「夜と昼 / アラン・セシャス」展 09年東京（15）

(承前)

　銀座の目抜き通りに立つエルメスの8階で現代アートの展覧会が行われているというので、行ってみた。

　ここは、おのぼりさん要注意である。

　エレベーターがあったので、上ろうとすると、店の人が大急ぎで制止にかかり、どこへ行くのかと尋ねる。

　「8階フォーラム」という会場には、店内のエレベーターでなければ行けないのである。

　店は、自動ドアなどではなく、厚いコートを着た男性が立っていて、ひとりずつ戸を開けてくれる。
　ご親切に、と一瞬思ったが、これでは、挙動や身なりの怪しい人間は絶対に中に入れないだろう。
　いったん入ってしまうと、店員はフレンドリーに笑顔を見せてくれるし、8階フォーラムの女性も、こちらの質問にとてもていねいに答えてくださり、なかなか感じがよいのだ。

　この展覧会はネタバレになってしまうとつまらなさそうだけど、もう会期が終わっているのでちょっとだけ書いてしまおう。
　等身大のネコが3匹、会場内に敷かれたレールの上を走り回っているのである。
　ネコは、両手を前に突き出して、なんだか「キョンシー」みたいである。
　会場の中は暗幕で仕切られており、ネコが横切らないころあいを見計らって、鑑賞者が暗幕の向こう側へ行くこともできる。暗幕のこちらと向こう。確かに「夜と昼」だなあ。
　ネコの動く速度が一定でないのがおもしろい。最後尾のネコは、「待ってくれー」と前の2匹をあわてて追いかけているようにも見える。
　会場にいた担当の女性によると、最後尾のネコは、前の2匹よりもかなり年下だという設定という。

　もうひとつ。
　輪の模様がぐるぐると回る妙な装置もあり、それにつれ声が高くなったり低くなったりして、見ているとこちらの目もまわってしまいそうだった。

　なんだかよくわからないけれど、理屈ぬきで楽しんだほうが良いのかもしれない。


2008年10月31日 － 2009年01月18日
メゾンエルメス　８階フォーラム （東京都中央区銀座 5-4-1）

（27日、一部修正・追加しました）


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