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■三世代+α展 (2024年7月30日~8月4日、札幌)

2024年08月07日 14時59分40秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 三回忌を迎えた館田孝廣さん、娘・高田千絵さん、孫・羽未さんと爽良さんによる絵画展。

 おなじタイトルと趣旨の展覧会は一昨年にも開かれていました。
 筆者はすっかり忘れていました。
 
 館田さん(1949~2022)は、2007年に退職すると、本格的に水彩画の筆を執り始めました。
 10年には道展で佳作賞を受賞したほか、日本水彩画会(日水)でも入選を重ね、21年には日水の会友に推挙されています。
 また、水彩俱楽部シーズンズといったグループ展への参加や、プチレストランぱーとな(現在は閉店)や喫茶十字館などでの個展など、精力的に活動していました。

 とてもオーソドックスな画風で、名所でも絶景でもない、人影のない道内の風景を、丁寧な筆遣いで丹念に描いていました。
 冒頭画像の左側は「ウトナイ湖早春」(2018)。
 紙の白を生かした閑寂の雪景色ですが、画面からはかすかな春の兆しが漂ってきます。
 
 そのとなりの小品は「旗」(2020)。
 案内状に印刷されていた絵です。
 海岸でよく見られるものですが、何を目的に設置されているのか、筆者は正確なところを知りません。漁船への合図でしょうか。

 さらにその右にあるのは「深秋」(同)。
 木々に囲まれた建物です。
 ふつうはあまり絵の題材にしなさそうな風景ですが、どこなのかは判然としません。
 
 


 左から「春を感じて」(同)、「冬囲い、夜」(2010)、「早春賦」(2020)。

 とくに筆者は「春を感じて」の砂浜の描写に見入りました。
 こげ茶色の砂は、海水に濡れた、しっとりとした感じがみごとに表現されています。

 それにしても、寒々しい風景に「春」という文字が入った題が多いのは、いかにも北海道だな~と言わざるを得ません。 
 

 中央は「厚田漁港の夕暮」(2015)。
 館田さんと以前すこしお話ししたときに、石狩市厚田区が主催する水彩画コンクール「アクアレール」に出品するようになって、厚田など日本海の風景を題材にすることが増えたと言っておられました。

 右は、最期にのこされていた作品で、仮に無題としています(2021)。
 やはり3月末から4月にかけて、雪が解けてきた川や中洲を描いているようですが、この作品も描かれた場所はわかっていません。
 ある種のすさまじさや自然のきびしさと、安らいだ感覚とが、おなじ画面に同居しているような、ふしぎな絵だと思いました。
 
 あらためてご冥福をお祈りいたします。


2024年7月30日(火)~8月4日(日)午前10時半~午後6時半(最終日~5時)
さいとうギャラリー(札幌市中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)

過去の関連記事へのリンク
館田孝廣水彩画展 (2018)
第59回日本水彩画会北海道支部展 (2018、画像なし)
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