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■旅立ちー作家たちの青春 (2020年9月19日~12月6日、帯広)

2020年12月07日 05時58分04秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 画家の若い時代の作品を集めた展覧会。
 会期終了後の紹介になってしまってすみません。

 作家は
伊藤隆二、中谷有逸、井田照一、北岡文雄、矢柳剛、おおとひでお、トゥールーズ=ロートレック、カッサンドル、里見宗次、多賀新、レンブラント、シュール・デュプレ
の12人の計25点。
 このうち油彩が5点で、あとはすべて版画。
 地元十勝から西洋の大家までが名を連ねていて「初期」という以外には何も共通点はありません。

 冒頭画像の左側は、おおとひでお「太陽をとる王様」(1965)。
 右側は矢柳剛「ブラジルの叫び」(1958)。
 たしかに、後年の矢柳さんの明快な色調の版画とは作風がだいぶ異なります。

 異色の銅版画家、多賀さんは、十勝の本別町の出身。
 「傍観者(自画像)」「女と止揚」「合体図」の、1974~76年の3点が並んでいました。
 多賀さんはもっとエロティックな作品もあるように思いますが、さすがに公立美術館で購入・展示するにはいろいろ差し障りがあるのでしょうか。

 目を引いたのが北岡文雄さんの1947年の「祖国への旅」の4点。
 いずれも小品で、最も大きな「祖国への旅―船艚」でも長辺18.5センチしかありません。
 北岡さんは戦後、日本を代表する木版画家の一人となるとともに、札幌版画協会(のちに北海道版画協会に発展)の創立に大きな役割を果たすのですが、初期には黒と白のメリハリが効いた力強い木版画を作っていたのでした。新中国のプロレタリア版画を思わせる作風です。
 題材、画風ともに、彼が旧満洲から引き揚げてきた体験が大きいのだと思いますが、そういうことは、パネルで説明してほしいです。

 出口に神田日勝が若いころに描いた馬の絵の写真パネルがありました。
 道立近代美術館の神田日勝展に貸し出されていたので、こういう扱いになったようですが、神田日勝展が終わって返却されても、帯広美術館の倉庫に直行して、この部屋には飾らないとのことでした。


2020年9月19日(土)~12月6日(日)
道立帯広美術館(帯広市緑ケ丘)

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