ことしは40周年ということで、例年よりもさらに千点ほど多い6585点の応募があったそうです。
そのうちこの会場に展示されているのは、わずか44点(すべてカラー)。見ごたえのある作品ばかりなのは、当然でしょう。
全体的には、海外での撮影が減り、2点ほどしかありません。
一時期盛り返したSL(蒸気機関車)が題材の作品もすこし減り、バラエティに富んでいます。
「さよなら列車」など、いかにもたくさんの人が撮っていそうな作品は、もちろん一点もありません。
グランプリは、網谷秀幸さん「白煙ひいて」。
阿賀野川の当麻橋りょうを渡るSLをとらえた作品ですが、SLの車体はほとんどうつっておらず、闇の中を白煙がたなびいています。まるで水墨画を思わせる力作です。
車両・列車部門の金賞も負けず劣らずの力作でした。
大平哲也さん「霧上のシルエット」は、霧がゆらめく鉄橋の上を走る特急列車のシルエットを写しており、画面全体が黄金色に輝いています。
鉄道一般部門。
銅賞の岩井禎さん「大自然」は、ディーゼルカーが走る線路の周辺にシカが大勢います。数えたら35頭いました。おそらく釧路―根室間でしょうが、これでは接触事故が起きないほうが不思議なほどです。
銀賞、伊藤駿平さん「北国夜行」は5枚組み。
札幌駅のプラットフォームや、急行はまなすの行き先表示など。
「はまなす」は、機関車の正面からとらえた力作もありました。いやあ、はまなす、懐かしいというか、廃止がかえすがえす残念というか。
「40回記念」のカテゴリーにも力作が集まりました。
佳作、丸山智晴さん「力を合わせて“福島へ!”」は、ディーゼル機関車DD51重連が石油運搬車を引っ張っている図。東日本大震災の緊急輸送でしょうか。クマザサがはえる山中の電化単線をディーゼル機関車が走っているのですが、いったいどこでしょう。
銅賞、峯坂和彦さん「定点観測」は4点組み。春夏秋冬の山間の単線を走る単行ディーゼルカーを、おなじ位置からとらえた労作です。秋だけが、まるで紅葉にあわせたようにオレンジ色の国鉄塗装の車体なのが、気が利いています。根室線の滝川―新得間の山中でしょうか?
ジュニア賞、鈴木真さん「行き交う人々」。都内王子附近と思われる交叉点で、都電荒川線をとらえています。左手の土手には桜が咲き乱れ、手前の横断歩道にはたくさんの人々が歩いています。右側で、女性2人が立ち話をしているのが、ほほえましいです。
以前にも書きましたが、数々ある写真ジャンルの中でとりわけ鉄道写真が筆者の心をとらえるのは、鉄道が
「ここではないどこか」
への思いをかきたてる装置だからだと思います。
鉄道は、近代特有のあこがれのひきがねなのです。
キヤノンギャラリー(札幌市中央区北3西4 日本生命札幌ビル 高層棟1階)
2017年3月30日(木)~4月11日(火)午前10時~午後6時
入賞作品紹介 http://railf.jp/contest/2016/nyushou/index.html
関連記事へのリンク
■交友社/キヤノンマーケティングジャパン:2015 第39回 鉄道ファン・キヤノンフォトコンテスト 入賞・佳作作品展
■2008 第32回鉄道ファン・キヤノンフォトコンテスト入賞佳作作品展 (2009)
■第29回鉄道ファン/Canon2005 入賞・佳作作品展(2006年)
■第27回(2004年2月5日の項)
■第26回(2003年2月20日の項)
そのうちこの会場に展示されているのは、わずか44点(すべてカラー)。見ごたえのある作品ばかりなのは、当然でしょう。
全体的には、海外での撮影が減り、2点ほどしかありません。
一時期盛り返したSL(蒸気機関車)が題材の作品もすこし減り、バラエティに富んでいます。
「さよなら列車」など、いかにもたくさんの人が撮っていそうな作品は、もちろん一点もありません。
グランプリは、網谷秀幸さん「白煙ひいて」。
阿賀野川の当麻橋りょうを渡るSLをとらえた作品ですが、SLの車体はほとんどうつっておらず、闇の中を白煙がたなびいています。まるで水墨画を思わせる力作です。
車両・列車部門の金賞も負けず劣らずの力作でした。
大平哲也さん「霧上のシルエット」は、霧がゆらめく鉄橋の上を走る特急列車のシルエットを写しており、画面全体が黄金色に輝いています。
鉄道一般部門。
銅賞の岩井禎さん「大自然」は、ディーゼルカーが走る線路の周辺にシカが大勢います。数えたら35頭いました。おそらく釧路―根室間でしょうが、これでは接触事故が起きないほうが不思議なほどです。
銀賞、伊藤駿平さん「北国夜行」は5枚組み。
札幌駅のプラットフォームや、急行はまなすの行き先表示など。
「はまなす」は、機関車の正面からとらえた力作もありました。いやあ、はまなす、懐かしいというか、廃止がかえすがえす残念というか。
「40回記念」のカテゴリーにも力作が集まりました。
佳作、丸山智晴さん「力を合わせて“福島へ!”」は、ディーゼル機関車DD51重連が石油運搬車を引っ張っている図。東日本大震災の緊急輸送でしょうか。クマザサがはえる山中の電化単線をディーゼル機関車が走っているのですが、いったいどこでしょう。
銅賞、峯坂和彦さん「定点観測」は4点組み。春夏秋冬の山間の単線を走る単行ディーゼルカーを、おなじ位置からとらえた労作です。秋だけが、まるで紅葉にあわせたようにオレンジ色の国鉄塗装の車体なのが、気が利いています。根室線の滝川―新得間の山中でしょうか?
ジュニア賞、鈴木真さん「行き交う人々」。都内王子附近と思われる交叉点で、都電荒川線をとらえています。左手の土手には桜が咲き乱れ、手前の横断歩道にはたくさんの人々が歩いています。右側で、女性2人が立ち話をしているのが、ほほえましいです。
以前にも書きましたが、数々ある写真ジャンルの中でとりわけ鉄道写真が筆者の心をとらえるのは、鉄道が
「ここではないどこか」
への思いをかきたてる装置だからだと思います。
鉄道は、近代特有のあこがれのひきがねなのです。
キヤノンギャラリー(札幌市中央区北3西4 日本生命札幌ビル 高層棟1階)
2017年3月30日(木)~4月11日(火)午前10時~午後6時
入賞作品紹介 http://railf.jp/contest/2016/nyushou/index.html
関連記事へのリンク
■交友社/キヤノンマーケティングジャパン:2015 第39回 鉄道ファン・キヤノンフォトコンテスト 入賞・佳作作品展
■2008 第32回鉄道ファン・キヤノンフォトコンテスト入賞佳作作品展 (2009)
■第29回鉄道ファン/Canon2005 入賞・佳作作品展(2006年)
■第27回(2004年2月5日の項)
■第26回(2003年2月20日の項)
岩井 禎氏「大自然」の中に、シカが35頭もいたのですね。運転手さんも、シカも、たいへんです。
「霧上のシルエット」はきれいで、旅情にさそわれます。高知県「いの町」に行ったとき、朝陽を浴びて仁淀川鉄橋を走っていた列車を思い出しました。
私は鉄道写真が好きです。ただ、最近は、一部のマナーが悪い人が鉄道写真のイメージを下げているのが残念です。