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■清 嵩二展「亜熱帯の森」(2023年8月1~20日、札幌) 8月13日(8)

2023年08月18日 11時35分51秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(承前)

※タイトルの(9)は(8)に改めました。

長らく北海道で過ごし、現在は奄美大島の海に面した町を拠点に絵画制作を行っています。
 
奄美大島の自然の中で生活をしていると、鮮やかな木々や水などの色彩が目の中に入り込んで来て、色彩が光の恵みによる現象であるということを強く感じます。
 
本展の作品は、奄美大島の特有の自然環境の中で捉えた色彩を、自己のフィルターを通して記録できないかと考え制作をしている作品群です。
 
北海道からは遠い奄美大島の情景を思い浮かべながらご覧ください。


 トオンカフェのサイトから引用しました。

 作者は今年5月に札幌市民ギャラリーで開かれた「素材としての写真表現展」にも半立体絵画を出品していたが、搬入・搬出には来ていなかったので理由を聞いたら、恵庭から奄美大島に引っ越したという話で、驚きました。

 まさか、制作に行き詰まりを覚えて田中一村のように乾坤一擲、打開を図って、思い切り南を目指したのでは…。

 しかしそれは、筆者の思い過ごしで、転居は仕事のためだったとのことです。

 北海道では自分と向き合いながら制作していましたが、奄美大島に行ったとたん、外界のまばゆい色彩や文物が目にわっと飛び込んできて、創作態度ががらっと変わったということを話していました。

 
 右から「木々と水」(同題2点)、「森の石ころ」、「はじまり」。

 筆者は鹿児島市以南を訪れたことはないのですが、光の強さが北海道とは全然違うということは、分かります。

 奄美大島といえば田中一村ですが、彼の展示会場以外にはこれといったアートシーンはないとのこと。
 雑音を耳に入れず創作に集中するにはもってこいの環境かもしれません。
 現代絵画史を踏まえた、強度ある制作を続けてきたこの作者が、風景を描くようになるというのは意外な感じもしますが、単なる風景画・植物画ではなく、自分の目にうつった外界をいったん咀嚼して描いています。
 
 ちなみに彼は、奄美に移ってから改名して発表しています。
 元の名は、トオンカフェの中村さんがツイッター(X)で公開しており、隠しているわけではなさそうなので、下のリンクを見ればすぐ分かるようにしておきます。
 ともあれ、高校時代に学生全道美術展で最高賞、大学時代には道展で記念大賞を得た実力の持ち主なので、今後の転換に注目したいです。


2023年8月1日(火)~20日(日)午前10時30分~午後8時(ラストオーダー30分前〉、会期中無休
TO OV cafe / gallery (ト・オン・カフェ/ギャラリー=札幌市中央区南9西3 マジソンハイツ)

過去の関連記事へのリンク
清武昌「boundary」(境界)(2020)

第6回 群青 -2週間10部屋の展覧会- 【前期】(2019)

北海道教育大学油彩画研究室 大学院生展 (2013、画像なし)
道都大学生作品展 (2010)
Klang  清武昌 洞口友香二人展(2009)




・地下鉄南北線「中島公園駅」から約220メートル、徒歩3分
・地下鉄東豊線「豊水すすきの駅」から約600メートル、徒歩8分

・中央バス、ジェイアール北海道バス「中島公園入口」から約380メートル、徒歩5分

・市電「山鼻9条」から約610メートル、徒歩8分



 なお、8月13日のギャラリー巡りについて詳報するつもりで、とりあえず開催中のものから先に紹介していきます。
 それにしても、金曜日にやっと1本目というていたらく。
 ほんとにあと8本を書く時間があるんだろうか…。

(この項続く) 


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