北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

■第5回ノルテの作家展 (11月4日で終了)

2007年11月04日 23時18分08秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 「ノルテ」というのは、中央区北1西6に2003年2月まであったギャラリーの名です。
 道教職員の共済で運営されていたため、小中高などの教師が借りると安くすみました。この展覧会は、ノルテの常設展に作品をならべていた教師・元教師の作家に、第37回北海道教職員美術展で特選に輝いた9人を加え、ひとり1点ずつを展示しています。
 常設展組は、日本を代表する書家のひとりである中野北溟さんら、公募展の会員クラスが大半。しかも、絵画、彫刻、工芸、書、写真という異分野が同時に並ぶというめずらしい展覧会で、見ごたえがあります。
 ただ、5回目ともなると、顔ぶれの固定化がちょっと気にならないでもありません。ベテランばかりだと、中期的には、じり貧につながりかねません。「ノルテなんか知らないよ」という若い世代が入ってくればおもしろいのに-と、勝手なことを考えてしまいました。

 絵画では、坂口清一さんの「遠い季節」は、ことしの全道展出品作ですが、あらためて見て、迫力十分だと思いました。
 種市誠次郎さん「母の使ったザル」は、ざる16枚を塔のように積み上げ、竹のものさし5本とリンゴ1個を配した情景を描いた1枚。種市さんの、或る種の良い意味でのしつこさには、頭が下がります。
 昨年は抽象画に近い作風を示した今本哲夫さんは、穏やかな風景画の小品を出品しました。

 彫刻はわずか3点になりました。
 丸山恭子さんのトルソ「叫ぶ声」は、尻の大きさが、迫力と安定感を与えています。

 工芸は5点とも陶芸。
 冨所義之さん「望郷II」は、抽象画のような茶系が響きあい、美しい色合いです。

 いつもいちばん作品点数が多いのが書道。
 昨年は出していなかった島田青丘さんの「空」が、さすが。1角目に入るまでの墨のしたたりが、呼吸の幅のようなものを感じさせます。
 羽毛蒼洲さんは淡墨の、どっしりした草書。中野層翠さんの良寛は、朴訥・ひょうひょうとした味わい。中野北溟さんは、周囲の余白の大きさが目立ちます。

 写真はことしも全点、全紙のカラー。
 森哲さんの「バス停」は、停留所の近くにタンチョウのような鳥が現れた、めずらしい1枚。


 出品作は次の通り。

 絵画
浅野「里・萌」60×90
今本哲夫「冬の犬吠埼」F10
鵜沼人士「Lana-Sakura」F100
江川博「地と図」F100
香取正人「街道沿いの家」S60
香西富士夫「会話=そ・ん」F100
後藤和司「9月のScene'07 I」S80
斎藤洪人「夜明けの摩周湖」S100
坂口清一「遠い季節」F130
佐藤吉五郎「浜風の風景」F100
鈴木秀明「人形のいる風景」M50
種市誠次郎「母の使ったザル」F100
宮崎由子「ふたり」P30
山崎亮「黄昏の空を行く」F100
山田光「大鏡2005」90×230

 彫刻
大槻茂「少女A」20×10×90
丸山恭子「叫ぶ声」50×40×73
山下嘉昭「譜-34」470×120×470(原文ママ。単位がミリと思われる)

 工芸
金田隆史「星の輝き」40×40×37
冨所義之「望郷II」30×30×48
中畑洋「晩秋落葉樹図」45×45×37
中村矢一「北の旅(北情)」107×70
山本恒雄「みのり」44×44×39.5

 書道
石原北陽「星野富弘詩」(記載なし)
押上万希子「松」130×70
柏聡「凡愚」100×180
清兼孝生「笑」35×45
佐々木信象「断」70×135
島田青丘「空」135×70
須田廣充「幽山」135×135
高橋祥雲「日輪」70×138
中野層翠「良寛詩」70×70
中野北溟「浪ばかり」120×105
羽毛蒼洲「凍風」136×70
東志青邨「漢字臨書(王鐸)」(記載なし。たぶん2尺8尺)
松岡篤志「やつらの足音のバラード」87×117
矢橋寿心「情懐」70×135
吉野実穂「わらひ(金子みすず詩)」70×135(「みすず」は原文ママ)
渡邊晃治「地」(胴切)

 写真
木村雅也「来たよ!」
高塩洋志「ミンク~涼~」
高橋和幸「侵入者」
傳法喜代志「秋色」
橋本博「汚れた車」
三原和廣「旅のスケッチ」
武藤省吾「盛夏の華」
森哲「バス停」


07年10月30日-11月4日 10:00-18:00(最終日-16:00) 
ギャラリー大通美術館(中央区大通西5、大五ビル)

第4回
第1回 (いずれも画像なし)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。