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【告知】札幌彫刻美術館の新シリーズ「New Eyes」第1弾は「となりのひと」(2012年6月2日~8月26日)

2012年06月02日 21時14分21秒 | 展覧会等の予告
 すみません、もう始まっています。

 本郷新記念札幌彫刻美術館の新しいシリーズ「New Eyes」。

 ことしのテーマは「となりのひと Art about our neighbor」です。

 彫刻・立体だけではなく、絵画や映像もあるなど、これまでの「北の彫刻展」とはかなり異なったものになりそうな期待があります。
 出品作家は、鴻上宏子、小林麻美、佐竹真紀、冨田哲司、野又圭司、村山由布の6氏と、本郷新です。

 このうち佐竹さんは映像作品で海外でも評価されており、富田さんも映像が多いと思います(今回は、なにやらプロジェクトを展開しているようですが)。小林さんは「絵画の場合」が終わったばかりで、絵画です。
 野又さんは立体ですが、いわゆる彫刻というより、インスタレーション的な作品が主です。
 ということは、6人中2人しか、一般的な意味での「彫刻家」がいないわけで、このあたりにも、新機軸といいますか、美術館が新シリーズにかける意気込みがつたわってきます。


 これまで同美術館は「北の彫刻展」を隔年でひらいていました。
 2000年までは、おおむね顔ぶれが決まっていました(■北の彫刻展2002 参照)が、年々作家が増えて会場が手狭になってきたこともあったのか、2002年以降は毎回出品作家をいれかえるようになりました。

 ただし、その時々のテーマが「素材」だったり「女性作家」だったりで、まあ、ダメとは言わないけれど、もうすこしキュレーション的視点を打ち出してもいいかな~とも思っていました。

 今回、フライヤーやウェブサイト、フェイスブックのページに書かれたテキストは、新しいシリーズをはじめるにあたっての、マニフェスト(と書くと、いまの政治のせいでイメージが悪い言葉になってしまったけれど、要するに「宣言」ということです)になっていると思います。

 以下、引用。

New Eyes(ニュー・アイズ)は、この北国から優れた作家が育つことを願っていた本郷新の思いを受け、当館が隔年で開催してきた「北の彫刻展」を継承する新シリーズ展です。
本展では、彫刻・立体表現を中心に、我々をとりまく世界を見つめる作家たちの新鮮な目を、今日的テーマのもとに紹介します。

第1回目のテーマは、「となりのひと」。私たちのとなりには、家族や友人、あるいは見知らぬ人がいます。すぐそばにいても、とらえがたく感じたり、離れていても、近くにいるような親しさを覚えたり―人と人との心的な距離は、物理的距離とは関係なく移ろっています。

近年のソーシャルメディアの発達によって、その距離はますます盛んに伸び縮みしているようです。あるいはあの震災後、多くの人が傷ついた人々のことを思い、しかし彼らとの距離を測りかねてきたのではないでしょうか。

本展では、本郷新と北海道を拠点に活動する6人の作家による、他者との距離、他者へのまなざしについての作品を展覧します。
私たちにとっての「となりのひと」に、あらためて思いを馳せる展覧会です。


【出品作家】
鴻上宏子 Hiroko Kogami
1967年夕張市生まれ、江別市在住。
石膏を素材に、深遠な存在感の漂う人体像を手がける。

【告知】鴻上宏子個展


小林麻美 Asami Kobayashi
1980年札幌市生まれ、札幌市在住。
日常風景に向き合い、個人の知覚の絵画化に取り組む。
http://www.kobayashi-asami.com/

SAG Introduction II (2009)


佐竹真紀 Maki Satake
1980年豊頃町生まれ、ケルン在住。
家族を題材に、「記録」と「記憶」の狭間を探究する写真アニメーションを制作。
http://www.makisatake.com/

愛する美術 ヒューマンラブ(3) 佐竹真紀「インターバル」


冨田哲司 Tetsushi Tomita
1977年札幌市生まれ、札幌市在住。
写真、映像、立体など多様な手法により、社会批評的作品を制作。
http://www.tetsushitomita.com/art/
Zip Us Up Art Project 作品展示に使用する服を募集しています。

【告知】まぼろしのいえ 川上りえ×冨田哲司


野又圭司 Keiji Nomata
1963年函館市生まれ、岩見沢市在住。
現代社会への批判的視点による精巧な作品を展開。

500m美術館(3)


村山由布 Yu Murayama
1977年帯広市生まれ、鷹栖町在住。
人の心のありようを異形の姿で表現した彫刻作品を手がける。

本郷 新 Shin Hongo
1905年札幌市生まれ、1980年没。
力強い生命感に満ちた人体彫刻により、戦後日本の具象彫刻を牽引。 


 作家紹介で、過去の記事へのリンクは、こちらではらせていただきました(もちろん、札幌彫刻美術館のサイトが、北海道美術ネットの記事へ直リンクをはっているわけではないということです)。

 「他者」「まなざし」というキーワードから召喚されるのは、ラカンやフーコー、あるいはカントやサルトル、あるいはマイケル・フリードなんでしょうが、筆者は不勉強につき、宿題にしたいと思います。


2012年6月2日(土)~8月26日(日)午前10:00~午後5:00(入館は4:30まで)
★7月13日(金)は午後8:00まで開館(入館は7:30)
休館日 月曜日※ただし7月16日(月)は開館し、7月17日(火)休館
本郷新記念札幌彫刻美術館(中央区宮の森4の12)

観覧料 一般500(400)円、65歳以上400(320)円、高校・大学生300(250)円、中学生以下無料 
※( )内は10名以上の団体料金。
★6月30日(土)はサンクスデーにつき入館無料


【関連事業】
アーティストトーク「となりのひとの話」
出品作家が自作についてお話します。
6月16日(土)午後2:00~3:00
※予約不要、要展覧会観覧券

サンクスデー
日頃美術館を訪れてくださっている皆様への感謝を込めて、
6月30日(土)は本館、記念館とも入館料が無料になります。

ナイトミュージアム
8時まで開館延長。静かな夜の美術館でごゆっくりお過ごしください。
「カルチャーナイト」参加企画。
7月13日(金)午後5時~午後8時(入館は午後)

★同日6:30からは学芸員によるギャラリートークを実施。
本展および記念館の展示をご案内します(予約不要、要展覧会観覧券)。


いちにちカフェ
美術館の中に小さなカフェが登場。
展覧会を観たあとは、ドリンクを片手におしゃべりを。
7月28日(土)午前11:00~午後4:30




・地下鉄東西線「西28丁目」からジェイアール北海道バス「山の手環状線(神宮前先回り)」に乗りつぎ「札幌彫刻美術館入り口」で降車、約610メートル、徒歩8分
・地下鉄東西線「円山公園」3番出口、「西28丁目」3番出口からいずれも約1.78キロ、徒歩23分

・札幌宮の森美術館から約680メートル、徒歩9分


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