新型コロナウイルスとは関係なく、1年ちょっと前から自炊中心の食生活を送るようになった。
外食は週に1、2度。飲みに出ることはほとんどなくなった。
飲食店が苦境にあるなか、申し訳ないという気持ちもあるが、それよりも自分が、飲みに行かなくてもいっこうに平気だということに気がついた。
自炊を始めると、1回酒を飲みに行ったら1週間分の食費が飛んでいくということに気づく。あれはブルジョワの趣味であり道楽なのだ。他人の趣味や道楽を非難するつもりはまったくないが、自分はもうそういう趣味をもつことはこの先もないような気がする。
カレーライスはほぼ毎週作っている。
私は自炊初心者であり、スパイスを何種類もそろえて本格的な味を追求するような技量はない。ハウス食品のこくまろ中辛を買い、箱の裏側に記されているとおりの手順で、野菜や肉を切っていためて煮るだけだ。だから、大失敗はしない。
料理の最中はあまり考え事はしない。
料理の最中はあまり考え事はしない。
ただ、湯沸かし器がない時代の食器洗いはとくに冬場は一苦労だっただろうし、簡単便利な「●●料理のもと」がない時代の調理は手間だっただろうななどと思う。
ひとりで黙って食べるカレーライスは、うまくもまずくもない。
ただ、こうして一回一回の食事を済ませるたびに、自分の残り時間は減り、死に近づいているのだという、乾いた感慨が脳裡をよぎるだけだ。