で、それが1、2分おきに登場するようですが、それに続く吹雪のような映像のダイナミックな動きは、毎回おなじパターンなのかどうかは、見ていてもわかりませんでした。同じ映像をループしているのではなく、その都度、同一の風景写真を異なった映像に変換しているように思われました。
 
 この作品から吹雪を連想するのは、大きな音のせいもあると思います。
 ゴーッという音が絶え間なく響いて、まさに暴風雪のようです。

 恐ろしい吹雪は札幌育ちの自分にとっても、ひとつの原風景といえます。
 目の前が真っ白になって見通しがまったくきかず、時には吹きだまりのために街なかの道路でさえも通行困難にし、生命の危機すら感じさせる、猛吹雪。以前も書いたことがあるかもしれませんが、たとえば小林多喜二「東倶知安行」や本庄陸男「石狩川」などに見られるように、猛吹雪は北海道の厳しい風土の象徴とすらいえると思うのです。

 ただ、よく考えてみると、札幌市内をまひ状態にしてしまうような激しい吹雪は、2001年あたりを最後に発生していません。
 ということは、北海道らしい猛吹雪を知らない若い人もいそうです。
 
 「道民としてそれでいいのか」
という気持ちも、冗談半分で浮かんできますが、この作品を機に、あの猛吹雪に思いをいたしてほしいと、筆者は考えるのでした。
 そもそも会場が、ふだん雪を貯蔵している倉庫ですからね。
(ここは、かつて佐々木秀明さんのインスタレーションを展示したことなどもあります)


 あと、ツイッターにも書きましたが、ガラスのピラミッドでの展覧会は通常、午前9時からスタートすることが多く、今回は開場時間が短い。会期もわずか4日間で、そこがちょっと残念でした。


2017年2月16日(木)~19日(日)午前11時~午後5時(入場30分前まで)
モエレ沼公園ガラスのピラミッド 雪倉庫(札幌市東区モエレ沼公園)


http://moerenumapark.jp/siaf2017_datum/

http://counteraktiv.com

(この項続く) 


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