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「古典」が今おもしろい! といわれても…

2009年07月10日 23時41分05秒 | つれづれ読書録
承前)

 ところで、経済学の世界であれば、先に挙げたアダム・スミス「国富論」やマルクス「資本論」あたりが押しも押されもせぬ古典であろうし、教育学ならルソー「エミール」、ペスタロッチ「隠者の夕暮」、フレーベル「人間の教育」などは、どんな関係者が選んでも古典に位置づけられるだろう。

 しかし、芸術、美術の世界で
「これを読んでおかなくちゃ」
という本って、あまりきかないような気がする。
 筆者が無知なだけなんだろうか。

 10冊挙げられれば美しいのだが、とりあえずいま考えられるのは…

岸田劉生「美の本体」
ベンヤミン「写真小史」
柳宗悦「民藝四十年」
「ロダンの言葉」
「ゴッホの手紙」
カント「判断力批判」

あたりだろうか。

 自信ないなあ。

 「これはおもしろい!」
という本はけっこうあると思うのだが、それが「古典」とよぶにふさわしいかどうかは、まったく別の問題なのである。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
高校生のときに (イエローマン)
2009-07-12 09:16:27
ヘーゲル全集の美学竹内敏雄訳「岩波書店」の本を読んだが、古い漢字で読みづらくて、苦労した思い出があるw
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2009-07-12 23:27:25
「高校生のときに」
っていうのがすごいですね!

漢字が新しくても、読むのは大変だと思います。ヘーゲルの本って、読みづらい哲学書の代名詞ですよね。
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Unknown (asano)
2009-07-14 09:35:43
マルクス・エンゲルス『文学・芸術論』 って確か大学時代買ったか誰かから借りっぱなしでそのまま本棚に飾ってありますね。。。。。。。。。。
資本論も1巻だけ
ゼミのテキストで使っていた、エンゲルスの「猿が人間になるについての労働の役割」は見事に自分があたったところだけ黒くなっていて、他は真っ白です。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2009-07-15 00:11:24
書棚を探してもないと思ったらasanoさんのところに…というのは冗談で、マル・エンの芸術論というのはそういう本がもともとあるのではなくて、くだんのふたりが芸術について書いた文章を日本で編集して一冊にしたものですね。いまどき、マルクス主義の芸術学なんてやってる人はいないでしょうね。

エンゲルス「猿…」は、読み物としてはともかく、ネタ本になっているモルガン「古代社会」の「群婚」という概念が、レヴィ=ストロースらの文化人類学の研究によって完全に否定されましたから、もはや過去の書物といえそうです。
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どんどん広がりそうな話題ですね (amagumo)
2009-07-17 08:15:11
>芸術、美術の世界で

というカテゴライズが、どうなんだろうか。

学として美を考えるなら美学、芸術学、美術史などの古典的名著があると思うし
技法論や画家が論じる評論や精神論もいろいろ。
そしてまた、古典とは何かと考えると、ルネッサンスにまで遡れそう。
ヤナイさんが挙げた近代日本美術に関わるような古典…
「資本論」と同時代の本なら、西洋あるいはアメリカ近代美術における古典…みたいな感じでいろいろ本は出てきそう。

あるいは「古典が今面白い!」という企画があって提案すべきものなら「今面白い」の部分もかなり重要なんでしょうね。アクチュアルな古典って、なんだろう。

ロザリンド・クラウスが「ヴィデオのメディウムはナルシシズムである」と言っていたので(「ヴィデオを待ちながら」展図録)
ビデオアート関連でアルベルティ『絵画論』(1436年刊。「あの花に化身したナルキッソスこそ、絵画の発明者であった」)とか、どうだろう…○○氏が読み直すアルベルティ。読みたい。誰が読み直すんだろう?
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カテゴライズが、どうなんでしょうね (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2009-07-18 11:03:50
これは、なんとなく、画家とか、美術を見るのが好きな人とかにとって
「必読文献で、しかもある程度年月の評価に耐えてきた本」
を想定したもので、あまりアカデミスム一辺倒でもないのですよ。
カントはちょっと異質かもしれないけど。

アルベルティとか、ヴァザーリ、「本町画人伝」、バシュラールといったあたりも、ちょっと脳裡をよぎりましたが、なにせワタシが読んでないもので…。
お恥ずかしいです。

「新しい古典」については、項をあらためた方が良さそうですね。
たとえば、ロラン・バルト「明るい部屋」はちょっと新しすぎるかなと思い、入れませんでした。
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