「有限会社」と称していますが、そういう会社がほんとうに存在するわけではありません。
版画と染色を教える道都大中島ゼミの学生と卒業生らが、気軽に作品を買ってほしい―という狙いで始めた展覧会。「ナカジテクス」は「ナカジマ」と「テクスタイル」をあわせた造語です。(この文を修正しました)
今回で7回目ですが、だんだん
「この壁面は誰」
というのが固まってきましたね。
あと、これまでにあまりなかったアイテムとして
「靴下」
を出品している人が複数いたのが、今回の特徴といえるかもしれません。
冒頭画像は、ゼミを率いる中島義博さんの「geometric story」。
幾何学的であると同時に、コミックやポップアートに通じるシンプルさを感じます。
そのとなりは「KIRA」名義になっていますが、瀬川綺羅さんでしょう。
靴下やステッカーなどが並んでいます。品々を取り囲むカーテン状の白い布は「オパール加工」を施していて、ところどころを酸で変化させて、透明になっています。すごい。
「これが終わったら浴衣にするんです」
ということなので
「それは、エロティックなのでは」
と、おじさん丸出しの質問をついしてしまったことを反省しています。
ミカミイズミさんのコーナー。
妹さんが手がけたぬいぐるみが超お買い得です。
いつの間にか「ツールマン」も追加されています。
トートバッグなどもたくさんあって、にぎやかな一角です。
森迫暁夫さんは、雑然と自作を並べるのではなく、きちんとコンセプトに沿った作品をそろえてくるあたり、頭が下がります。
今回は「「き」違いもーもー」という、発音だけだとちょっとやばい感じのするタイトルがついていますが、これ、傾けると「もー」と鳴るんですよ。どういう用途があるのかは、聞き漏らしました。
このほか、トートなどもあります。
ナガイユカリさんも充実しています。
とくにクッションを大量に壁にかけていますが、丸型だけでなく、三角形や四角形のものもそろえました。
三角形は「鮮やかなれど無下に散りゆく」、丸は「記憶を追えば 鮮やかな様」、資格は「夜明けは鮮やかすぎて」と、それぞれ題がついています。
あと、ハンカチも種類が豊富で、各所にせりふが明朝体で入っているのが、かっこいいです。「太陽」とか。
ほかにも、「くま牧場」のCMを連想させてしまう橘内美貴子さんの布など、さまざまです。
工藤悠さんは、めずらしく、がまぐちがありませんでしたが、週末に追加されるのではないかとのこと。
日によって、出品されているものが異なるので、複数回足を運んでも楽しいのが「ナカジテクス」の特徴かもしれません。
Twitterにも写真を上げておきましたので、ご覧ください。
ただ、あえて少し厳しいことをいうと、これまで中島ゼミはたくさんの作り手を輩出していますが、ポップからシリアス、抽象からフォービスムまで、どの作家も互いに似ておらず、個性的なのが、ある種の驚異でありました。しかし今回は、先輩の作品に酷似した作風の若手が散見されました。さすがにゼミの歴史も長くなり、まったく新しい作風を打ち出すのはだんだん難しくなってきているのかもしれませんし、若いうちはどんどんまねをするのも悪くはないと思うのですが、今後はおいおい個性を前面に出していってもらいたいと、切に願います。
2016年4月26日(火)~5月1日(日)午前10:30~午後6:30(最終日~午後5時)
さいとうギャラリー(札幌市中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)
関連記事へのリンク
■2016年4月29日のツイート(画像4枚)
■第5回有限会社ナカジテクス (2014)
■第1回の写真
コンセプトが素晴らしいと思います。