(承前)
前項で、白日会展の道内関係者から出品された作品を大量にアップしましたが、この団体公募展の本展を見たのは初めてなので、思ったことを少し書いてみます。
まず、冒頭画像の右端は中山忠彦会長の作品です。
道展、全道展、新道展などには「会長」職はなく、事務局長がいるだけなので、そこからして新鮮です。
しかも、会長自ら「創立百周年記念賞」と「伊藤清永賞」を受賞しています。
ちなみに伊藤清永は、白日会の先輩洋画家(1911~2001)です。
会長がこういう、着衣の気品漂う婦人像を毎年描いているせいか、会場でも同様の女性画がめだっているような印象があります。
全体を通してみると、静物画や風景画も多いのですが。
女性像の大半は着衣で、裸婦像は非常に少ないです。
2枚目の画像の右はその1枚で、森の中の裸婦を描いています。
もっとも、着衣であっても、こんな感じで尻を出している若い女性の絵を見ると、へたなヌードよりもどきっとしてしまいます。
現代社会とまったく接点のなさそうな、中層・上流階級の優雅な人々を写実的に描いている絵が多いんですよね。
まあ、そういう絵画を好む層が顧客なのでしょうが。
自分が生きている時代や地域とはほとんど関係のないところでつくられている絵が、半数以上を占めているといえそうです。
抽象画はほとんど見当たらず、キュビスムやフォービスムやシュルレアリスムの歴史もまるでなかったかのようです。
会場の雰囲気はこんな感じ。
こういう部屋が20室以上あり、2段掛けになっているところも多いです。
100周年ということで特別コーナーが設けられ、川島理一郎、中澤弘光、吉田三郎(彫刻)といった先達作家たちの絵画や彫刻もたくさん並んでいました。
会場の入り口に、会長のあいさつパネルが貼ってありましたが、「戦争の試練を受け」というくだりにはちょっとびっくり。
こちらから領土の外へ攻めに行き、周辺の国にさんざん迷惑をかけておいて、「試練を受け」というのは、筆者の理解を超えています。
また、公式サイトに、審査風景の写真が載っているのですが、審査員がほぼ全員男性と見受けられます。女性は? とみると、アシスタントのように1人だけわきにいるーという光景に「ほんまに2024年なのか…」と驚いてしまったことも、書き添えておきます。
せっかく道内勢がたくさん出ているのに、dis ってるような感じになってしまい、すみません。
こういう、時代の流れから超然とした世界があるのも、それはそれで意味のあることなのだろうとは思っています。アートは、つまるところ、自由なので。
2024年3月21日(木)~4月1日(月)午前10時~午後6時(最終日~3時)、26日休み
国立新美術館 2F 2A・2B・2C・2D展示室(東京都港区六本木7-22-2)
□白日会 https://www.hakujitsu.com/
前項で、白日会展の道内関係者から出品された作品を大量にアップしましたが、この団体公募展の本展を見たのは初めてなので、思ったことを少し書いてみます。
まず、冒頭画像の右端は中山忠彦会長の作品です。
道展、全道展、新道展などには「会長」職はなく、事務局長がいるだけなので、そこからして新鮮です。
しかも、会長自ら「創立百周年記念賞」と「伊藤清永賞」を受賞しています。
ちなみに伊藤清永は、白日会の先輩洋画家(1911~2001)です。
会長がこういう、着衣の気品漂う婦人像を毎年描いているせいか、会場でも同様の女性画がめだっているような印象があります。
全体を通してみると、静物画や風景画も多いのですが。
女性像の大半は着衣で、裸婦像は非常に少ないです。
2枚目の画像の右はその1枚で、森の中の裸婦を描いています。
もっとも、着衣であっても、こんな感じで尻を出している若い女性の絵を見ると、へたなヌードよりもどきっとしてしまいます。
現代社会とまったく接点のなさそうな、中層・上流階級の優雅な人々を写実的に描いている絵が多いんですよね。
まあ、そういう絵画を好む層が顧客なのでしょうが。
自分が生きている時代や地域とはほとんど関係のないところでつくられている絵が、半数以上を占めているといえそうです。
抽象画はほとんど見当たらず、キュビスムやフォービスムやシュルレアリスムの歴史もまるでなかったかのようです。
会場の雰囲気はこんな感じ。
こういう部屋が20室以上あり、2段掛けになっているところも多いです。
100周年ということで特別コーナーが設けられ、川島理一郎、中澤弘光、吉田三郎(彫刻)といった先達作家たちの絵画や彫刻もたくさん並んでいました。
会場の入り口に、会長のあいさつパネルが貼ってありましたが、「戦争の試練を受け」というくだりにはちょっとびっくり。
こちらから領土の外へ攻めに行き、周辺の国にさんざん迷惑をかけておいて、「試練を受け」というのは、筆者の理解を超えています。
また、公式サイトに、審査風景の写真が載っているのですが、審査員がほぼ全員男性と見受けられます。女性は? とみると、アシスタントのように1人だけわきにいるーという光景に「ほんまに2024年なのか…」と驚いてしまったことも、書き添えておきます。
せっかく道内勢がたくさん出ているのに、dis ってるような感じになってしまい、すみません。
こういう、時代の流れから超然とした世界があるのも、それはそれで意味のあることなのだろうとは思っています。アートは、つまるところ、自由なので。
2024年3月21日(木)~4月1日(月)午前10時~午後6時(最終日~3時)、26日休み
国立新美術館 2F 2A・2B・2C・2D展示室(東京都港区六本木7-22-2)
□白日会 https://www.hakujitsu.com/
(この項続く)