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■現展北海道支部展(3月31日終了)

2007年04月17日 23時32分04秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 現展は、全国規模の公募展「現代美術家協会」の略称で、いわゆる現代美術ではなく、絵画や工芸が出品されています。道支部展はことしで36回目なので、わりとがんばっているほうですね。
 個人的には、現展といえば2005年2月に亡くなった村上豊さん(後志管内余市町)のイメージが強いのです。村上さんが支部代表だったころは、道外からの招待作品の展示なども行っていました。とはいえ、村上さん亡きあとも、充実した展覧会がつづいていると思います。

 今回は、小樽の工藤英雄さんの抽象画に深い感銘を受けました。
 灰色の地に、四角形ないしだ円形が浮かんでいるという図柄で、マティエールも凝っています。
 (2)は、赤っぽい色の飛沫(ひまつ)が全面に散っています。
 その静けさ、奥深い世界は、どこかロスコを思わせます。
 工藤さんは道展会友でもあります。もともとは、さびついた工業部品の集積などを画面いっぱいに描いていましたが、近年はそれ以外の画風にも挑戦していました。工藤さんはもう80歳近くのはずです。新たな画境を切り開いていることに、敬意を表します。

 細川さんは、いわゆる和紙ちぎり絵の技法を用いているのですが、この語から受け取りがちな「お稽古事」的なイメージはまったくありません。
 にじみを生かした色の広がりの上に、藍(あい)色の曲線が何本も引かれ、画面をいくつもの部分に切断しています。直線がないので、やわらかな印象です。

 阿部さんの、立方体を透視図法で描いたようにマスキングテープを貼りつけた独特の画肌は、以前と変わっていません。
 色は、ほぼ全面的に深い青にしぼられ、その結果、「風」を暗示する要素は減っています。動きが少なくなって、沈潜する画面になりつつあるといえそうです。

 荒井さんの「小樽港を望む」は、新雪の積もった坂道がみずみずしく描かれた縦位置の風景画。絵になる構図のところをよくえらんだなあと思います。近景のシラカバやササも、雪景色らしい端正な筆致。遠くの海のエメラルドグリーンも、派手すぎず、うまくおさまっています。
 
 出品作はつぎのとおり。
工藤英雄(小樽)「(在)ざい(1)」85×66
       「(在)ざい(2)」85×66
服部正 (帯広)「昼の百花も闇に消えいる A」F100
       「昼の百花も闇に消えいる B」F100
土門和子(札幌)「白い風」F100
細川久美子(同)「未来へ」F100
阿部国良(旭川)「記憶の箱(風が透き通った日) 青さの中で」180×120
木村節子(札幌)「swingな窓辺」S100
近藤弘毅(今金)「北の心象 遠い記憶の中で Series 1」S80
       「北の心象 遠い記憶の中で Series 2」S80
小林慶勝(余市)「切り立つ岬」F100
       「河畔より-遠望-」F100
       「昭和新山」F100
荒井武 (小樽)「ある冬の日」M100
       「小樽港を望む」F100
黒崎和男(室蘭)「叫び 1」F100
       「叫び 2」F100
亀島ヒサ子(江別)「赤い大地“過去から”」2000×3000×1500
佐藤三子(今金)「白い街」F30
       「白い塔」F30
堀内洋子(余市)「弥生」F50
       「三月の詩」F20
星加晴江(今金)「駒ヶ岳」F30
       「せたな海岸」F30
尾形裕之(今金)「残照№1」F100
       「残照№2」F100
服部静子(帯広)「冬の湿原・北国の星群(ほしむれ)」190×80
       「冬の湿原・二つ葉」162×110


07年3月26ー31日 10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A

現展のサイト

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