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■小樽の女流画家たち~庁立小樽高女の系譜 (2014年7月26日~9月15日、小樽)

2014年09月17日 22時24分46秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(承前)

 庁立小樽高女(現小樽桜陽高)を卒業した藤本俊子(1906~84)、加藤清江(1914~99)、中島光榮(1919~)、森本光子(1923~2006)、高橋好子(1927~)の5人展。
 このうち、中島さんと高橋さんは今も道展会員として活躍中で、あとの3人はいずれも故人である。

 個人的には、藤本俊子の印象が圧倒的だった。
 50年代の静物画にはそれほど独自性を感じなかったが、60年代以降の絵がおもしろい。

 63年の「夜には」。中央にオーカーの塊があり、その周囲に、絵の具をひっかいて描いた人の顔や、天使とおぼしき人物10人のシルエット、カラス、木などが配されて、視線はいつまでもオーカーにまわりをぐるぐると回ってしまう。
 この「ひそやかな感覚」は、もちろんパウル・クレーに淵源があるのだろうけど、クレーよりももっと病弱というか、繊細なのだと思う。自分だけの小さな世界が、弱々しいけれど、きっちりと展開されている。
 
 「野原にて(祈り)」も、絵の具を引っかいて植物の根や、横文字などを配した、不思議な感覚の作品だった。


 中島光榮の絵は、どれも近景に野草の花が咲き乱れ、色とりどりの蝶が乱舞するという絵。
 ただ、彼女が大正生まれと知って驚いた。
 本格的に絵筆を執ったのも遅く、72年に大黒屋で作品展を開催、75年に道展に初入選。97年会友、2003年会員。
 2007年には水彩連盟の会員と、説明にはあったが、北海道札幌支部で彼女の作品を見た記憶がない。


 森本光子の絵は、やわらかさが増した晩年の方が個人的には好みだが、今回は、ふだんそれほど見る機会のない50~70年代の作品が9点中7点を占めていた。モジリアーニの影響が強く感じられる。



 なお、この日は3階の一原有徳ギャラリーにも初めて行った。
 アトリエの再現がすごい。美術家というより、工具置き場の雰囲気がプンプン漂う。
 歯車とか工具類とか、並んでいるモノが、美術家・画家ではなく、日曜大工の好きな人のそれなのだ。画材屋よりホームセンターに、はるかに近い。
 もちろん、作品も、ほかの誰にも似てない不思議な世界なので、一度見てほしい。


 なお、10月と11月には来場者にくじをひいてもらい、当選者には豪華な一原有徳画集がプレゼントされるという企画が予定されている。
 くじに当たらなくても、豪華画集を1万2500円から3500円(くらいだったと思う。正確な値段をメモしてなくてすみません)で買えるとのこと。これは、もう一度行かなくてはなるまい。

 一原さんは多作だったので、どんどん展示替えをしても、常設展のネタには困らなさそうだ。


2014年7月26日(土)~9月15日(月)
市立小樽美術館(色内1)




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2 コメント

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一原有徳のアトリエ再現 (怜な)
2014-09-18 16:08:17
こんにちは。
一原有徳のアトリエ再現を見て、あちら、こちらをたたきながら、作品づくりを楽しまれていた様子を想像します。よく道具が揃っていますね。

プレゼントの企画、当たるといいですが。雪が積もらないうちに、行こうと思います。
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怜なさん、こんばんは (ねむいヤナイ@北海道美術ネット別館)
2014-09-18 19:17:57
いつもありがとうございます。
ほんとに、画室というより工房、町工場といった雰囲気ですよね。

一原さんはすごい人なんですが、ご本人はまったく偉ぶるところのない、ひょうひょうとした気さくな方でした。展示室の作品からは、ちゃめっ気がうかがえます。
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