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■いのちのかたち…かもしれない展 (2017年1月10~22日、札幌)

2017年01月24日 09時10分38秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 高橋靖子、瀬川葉子、高橋佳乃子、加藤宏子、日野間尋子の、札幌圏に住む中堅・ベテラン女性5氏によるグループ展。美術評論家、詩人の柴橋伴夫氏による企画で、この顔合わせは初めて。

 このうち、加藤さんが唯一の彫刻。
「Improvisation XXVII」は、これまでと同様に手すきの紙による大作で、ドレープのある花のようなフォルムが、強靱な生命を感じさせる。
 この大作が会場の中心にでんと腰を据えていることで、会場全体がとても引き締まって見える。

 ダブル高橋さんはいずれも、従来の画風を踏襲しつつも、新しい発展をみせている。
 高橋靖子さんは「11月の―ワタシ―」「12月の―ワタシ―」「青に咲く」「―ワタシ―2016」の4点で、ひたすら短い線を画面に連ねる中で、日記のように文字をかきいれている。その合間に描き込まれた模様がトンボのようにも見える。
 このほか、刺繍による「作品A」もあり、まさに「たゆまぬ画家の歩み」と言うべき作品。

 高橋佳乃子さんは「ローズ バイオレット 2017」「ブルー グレー 2017」「ウォーターブルー 2017」「ミストグリン」と、色そのものをタイトルとした。
 タブロー絵画ならではの、色と色のレイヤーの重なり合いが美しい。

 瀬川さんは、北側の壁面いちめんを埋め尽くした「森は水を湛えて」が目を引く。
 穴があいた不定形の紙片を何枚もつなぎ、重ね合わせた一種のコラージュというか、平面インスタレーション的な作品だが、その方法論をじゅうぶんに生かした、ひろがりのある展示になっていると感じた。

 日野間さんは「drawing」と題した映像。
 映しだされている絵が、彼女のものではなく、彼女が携わっている障碍者支援施設の人たちの作品だった。そこに、ほんのちょっとだけ違和感を抱いた。説明文によると、19~92歳の103人がいるという。
 もし映像が、絵そのものではなく、描き方を教えたりいっしょに描いたりしている場面を撮ったものであれば、引っかかりはなかったかもしれない。
 もちろん、施設利用者ではなく、彼女の名が出ることについては、プライバシーなどの面から、いたし方ない面もあるのだろう。

 筆者は彼女の「びょういんあーと」などの実践に対し、異論を持つものではなく、むしろ評価したいと考えている。
 また、どんな場合にもあてはまることだが、「指導する側」と「指導される側」というのは、けっして役割が固定しているわけではなく、双方に成長や発見があるものだろうと思う。
 たとえば、フーコーの権力理論に詳しい方は、この問題をどうとらえているのだろうか。

 …なんか、じぶんの不勉強を棚に上げて、すこしよけいなことを書き綴ってしまった気がする。ご容赦ください。


2017年1月10日(火)~22日(日)午前11時~午後5時(最終日~4時)、月休み
ギャラリーエッセ(札幌市北区北9西3)





□GALLERY HIROKO - From Works of HIROKO HINOMA - http://www.hinoma.com/hiroko/

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