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■佐藤武 小品展 (2013年11月16~24日、札幌)と 鴨々堂ギャラリーのオープン

2013年11月22日 22時48分00秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 ふたつのテーマについて1本の記事で書かざるをえない。

 ひとつは、札幌在住で、石狩市厚田にアトリエがあるベテラン画家、佐藤武さんが、ギャラリーのこけら落としの個展を開いていること。
 もうひとつは、札幌・すすきのの南外れ、ジャスマックプラザホテルの向かい側に、古民家を改造したギャラリーがオープンしたことである。

 この建物は築およそ80年ということらしい。
 であれば「古民家」と呼んでなんら誤りではないが、自分が小さいころは、この手の建物はたくさんあっただけに、そういう普通の家がわざわざ「古民家」などと言われて保存の動きが起こっているのを見ると、自分も年をとったなとつくづく思わざるを得ない。
 この建物の周囲にもいくつかあったはずだ。
(ちなみに、古い建築とは関係ないが、北側の空き地にはかつて拓銀の計算機センターか何かが建っていた)

 よーく見ると、この家、2階部分の鴨々川への張り出し方がすごい(笑)。
 空間の有効活用というか、斜めに突き出ているのだ。 
(ただし、これについては筆者の発見などではなく、さっぽろ文庫「札幌の通り」291ページに「職人技」として紹介されている)

 裏手を、ゆるやかにカーブしながら流れる鴨々川の存在が、この建物を引き立てていることは、いうまでもない
 直線で構成された街中を、斜めに、あるいは曲がって通る川や小道は、それだけで潤いをもたらす。岸辺にシダレヤナギが揺れる川であれば、なおさらだ。


 さて、佐藤武さんの作品は10年以上前のものから、今年の作品まで十数点。油彩と版画である。

 インドの砂漠を思わせる乾いた大地、そして空を走る直線の亀裂。
 これが佐藤さんの世界だが、隅のほうにあった小品は、小川が流れ緑が豊かな風景を描いていた。珍しい。
 それを見ていると、なんだかその絵の中に入りたくなるほど。心がしんから安らぐ世界だった。

 自分も現実のなかで、緑が広がるさわやかな世界を見ないわけではない。ここは、北海道だから。
 でも、そういう美しい風景の中にずっといたいと思っても、いつもいつも、時間に追いまくられているように思う。時間を気にせずに、心行くまでのんびりできたためしがないのだ。

 絵の中に入り込みたくなるぐらい、画面を凝視している時間は、ごく短い。少なくとも、現実の緑の風景の中にいる時間に比べれば、ずっと短い。
 にもかかわらず、絵の世界は、現実に流れる時間を超越しているし、自分が絵の中に長い時間迷い込んでいたようにすら感じる。

 芸術の鑑賞で体感する時間の流れ方って、ほんとうに不思議だと思う。


2013年11月16日(土)~24日(日)正午~午後8時(最終日~午後5時)
鴨々堂ギャラリー(札幌市中央区南7西2)



・地下鉄南北線「中島公園」駅から約370メートル、徒歩5分
・地下鉄東豊線「豊水すすきの」駅6番出口から約410メートル、徒歩6分

・中央バス「南7西3」から約100メートル

※トオンカフェから約220メートル、徒歩3分


□画家 佐藤武 http://tsart1113.wix.com/tsart1113

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