北海道美術ネット別館

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■叙事詩 知床断章 ‐詩と書のであい‐ (1月15日で終了)

2009年01月15日 23時50分49秒 | 展覧会の紹介-書
 「北海道美術ネット」を名乗っているくせに東京がらみのエントリばかりつづいているので、地元の展覧会もとりあげる。
 といっても、筆者が見たのは最終日だったのだが…。
 札幌のベテラン詩人で、「北海道の野外彫刻ガイド」の著書もある原子修(はらこ・おさむ)さんの新作の長編詩「知床断章」を、札幌の書家山田起雲さんが書いた2人展(共催・財団法人北海道文学館、書究文化書芸院)。
 山田さんの父親は、道内を代表する書家のひとり山田太虚さん。原子さんと以前から知り合いだったことから実現した。起雲さんにとっては初の書展となる。

 いわゆる近代詩文の書展だと、詩人の意図はおかまいなく、かってなところで改行したり、文字の大きさにメリハリをつけたりする場合が多いが、今回の展覧会では、そのようなことはまったくなく、原文に忠実に書いている。しかも、さいきんの近代詩文でありがちな、勢い優先で読めない作品ではなく、字釈なしですらすらと読める。
 原文の改行が生かされたので、余白がとても美しい。文字のメリハリこそないが、四季によって微妙に書体を変えているほか、連によって、パネルに貼ったり、額装したり、アクリルの支持体に紙を貼ったりするなどの工夫を重ねて、単調さを極力避けていることも、好感が持てる。
 あるいは、45歳の書家が先輩詩人に遠慮した部分があるのかもしれない。

 一方、原子さんのほうは、詩にはなっているが、おせじにも技術水準は高いとはいえない。
 もっとうまい人だと思っていたが…。

おばあちゃんの三平汁は
とっても
あったまります

お陽さまの味がします
   (三平汁)

とか
海は
ダイヤモンドの積荷でいっぱいです
   (流氷)

とか、ちょっとあんまりではないか。
 そもそも、これのどこが「叙事詩」なのか。

 かなりきびしい口調になってしまったが、要するにわたしはへたな詩が嫌いなだけなのだ。ごめんなさい。
 どうして絵や書はへたでもいいものがあると思うのに、へたな詩は許せないのかな。


2009年1月4日(日)-15日(木) 5日と13日休み、9:30-17:00(入館-16:30)
道立文学館(中央区中島公園)

毎日新聞北海道版「辞林」のページ


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