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■秋田智江展-境界線-(STORYのいる場所II) 4月13日まで

2008年04月13日 10時22分28秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 秋田さんは札幌在住。
 短大で国文学を学んだあと、スペインに留学して美術を学ぶ。2005年にギャラリーミヤシタで初個展。
 それ以来、公募展やグループ展には出品せず、ほとんどミヤシタと、同ギャラリーがプロデュースするカフェでしか発表していないようだ。
 今回は、フレスコの小品をインスタレーションふうに構成している。

 入ってすぐの壁に、次のようなテキストが貼ってある。
 ひとつの個展を、本に見立てているらしい。 


プロローグ
 オオカミの耳はよく聞こえ、私の声を拾うだろう。
 そして次の日やってきて、それで私を脅すだろう。

目次
ささやかな森 15
オオカミの耳 23
羞恥心 43
ドライクリーニング 61
JARDIN 77
狭間の領域 95
ロゴスと良心 113
境界線 127


 どういう物語なのかは明示されているわけではないが、目次が示されることで、物語の存在を示唆し、絵画世界をふくらませるうまい仕掛けだといえる。

 左の壁には、大小20点。
 厚さはさまざまで、円いものもある。
 奥の壁には「127」と書かれた札の横に2点、「95」の横に3点。

 右奥の壁には、案内状に採用されていた黄色い小品が18点。
 同じ大きさの人物の顔で、一見するとほとんどおなじ絵だが、側面にかかれている線などが微妙に異なる。   
 さらに右の壁には、5点展示され、うち2点だけが額装されている。

 どれも写実的に描かれているものはなく、といって抽象でもない。ドローイングのようなラフなタッチが、現代の絵画だという気がする(うまくいえないけど)。


         

 以前も書いたことだけれど、20世紀のモダニズムは、絵画の中から文学性を排除して発展してきた。
 それは、絵画を、本の挿絵から自立したジャンルへと上昇させるには大いに役立ったが、その半面、一般の人にとって敷居を高くした面は否定できない。
 絵画(や美術)が、わたしたちの生に相渉るものであるとするならば、そういう要素を逆に取り込んで、しかもなお平面美術として自立できる強度を持つものが、21世紀に生き残る絵画(美術)だろうと、筆者は思うのである。
 その点で、秋田さんには注目しています。



08年3月26日(水)-4月13日(日)12:00-19:00(最終日-17:00)
ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20 地図D)

05年の個展

□Kinotoyaカフェギャラリー http://www.kinotoya.com/gallery/08.html


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