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■佐藤武展 時空の果て (2013年11月4~9日、札幌)

2013年11月08日 23時27分11秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 「悠久の時、朽ちる大地。幻想の絵画。」

 石狩市厚田にアトリエを持つ画家、佐藤武さんの絵画世界は、ひとことで言うと、そういうことになるでしょう。

 今回は、「旅の終わり」など全作品が、沙漠のような大地に凹凸ができている様子を、褐色を主体に描いた風景画。
 空には、以前の「不安な…」ではモノリスのような巨大な物体が浮かんでいましたが、今回の個展の作品では、細い線が1本スーッと引かれているだけ。
 褐色の空に亀裂が生じたかのようです。

 いちばんの特質は、地上の風景の描写がいつもに比べても細かいこと。
 悠久の風景に比べると、人間の作り出したものの小ささが際立ちます。
 作品によっては、インドの古代の天文台を思わせる直角三角形が点在しています。
 いずれも、かつての作品のように崩壊こそしてはいませんが、ひと気はまったく感じられません。

 もうひとつの特徴は横長変形の作品が多いこと。
 広大な景色を収めるには都合がよいのでしょう。

 あるいは「雨上がり」のように、建造物は見当たらず、ひたすら砂漠が広がり、大きな川が流れているだけ、という作品もあります。

 実際のインドというよりも、観念上の悠久のインドを描いたかのような作品。
 その絵画世界はますます磨きがかかっているように感じました。


 展示作は次のとおり。数字はセンチメートル。
旅の終わりII 32×100
時空の果てIII 44×94
雨上がり  44×220
時空の果て 44×94、44×200、44×94(3点組み)
時空の果てII 70×230
時空の果てI 70×230
雨上がる  19×110
旅の終わり 44×220
時空の果てIV 70×140
旅の終わりIII 24×140



2013年11月4日(月)~9日(土)午前10時~午後6時(最終日~午後4時30分)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)




 なお、16日から24日まで、すすきのの南、ジャスマックプラザの向かいに、民家をリノベーションしてオープンする「鴨々堂ギャラリー」(中央区南7西2)で杮落としの個展を開くそうです。
 こちらは旧作になりますが、古い民家の中で眺める佐藤さんの絵も、興味深いです。




□画家 佐藤武 http://tsart1113.wix.com/tsart1113

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