(承前)
現段階で「2024年夏の旅」シリーズは(1)~(5)と(7)(8)しかアップできていませんが、(14)を先に更新します。
この展覧会がきょう8月18日で終了するためです。
とはいえ、この記事を見て札幌などから釧路に駆けつける人は少ないでしょうが、行ける人は見てほしいと思います。
展覧会のタイトルだけを見ていると、100円ショップでも売っていそうな大小の丸く色とりどりのシールを画面に配置して夜景を表現したという、その手法のおもしろさに目が行きます。
確かに、画材のありきたりさと、画面のリアルさとの落差が最大の魅力であることは否定しません。
ただ、それにとどまらない論点が見ているうちに頭の中に出てくるのが、この展覧会の良さだと思います。
「Yokohama」や「TOKYO NIGHT」だけでなく、「Hakodate」もあります。
そりゃ夜景が名物ですからね。
「Hong Kong」。
一面に黒く塗られた背景に照明が反射してしまい、失敗写真になってしまいました。
「Shinjuku」は、背景がグラデーションで表現されています。
「Hakodate」。左上の白い部分は照明の反射。
パリ・ノートルダム寺院の火災を受けて作られた、ステンドグラスの作品。
今回写真はあげていませんが、緑の自然の風景や花畑など、昼間の風景もけっこう制作されています。
「If You’re Here (高速道路)」。
小品もけっこうあって、これぐらい近くから見ると、シールで描かれていることがはっきりわかります。
目を細めたり、離れたりして見ると、本物の夜景ですが。
離れるとリアル、近づくと筆触が明らか、というのは、昔から名画・名手のあかしですよね。
「Smell of Light」。
これ、めっちゃエモくないですか?
リアルからじゃなくて写真から発想されたものだと思います。
F値の小さい、明るいレンズで撮った写真は、ピントの合う範囲が狭くなるため背景の光がボケます。性能の良いレンズほど光がまるく写るといわれており、このシールアートとの共通点があるのがおもしろいところです。
また、デジタルカメラの普及当時、フィルムの感光素子は丸いのにデジタルは矩形なので、デジタル写真は硬く見えるといわれたこともあったのを思い出しました。
釧路開催ということで、釧路を題材にした作品も4点ありました。
ただ、これらを含む、後半に展示されていた作品のいくつかは、カッティングシートを用いてかたちを切り出しているので、よくあるシルクスクリーン作品みたいに見えてしまいます。単色の面とシールだけでつくられた作品のほうがやはりインパクトは強いと思いました。
この隣には、来場者が参加して作り上げた、釧路の花火大会をモチーフにした大作も展示してありました。
油絵や彫刻だと、こうはいきません。
シールアートが、従来のアートの「作者の特権性」を相対化する力を持っていることを、強く実感しました。
美術館のサイトから一部をコピペします。
2024年6月29日(土)~8月18日(日)午前10時~午後5時、月曜休み(祝日は開館)
釧路市立美術館(釧路市幣舞町、釧路市生涯学習センター)
一般800円、学生無料
□ https://yukino-art.tumblr.com/profile
・都市間高速バス「フィッシャーマンズワーフMOO」前から約710メートル、徒歩9分
・JR釧路駅から約1.5キロ、徒歩19分
・釧路駅前ターミナルから、くしろバス「2 若草団地線(系統の1)」「12 文苑公住線 緑が岡行き」「16 白樺春採ショッピングセンター線」「17 白樺曙団地線」「18 白樺線(千代の浦)」「32 別保線」「53 晴海線」に乗り「三慈会病院」降車、約130メートル、徒歩2分
現段階で「2024年夏の旅」シリーズは(1)~(5)と(7)(8)しかアップできていませんが、(14)を先に更新します。
この展覧会がきょう8月18日で終了するためです。
とはいえ、この記事を見て札幌などから釧路に駆けつける人は少ないでしょうが、行ける人は見てほしいと思います。
展覧会のタイトルだけを見ていると、100円ショップでも売っていそうな大小の丸く色とりどりのシールを画面に配置して夜景を表現したという、その手法のおもしろさに目が行きます。
確かに、画材のありきたりさと、画面のリアルさとの落差が最大の魅力であることは否定しません。
ただ、それにとどまらない論点が見ているうちに頭の中に出てくるのが、この展覧会の良さだと思います。
「Yokohama」や「TOKYO NIGHT」だけでなく、「Hakodate」もあります。
そりゃ夜景が名物ですからね。
「Hong Kong」。
一面に黒く塗られた背景に照明が反射してしまい、失敗写真になってしまいました。
「Shinjuku」は、背景がグラデーションで表現されています。
「Hakodate」。左上の白い部分は照明の反射。
パリ・ノートルダム寺院の火災を受けて作られた、ステンドグラスの作品。
今回写真はあげていませんが、緑の自然の風景や花畑など、昼間の風景もけっこう制作されています。
「If You’re Here (高速道路)」。
小品もけっこうあって、これぐらい近くから見ると、シールで描かれていることがはっきりわかります。
目を細めたり、離れたりして見ると、本物の夜景ですが。
離れるとリアル、近づくと筆触が明らか、というのは、昔から名画・名手のあかしですよね。
「Smell of Light」。
これ、めっちゃエモくないですか?
リアルからじゃなくて写真から発想されたものだと思います。
F値の小さい、明るいレンズで撮った写真は、ピントの合う範囲が狭くなるため背景の光がボケます。性能の良いレンズほど光がまるく写るといわれており、このシールアートとの共通点があるのがおもしろいところです。
また、デジタルカメラの普及当時、フィルムの感光素子は丸いのにデジタルは矩形なので、デジタル写真は硬く見えるといわれたこともあったのを思い出しました。
釧路開催ということで、釧路を題材にした作品も4点ありました。
ただ、これらを含む、後半に展示されていた作品のいくつかは、カッティングシートを用いてかたちを切り出しているので、よくあるシルクスクリーン作品みたいに見えてしまいます。単色の面とシールだけでつくられた作品のほうがやはりインパクトは強いと思いました。
この隣には、来場者が参加して作り上げた、釧路の花火大会をモチーフにした大作も展示してありました。
油絵や彫刻だと、こうはいきません。
シールアートが、従来のアートの「作者の特権性」を相対化する力を持っていることを、強く実感しました。
美術館のサイトから一部をコピペします。
大村雪乃(1988-)は、文房具として販売されている丸シールを重ねあわせ、現実と虚構、写実と抽象表現を横断するユニークなアート作品を生み出す注目の美術家です。身近な素材で誰もが楽しめる表現を追求したその作品は、離れた位置から見ると写真のようにリアルに見えますが、近くで見ると1枚1枚シールを貼って描かれていることがわかります。電力を大量消費して生まれる夜景の美しさが、安価な丸シールで再現されているというギャップや、人の手を感じさせない工場生産のシールがイメージさせる都会の景色のよそよそしさなど、美しさの中に含まれる違和感をはらんだ表現は、私たちを刺激してやみません。
2024年6月29日(土)~8月18日(日)午前10時~午後5時、月曜休み(祝日は開館)
釧路市立美術館(釧路市幣舞町、釧路市生涯学習センター)
一般800円、学生無料
□ https://yukino-art.tumblr.com/profile
・都市間高速バス「フィッシャーマンズワーフMOO」前から約710メートル、徒歩9分
・JR釧路駅から約1.5キロ、徒歩19分
・釧路駅前ターミナルから、くしろバス「2 若草団地線(系統の1)」「12 文苑公住線 緑が岡行き」「16 白樺春採ショッピングセンター線」「17 白樺曙団地線」「18 白樺線(千代の浦)」「32 別保線」「53 晴海線」に乗り「三慈会病院」降車、約130メートル、徒歩2分
(この項続く)