※末尾の記者会見「ムリ」のくだりに、追記があります。実際は、東京でも記者会見を開いたそうです(11月10日記す)。
「弁舌さえわたる浅田彰氏!シンポジウム「札幌国際芸術祭が目指すもの」を聴いて」
および
「札幌国際芸術祭シンポジウムで見えてきた「札幌、北海道という場所」」
と、連日、札幌国際芸術祭がらみの話題が続いていますが、もう1日だけ書かせてもらいます。
4日の記者会見と概要発表、シンポジウムを、各紙はどう報じたかをまとめておきたいのです。
新聞のウェブサイトで無料で記事を読める期間は限られているので、いまのうちにコピペしておかないと…。
まず、地元の北海道新聞。
見出しは
近代化 アートの視点で
札幌国際芸術祭の概要発表
ちなみに、ネット上では、6段落目と7段落目が省略されています。
さらに、札幌圏版に、サイド(展開)記事が掲載されていました。
見出しは
来夏開催 札幌国際芸術祭
「アートの拠点作りに」
シンポジウムに坂本龍一さんら
会場に赤れんが庁舎など
この記事はネットにはアップされていません。
中略とした段落は、会場の説明で、本記にない要素として、「500m美術館」も挙げられています。
次は朝日新聞北海道版。
いつものように、ネットでは冒頭しかアップされておらず、続きは会員登録しないと読めません。
紙面での見出しは
「札幌の成り立ち、アートの視点で」坂本龍一さん
来年の芸術祭 概要発表
続いて毎日新聞北海道版。
紙面の見出しは3段と大きいです。
「札幌をアートの視点で」
来年初開催 国際芸術祭
坂本龍一氏ら概要
毎日新聞は太っ腹? で、ネットにはこの記事も全文が載っています。
主な事業を文末にまとめたのは、読者には親切かもしれません。
お次は産経新聞。
道内では印刷されていないため、読者もごくわずかで、筆者も紙面の実物を拝見していません。したがって、道内版があるのか、どの面に載ったのかもわからないです。
しかし、ネット版の見出しにある「坂本龍一さんも参加」ってのは、違うよな。そんなの、べつに、11月4日にわかった話じゃないし。
ただ「3年おきに開催」と断言しているのは産経だけです。
読売新聞北海道版。わりと短めです。
見出しはうまいと思います。
「都市と自然」坂本流に
札幌国際芸術祭の概要発表
しかし、某関係者によると、この日の記者会見では「原子力発電」とは一言も言ってないそうで、「映像と音楽で再現」というのも、微妙に違うそうです。
よく考えると「中心地下街」というのも不思議な呼称だな。郊外に地下街なんてないのに。
忘れてならないのが共同通信。全国の地方紙に配信されるので、読者数の総トータルでは、全国紙に負けていません。
ただし、ネットには、配信記事の前半部分しかアップされていないと思います。
他の記事にはない、予算規模が盛り込まれていますね。
こうやって、おなじことについての報道でも、比べてみると、ビミョーに違っています。
マスコミを批判的に見るいい訓練になると思います。
筆者が気になったのは、内容もさることながら、朝日、毎日、読売がいずれも北海道版で報じていること。
全国版じゃないんですよね。
筆者は国際芸術祭の関係者に以前、在札幌のマスコミに芸術の発信を求めても無駄だから、一回でいいから東京で記者発表をやれ、と提案したことがあります。予算不足でムリだといわれましたが。
(※冒頭にも書きましたが、東京でも記者会見を開いたとのことです。今後も、東京での開催は決まっていませんが、やらないということではないそうで、ホッとしました)
札幌にいる記者が東京から求められる記事って、雄大な自然やおいしい食であって、アートじゃないんですよね、きっと。
まず「札幌発のアートの記事だってあるんだぞ」ということから、固定観念に凝り固まっていそうなの在京マスコミのお偉方にアピールしてかなくちゃいけないのです。
やれやれですが、筆者も微力を尽くします。
「弁舌さえわたる浅田彰氏!シンポジウム「札幌国際芸術祭が目指すもの」を聴いて」
および
「札幌国際芸術祭シンポジウムで見えてきた「札幌、北海道という場所」」
と、連日、札幌国際芸術祭がらみの話題が続いていますが、もう1日だけ書かせてもらいます。
4日の記者会見と概要発表、シンポジウムを、各紙はどう報じたかをまとめておきたいのです。
新聞のウェブサイトで無料で記事を読める期間は限られているので、いまのうちにコピペしておかないと…。
まず、地元の北海道新聞。
見出しは
近代化 アートの視点で
札幌国際芸術祭の概要発表
来夏初開催される札幌国際芸術祭の概要が4日、札幌コンサートホール・キタラで発表された。ゲストディレクターで音楽家の坂本龍一さんらが記者会見し、「近代化とともに発展してきた北海道の成り立ちを、アートの視点から捉えたい」と語った。
同芸術祭は札幌市を中心とする実行委員会の主催で、「都市と自然」をテーマに来年7月19日~9月28日の72日間開催する。今回は参加アーティストの一部などを発表した。
二つの主会場のうち札幌の道立近代美術館では、石炭や核の問題などを扱う作品群を展示。炭鉱から原子力へと続くエネルギー問題を通し、「3・11」を経た今の暮らしを支える「近代化」を見つめ直す。自然環境の観点から「雪」にちなむ作品も並べる。
ナチスなどドイツの負の歴史を主題とする作品で知られる画家アンゼルム・キーファーさんのドキュメンタリー映画(日本未公開)を上映する。
一方、札幌芸術の森美術館では、雪博士の中谷宇吉郎・北大教授(故人)の次女でアーティストの中谷芙二子さんが、人工霧を使った新作を発表する。
道庁赤れんが庁舎では、「ゴジラ」の映画音楽で知られる釧路出身の作曲家・伊福部昭さん(故人)や、戦後北海道を撮り続けた写真家・掛川源一郎さん(同)の作品を通して、核問題やアイヌ民族の文化に光を当てる。札幌市内各所でも、音楽や映像を含めて展示を予定する。
札幌市立大とNPO法人炭鉱の記憶推進事業団が三笠市内の炭鉱遺産で展開している「奔別アートプロジェクト」とも連携する。
坂本さんは「明治以降、急速に都市化や機械文明が導入された日本の近代化とともに北海道が成立した。21世紀以降の文明の形をアートの視点で考えるのに、広大な自然の残る北海道はふさわしい」と意欲を語った。
ちなみに、ネット上では、6段落目と7段落目が省略されています。
さらに、札幌圏版に、サイド(展開)記事が掲載されていました。
見出しは
来夏開催 札幌国際芸術祭
「アートの拠点作りに」
シンポジウムに坂本龍一さんら
会場に赤れんが庁舎など
(冒頭略)ゲストディレクターの坂本龍一さんは「アートの拠点作りの種をまきたい」と述べ、芸術祭を通じて札幌を呈術や文化の発信地にしたいとの考えを示した。シンポジウムや先立って行った記者会見で、従来の展覧会の枠組みを超え、街中の公共空間や建物でも芸術に触れられるイベントを開く計画も公開され、市民参加型フェスティバルの概要が明らかになった。
坂本さんは、中央区の札幌コンサートホール・キタラでのシンポジウムで「北海道、札幌で開催する芸術祭にはさまざまな視点が取り出せる」と述べ、開催地となる札幌の魅力を強調した。
企画アドバイザーの浅田彰さん(京都造形芸術大大学院学術研究センター長)は「有名アーティストをちりばめることから出発せず、この街で何をやるべきか、何をやりたいかをまず考えることが大切」と指摘。芸術祭実行委員会会長を務める上田文雄市長も「芸術祭は多くの人がさまざまな刺激を受け、自分たちの行き方や文明、文化を考える期間にしたい」と述べた。
(中略)
札幌駅前通地下歩行空間では、札幌の地下水脈など豊かな自然を感じられる映像の上映や写真を展示。市民の公募写真展やライブ演奏、学生らによるインスタレーション(架設展示)も行う。
中央区の市資料館では建物の活用法についてアイデアを募るほか、小中学生向けのワークショップも開く。東区のモエレ沼公園では、市内や道外、海外の樹木から流れる微弱な電気を集め、音に変換して音楽として楽しむ「フォレスト・シンフォニー in モエレ」を予定している。
この記事はネットにはアップされていません。
中略とした段落は、会場の説明で、本記にない要素として、「500m美術館」も挙げられています。
次は朝日新聞北海道版。
いつものように、ネットでは冒頭しかアップされておらず、続きは会員登録しないと読めません。
紙面での見出しは
「札幌の成り立ち、アートの視点で」坂本龍一さん
来年の芸術祭 概要発表
来年7~9月に初めて開催される札幌国際芸術祭のゲストディレクター(芸術監督)を務める音楽家の坂本龍一さんらが4日、札幌市内で記者会見し、概要を発表した。
芸術祭は「都市と自然」をテーマに、都市と自然の共生のあり方を問う内容。道立近代美術館では炭鉱史から原子力までのエネルギーを考えさせる作品を、札幌芸術の森美術館では森や水といった自然を体感できる作品を展示する。
道庁赤れんが庁舎の特別展では、アイヌの風俗や北海道の近代をとらえた写真家掛川源一郎、ゴジラの映画音楽で知られる釧路市出身の作曲家伊福部昭を採り上げる。市内各所で関連イベントが催され、市民が参加するワークショップやコンペも多数企画されている。新千歳空港に坂本さんの音の作品を置く構想も準備中だ。
坂本さんは「自然と暮らし、機械文明を新たな視点で捉え直す行為がアート(芸術)。明治以降日本の近代化と共に成立してきた北海道、札幌の成り立ちをアートの視点で捉えたい」と狙いを説明。「札幌に来て人と話し、自然との距離が近いと感じる。内地とは違うメンタリティーを芸術祭のエネルギーに生かしたい」と話した。
同日午後には坂本さんや芸術祭の企画アドバイザーを務める批評家の浅田彰さんらが出席し、シンポジウム「札幌国際芸術祭が目指すもの」も開かれ、坂本さんらが開催概要やそれらに込められた思いを話した。
続いて毎日新聞北海道版。
紙面の見出しは3段と大きいです。
「札幌をアートの視点で」
来年初開催 国際芸術祭
坂本龍一氏ら概要
札幌市で来年7月19日~9月28日に初開催される「札幌国際芸術祭」のゲストディレクター(芸術監督)、坂本龍一氏らが4日、芸術祭の概要を発表した。
北海道での近代化の歩みを振り返りながら、今後の自然、都市のあり方、暮らしを見つめ直す18事業を企画。主な7施設と舞台2会場で披露する。
テーマは「都市と自然」。坂本氏は「新たな視点でとらえ直し、概念を破壊して創造するのがアート。明治以降の近代文明の中で栄えた北海道、札幌の成り立ちをアートの視点からとらえたい」と話した。
核となる道立近代美術館では「都市」の側面で、北海道を支えてきた炭鉱史から原子力までエネルギー転換に視点をあて、功績と功罪を考える海外アーティストらの作品を展示。札幌芸術の森美術館では「自然」の側面から、来場者が体感できる企画にする。ほかの施設は、モエレ沼公園、札幌駅前通地下歩行空間など。市民参加型のライブやコンテンポラリー・ダンスの舞台もある。
この日はシンポジウム「札幌国際芸術祭が目指すもの」も同市内であり、坂本氏と浅田彰・京都造形芸術大学大学院学術研究センター所長ら5氏が参加。浅田氏は「北海道は自然が多く残り、プレ近代化とポスト近代化が直結した世界が広がっている」と指摘。ほかの参加者も「日本の新しい生き方や暮らし方を示す展示になればいい」と期待した。【平野美紀】
その他の主な事業は次の通り。
「フォレスト・シンフォニーインモエレ沼」 坂本龍一氏と山口情報芸術センターインターラボが、樹木から流れるリアルタイムの微弱な生体電位を音楽に変換する
「伊福部昭・掛川源一郎展」 室蘭市生まれの写真家、掛川源一郎氏と、映画「ゴジラ」の音楽を作曲した釧路市出身の伊福部昭氏(ともに故人)の文化的功績をたどる
「FOGSCAPE#46412」 札幌市出身の芸術家、中谷芙二子氏による壁面に出現する人工霧を滝に見立てた新作
「コロガル公園インさっぽろ」 札幌市資料館の裏庭に、スピーカーやマイク、LED照明を使った仕掛けを作り、子どもたちの声を反映して遊びのルールを作り上げる
毎日新聞は太っ腹? で、ネットにはこの記事も全文が載っています。
主な事業を文末にまとめたのは、読者には親切かもしれません。
お次は産経新聞。
道内では印刷されていないため、読者もごくわずかで、筆者も紙面の実物を拝見していません。したがって、道内版があるのか、どの面に載ったのかもわからないです。
しかし、ネット版の見出しにある「坂本龍一さんも参加」ってのは、違うよな。そんなの、べつに、11月4日にわかった話じゃないし。
ただ「3年おきに開催」と断言しているのは産経だけです。
来年7月に札幌市で開催される「札幌国際芸術祭2014」の概要発表会見が4日、札幌市中央区で行われた。
テーマは「都市と自然」。札幌国際芸術祭2014のゲストディレクターで音楽家、坂本龍一さんが「それがテーマになるのという人がいるかもしれないが、東日本大震災があり、もう一度考えてみたいテーマだった」と、決めた。
坂本さんは「市民を巻き込んでやりたい。期間中に市民が参加できるプロジェクトを考えている」と、語った。坂本さん自身も音楽家として札幌を象徴するような音作品の展示を考えているという。
上田文雄札幌市長は「アートという概念に閉じ籠もったものでなく、生き方にかかわったもの、自分たちの人生を見直すきっかけになるようなものにしたい」と、話した。
今後、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として3年ごとに「国際芸術祭」を開催する。
読売新聞北海道版。わりと短めです。
見出しはうまいと思います。
「都市と自然」坂本流に
札幌国際芸術祭の概要発表
札幌市が2014年夏に開く「札幌国際芸術祭」の芸術監督(ゲストディレクター)を務める音楽家、坂本龍一さんが4日、札幌市で記者会見し、芸術祭の概要を発表した。
開催期間は来年7月19日~9月28日で、市内の美術館や中心地下街など7か所が主会場となる。芸術祭のテーマは「都市と自然」。坂本さんは会見で、「札幌は明治以降に開発が進められた国内でも新しい街だ。この場所で文明と自然の中で生きることの意味を問い直したい」と説明した。
道立近代美術館では、炭鉱の興廃や原子力発電の開始などエネルギー転換に伴う暮らしの変化を、映像と音楽で再現する。札幌駅前通地下歩行空間では、情報や人、モノの流れを「水脈」になぞらえた映像作品を公開する。このほか、坂本さんが現在考案中の体験型イベントも予定している。
しかし、某関係者によると、この日の記者会見では「原子力発電」とは一言も言ってないそうで、「映像と音楽で再現」というのも、微妙に違うそうです。
よく考えると「中心地下街」というのも不思議な呼称だな。郊外に地下街なんてないのに。
忘れてならないのが共同通信。全国の地方紙に配信されるので、読者数の総トータルでは、全国紙に負けていません。
札幌市で2014年に開かれる「札幌国際芸術祭」の芸術監督を務める音楽家坂本龍一さんが4日、市内で記者会見し、「札幌の成り立ちをアートの視点から捉えたい。近代化とともに発展し、自然と接している都市の特色を生かした芸術祭にしたい」と意気込みを語った。
実行委によると、主な会場は北海道立近代美術館や、JR札幌駅前の地下歩行空間など計7カ所。国内外のアーティストの作品、パフォーマンス、音楽などを観客が体験する参加型のイベントを目指している。坂本さんのコンサートも開催予定で、総事業費は約3億円に上る。
ただし、ネットには、配信記事の前半部分しかアップされていないと思います。
他の記事にはない、予算規模が盛り込まれていますね。
こうやって、おなじことについての報道でも、比べてみると、ビミョーに違っています。
マスコミを批判的に見るいい訓練になると思います。
筆者が気になったのは、内容もさることながら、朝日、毎日、読売がいずれも北海道版で報じていること。
全国版じゃないんですよね。
筆者は国際芸術祭の関係者に以前、在札幌のマスコミに芸術の発信を求めても無駄だから、一回でいいから東京で記者発表をやれ、と提案したことがあります。予算不足でムリだといわれましたが。
(※冒頭にも書きましたが、東京でも記者会見を開いたとのことです。今後も、東京での開催は決まっていませんが、やらないということではないそうで、ホッとしました)
札幌にいる記者が東京から求められる記事って、雄大な自然やおいしい食であって、アートじゃないんですよね、きっと。
まず「札幌発のアートの記事だってあるんだぞ」ということから、固定観念に凝り固まっていそうなの在京マスコミのお偉方にアピールしてかなくちゃいけないのです。
やれやれですが、筆者も微力を尽くします。