上ノさんは北広島に窯を持つ陶芸家ですが、素材にこだわらることなく、木なども用いたインスタレーションも自然体で手がける珍しい作家です。
竹ひごを現地で組み立てるインスタレーションは、筆者は、見るのが3度目です。
この会場は、どうみても「らいらっく・ぎゃらりい」などにくらべて広いので、過去最大ということになりそう。
グランビスタの端から端まで、ひとつの作品が中空につるされています。
過去2度との違いは、竹ひごが紅白に塗られていること。
赤い部分と白い部分が交互に続いています。
やはりお正月を挟む展示だからでしょうか。
また、会場が明るいので、床にうつった影のかたちもおもしろいです。
上ノさんは今回も会場で組み立てる方式を採り、12日間で制作したそう。
この、ワームホールのような、SF的というか数学の本に出てきそうな不思議な形状が魅力的に見えるのはなぜだろうと考えてみると、このかたちが、実際に目の前に存在することって、あまりないと思うんですよ。
もちろん、立方体や、人物像がダメだといっているわけではないのですが、そういう形は、石でも木でも金属でも、それなりのスキルがあったり、あるいは工場設備があったりすれば、創り出すことができます。
しかし、この上ノさんの造形を、木や石でつくることは、どんなに腕が立つ彫刻家や職人でも難しいでしょう。素材の性質からして、無理なのです。
しかも、このワームホール(作品名がどこにも記されていないのです)は、中が空洞になっており、なおさら木や石では不可能です。
重量の面でいえば、あるいは紙なら可能かもしれませんが、こんどは強度が足りず、これほど大きな形を持ちこたえることができそうにありません。
絵画ではありそうだけど、実際に立体としてこの目で見ることができる「いままであまり見たことのない形」。
この立体のおもしろみは、そのあたりにあるのではないでしょうか。
上ノさんは陶芸家ですが、この手の個展にはあまり陶芸の自作を展示しません。
今回、会場の端に何点か並んでいますが、いわゆる器はなく、人間のかたちに似たオブジェや、曲線がうねる抽象的なオブジェ、河原の石ころのような立体が置かれていました。
壁面には、長方形の部厚い板が3枚、横一列に並んで掛けられています。
それぞれ、鋭い斜めの切れ込みが入っており、その溝の中は黒く塗られています。
会場で見ると、ワームホール作品がすべて曲線でできているので、こちらの板の作品とうまい対照になっています。
板の作品の手前には、木でできた厚い本が2冊、台の上に置かれていました。
シンプルながら、読むことのできない本というのがどこか矛盾した存在であり、おもしろい雰囲気をたたえています。
なお、メインの大作は、展覧会が終わったら、壊してしまうとのことで、ギャラリーの方によると、
「搬出はあっという間だそうです」。
もったいない話ですが、この大きさでは、搬出は絶対不可能でしょう。
2020年12月2日(火)~1月6日(水)午前11時~午後7時(最終日~5時)、土日・12月31日~1月3日休み
グランビスタギャラリーサッポロ(札幌市中央区北1西4 札幌グランドホテル本館1階 www.grand1934.com )
過去の関連記事へのリンク
■上ノ大作展 -private pieceー (2018)
■第10回記念 凍土会展2018ー北土を綴る
■平面と立体の交差 ・北広島のコンテンポラリーアート (2017)
ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
■第26回道銀芸術文化奨励賞受賞記念 上ノ大作々品展 (2017年1月)
■帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
■上ノ大作 器展 (2015)
■、ノ記 上ノ大作作品展 (2014)
■木が語る (2014年5月)
■防風林アートプロジェクト (2014)
■上ノ大作 作品展―森の生活― (2013)
■上ノ大作「ムノウノ人」 ハルカヤマ藝術要塞(2011)
■あな展(2010年)
■花のある暮らし 身近な自然と暮らし(2009年)
■新茶を愉しむ 旅する茶器(2009年)
■第8回生まれ出ずる土塊展(2008年、画像なし)
■第1回「凍土会陶芸展」 (2008年、画像なし)
■上ノ大作作品展-陶ト木ト紙ト-(2007年、画像なし)
・地下鉄南北線「大通駅」の北側(チ・カ・ホ寄り)改札口、南北線「さっぽろ駅」の南側(チ・カ・ホ寄り)改札口、どちらからでも、チ・カ・ホ経由で徒歩5、6分です
竹ひごを現地で組み立てるインスタレーションは、筆者は、見るのが3度目です。
この会場は、どうみても「らいらっく・ぎゃらりい」などにくらべて広いので、過去最大ということになりそう。
グランビスタの端から端まで、ひとつの作品が中空につるされています。
過去2度との違いは、竹ひごが紅白に塗られていること。
赤い部分と白い部分が交互に続いています。
やはりお正月を挟む展示だからでしょうか。
また、会場が明るいので、床にうつった影のかたちもおもしろいです。
上ノさんは今回も会場で組み立てる方式を採り、12日間で制作したそう。
この、ワームホールのような、SF的というか数学の本に出てきそうな不思議な形状が魅力的に見えるのはなぜだろうと考えてみると、このかたちが、実際に目の前に存在することって、あまりないと思うんですよ。
もちろん、立方体や、人物像がダメだといっているわけではないのですが、そういう形は、石でも木でも金属でも、それなりのスキルがあったり、あるいは工場設備があったりすれば、創り出すことができます。
しかし、この上ノさんの造形を、木や石でつくることは、どんなに腕が立つ彫刻家や職人でも難しいでしょう。素材の性質からして、無理なのです。
しかも、このワームホール(作品名がどこにも記されていないのです)は、中が空洞になっており、なおさら木や石では不可能です。
重量の面でいえば、あるいは紙なら可能かもしれませんが、こんどは強度が足りず、これほど大きな形を持ちこたえることができそうにありません。
絵画ではありそうだけど、実際に立体としてこの目で見ることができる「いままであまり見たことのない形」。
この立体のおもしろみは、そのあたりにあるのではないでしょうか。
上ノさんは陶芸家ですが、この手の個展にはあまり陶芸の自作を展示しません。
今回、会場の端に何点か並んでいますが、いわゆる器はなく、人間のかたちに似たオブジェや、曲線がうねる抽象的なオブジェ、河原の石ころのような立体が置かれていました。
壁面には、長方形の部厚い板が3枚、横一列に並んで掛けられています。
それぞれ、鋭い斜めの切れ込みが入っており、その溝の中は黒く塗られています。
会場で見ると、ワームホール作品がすべて曲線でできているので、こちらの板の作品とうまい対照になっています。
板の作品の手前には、木でできた厚い本が2冊、台の上に置かれていました。
シンプルながら、読むことのできない本というのがどこか矛盾した存在であり、おもしろい雰囲気をたたえています。
なお、メインの大作は、展覧会が終わったら、壊してしまうとのことで、ギャラリーの方によると、
「搬出はあっという間だそうです」。
もったいない話ですが、この大きさでは、搬出は絶対不可能でしょう。
2020年12月2日(火)~1月6日(水)午前11時~午後7時(最終日~5時)、土日・12月31日~1月3日休み
グランビスタギャラリーサッポロ(札幌市中央区北1西4 札幌グランドホテル本館1階 www.grand1934.com )
過去の関連記事へのリンク
■上ノ大作展 -private pieceー (2018)
■第10回記念 凍土会展2018ー北土を綴る
■平面と立体の交差 ・北広島のコンテンポラリーアート (2017)
ハルカヤマ藝術要塞2017 FINAL CUT
■第26回道銀芸術文化奨励賞受賞記念 上ノ大作々品展 (2017年1月)
■帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト
■上ノ大作 器展 (2015)
■、ノ記 上ノ大作作品展 (2014)
■木が語る (2014年5月)
■防風林アートプロジェクト (2014)
■上ノ大作 作品展―森の生活― (2013)
■上ノ大作「ムノウノ人」 ハルカヤマ藝術要塞(2011)
■あな展(2010年)
■花のある暮らし 身近な自然と暮らし(2009年)
■新茶を愉しむ 旅する茶器(2009年)
■第8回生まれ出ずる土塊展(2008年、画像なし)
■第1回「凍土会陶芸展」 (2008年、画像なし)
■上ノ大作作品展-陶ト木ト紙ト-(2007年、画像なし)
・地下鉄南北線「大通駅」の北側(チ・カ・ホ寄り)改札口、南北線「さっぽろ駅」の南側(チ・カ・ホ寄り)改札口、どちらからでも、チ・カ・ホ経由で徒歩5、6分です