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石狩在住の「ドローイングマン」を名乗る男性は、モノクロームのドローイングの個展と、ドローイングパフォーマンスの二つを軸に、この1年半ほど活発な活動を展開している。
今回は、札幌市資料館の一室の壁を、ごらんのような絵で埋め尽くした。その上に、6日間の会期の5日目に、自らの手で着彩し、一部を塗りつぶすパフォーマンスを行った。
彼の絵は、ひとことで説明するのが難しい。一時期のような、細密画を思わせる細かさはやや後退したが、ときに浮世絵風だったり、ときに抽象画だったり、あるいは地図のようだったりする。
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窓の左側、すなわち、冒頭画像や、この上の画像での、右側の壁面は、縦横の線が碁盤のように走り、たしかに札幌の街路を連想させる。
ただ、現実の札幌には、太い街路で区切られた区画の中を細い道路が縦横2本ずつ走る地区は存在しないのだが。
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歌麿や写楽の役者絵を思わせる人物が、摩天楼にパンチを食らわせている。
これは、日本よ、西洋文明に負けるな-という意味がこめられているのではないだろうか。
筆者なりに補足すれば、この人物は耳にピアスをしているし、純粋な日本文化の象徴とはいえないかもしれない。
しかし、純粋な日本文化という問題の立て方が間違っているのであろう。水墨画が明の圧倒的な影響下にあるように。
とはいえ、日本でアートをやるのであれば、日本文化をかえりみること自体は、よいことだと思う。
さて、彼のパフォーマンスは、「ドローイングマン」名義になってからは、一般的なライブペインティングとはスタイルがいささか異なる。
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今回はライブペインティング的だったが、額縁をかついで街を歩くといった、「描く」ことと直接関係しないパフォーマンスも行う。
そして、いずれにも共通しているのは、そのゆっくりとした所作である。
古来の日本人の動きは、「腹をすえる」「腰を落ち着ける」といった言葉に象徴されるように、重心を下方に置いていたと思う。これは、稲作民族のゆえんだろう。
ドローイングマンの動きは、例えば暗黒舞踏と共通する、重心の低さを持っている。
ただ、これを「舞踏」というカテゴリーにいれてしまっていいかは、かなり悩ましい問題だ。
カテゴライズした瞬間に、見落としてしまうものがあるだろうからだ。
といっても、彼の所作が、きわめてオリジナリティーにあふれた独創的かつ魅力的なものであるかどうかは、いささか微妙なのもまた確かなのである。
彼は、音楽をまったく援用しない。
パフォーマンスの間は、会場はほとんど無音である。
その時にもよるが、次にどういう行動に出るかまったく読めないこともあるためだろう、会場は緊張感が支配する。
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床のブルーシートは、パフォーマンスの前に、そのために敷かれたものだろう。
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彼の室内のパフォーマンスが1時間を超えたことはないと思う。
あと、今回の個展タイトルに「ガール」とあるのは、どんな意味なんだろう?
2016年5月3日(火)~8日(日)午前9時(初日午前11時)~午後7時
札幌市資料館(中央区大通西13)
□ドローイングマン official web site http://f-y-drawing.jimdo.com/
関係記事へのリンク
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【告知】ドローイングマン、ドローイングパフォーマンス (2014年12月13日、札幌)
■生息と制作-北海道に於けるアーティスト、表現・身体・生活から (2013)=東京でのグループ展
・藤谷康晴展 WILD BRIGHTNESS―幻視の狩人 (2012。記事なし)
【告知】藤谷康晴 覚醒庵~ドローイング伽藍 (2011)
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