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アベフトシがギターをつまびいただけでその空間がロックになった。

2009年07月23日 10時25分28秒 | 新聞などのニュースから
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090722-00000509-sanspo-ent

 1999年、記念すべき第1回のライジング・サン・ロック・フェスティバル・インEZO。
 当時はサンステージひとつだけ。スケジュールの真ん中あたりで、黒ずくめの衣裳に身を包んだ男4人が無言でステージに上がったのを、筆者は最前列のそのまた前で見つめていた。
 THEE MICHELL GUN ELEPHANT(ミッシェル・ガン・エレファント)。
 ギターが分散和音を奏でる。と、それだけで、その空間全体が、ロックになった。

 うまく表現できないけれど、「空間がロックになる」としか言いようがない。
 音がひとつ発せられただけでその場の空気が一変してしまうのだ。
 その空間のエッジを切り立たせ、とぎすませる最前線にいたのがアベフトシだった。
(もしかしたら、最初にギターをつまびいたのはチバだったかもしれないが、この文脈では二義的な話だ)

 筆者はとくべつにファンというわけではなかったけれど、ミッシェル・ガン・エレファントが世界一カッコイイ音を出すバンドのひとつであるとはつねづね思っていた。
 テクニック至上主義でもなく、キワモノでもなく、とりたててメッセージ性にとんでいるのでもない、だけどカッコイイ。4人が、総体として、これほどまでに「ロックンロールであるバンド」は、ミッシェル以前には存在しなかったと思う。
 それは、ついにことばでも視覚でもないのだ。

 アベ氏は、1999年にも肺の病気で療養している。
 完治してなかったんだろうか。

 もうあの4人の演奏を二度と生で聴くことができない。残念としか言いようがない。


 新聞を開いたら、アベフトシ氏の横に
「金田伊功氏死去」
の報が載っていて、さらに驚いた。
 
 彼がどれほど偉大な天才アニメーターであったかは、たとえば岡田斗司夫「オタク学入門」に書かれている。
 彼が、「アニメの原画」に人々の目を向けさせるきっかけになったのだと。
 

ミュージシャンのアベフトシさん死去(時事通信) - goo ニュース


 やたらと不自然な発声を伴うばかばかしい筋書きの演劇(オペラというらしい)を、100年以上も前の楽譜のとおりに指揮してる男の死亡記事が、前日の新聞に大きく出ていた。「ケッ」と思った。ここで書いたふたりの死亡記事は小さな扱いだった(道新には出てない)が、このふたりのほうが、オペラの指揮者なんかよりも日本文化への寄与ははるかに大きく、偉大な存在だったと俺は信じている。

 合掌。


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2 コメント

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Unknown (Kohei)
2009-07-23 23:00:43
アベさんの死、ショッキングでした。「その空間がロックになった」という言葉に共感いたします。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2009-07-24 00:26:14
koheiさん、ありがとうございます。
これでミッシェルの再結成は永遠にないのでしょうか。さびしいです。
あと、自分より年下のアーティストが亡くなるというのも、けっこうシビアに感じます。
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