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■クワクボリョウタ「札幌ループライン」をさっぽろ雪まつりで見た

2017年02月11日 16時52分32秒 | 札幌国際芸術祭
「トット商店街」から続く)

 さっぽろ雪まつり・大通会場の西5丁目、「トット商店街」の影絵・アニメーションの合間に投影されているのが、同作にも協力をしているクワクボリョウタさんによる「札幌ループライン」です。

 題からも分かる通り、2015年暮れに環状化(ループ化)された札幌の市電がテーマ。
 ジオラマの影絵で街を1周する電車から見る風景を、大雪像に投影する、どこか懐かしさの感じられる作品です。



 同じく2015年末から16年初めにかけて札幌市資料館で発表されたクワクボさんの「LOST #13」が、身近な文具や台所用具などの影を実際のビルディングや建築物に見たてた、いわば「抽象的」な作品だったのに対し、今作では、すすきの交叉点の「ニッカウヰスキー」の電飾や狸小路のアーケード、テレビ塔や時計台、2012年に閉店した西8丁目電停そばの喫茶「声」など、実際の札幌市電沿線の風景に取材した影絵が、次々に登場します。
 だから札幌っ子にはなんだか懐かしく感じられますが、幻灯ふうの映像は、おそらく札幌以外の人にも、郷愁を帯びて受け止められるのではないでしょうか。




 目に見えるものをそのまま模倣し提示することがアートの役割ではありません。
 高いところに位置する観覧車は、ノルベサを思わせます。しかし、ノルベサをそのままのかたちで影絵にする必要もないわけです。





 ところで、この作品は実際に模型が走るジオラマを撮影して、投影するスタイルを取っているという点で、伊藤隆介さんの作品に共通する手法といえます(ただし、あそこまで変化球ではない)。
 そのジオラマは、ステージに向かって左側の小屋の中に設置してあり、ガラス窓越しにだれでも見ることができます。



 映像に負けず劣らず、ジオラマの実物も楽しいので、これからご覧になる方は小屋をのぞくのをお忘れなく。







http://ryotakuwakubo.com/


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