もっぱら、画廊喫茶チャオでグループ展に参加し、個展も1度開催しているとのこと。
先日、チャオで開かれた「パンドラスプリング」展の取りまとめも担当していたそうです。
今回はアクリル画と、その下図のドローイングを展示しています。
冒頭画像は、お店に入ってすぐ左側の壁に飾ってあった「After God has slept」。
霧の中、荒涼とした土地を、1匹のオオカミが歩いていきます。
「霧が濃くて暗い絵だという人もいれば、だんだん霧が晴れていく情景だという人もいます。絵は自由に見てほしい。題名を英語にしているのもそのためで、日本語で題をつけると、どうしてもそれに見方がしばられてしまう」
と高橋さん。
わりとコムツカシイことを書くことの多い筆者ですが、こういう絵は、理屈抜きで見て、じゅうぶん良いなあと思います。
白い霧は、胡粉ジェソという、もともと日本画で用いる画材を使っています。
下地をつくるのが主な役割だと思いますが、とくべつに絵に凹凸がついているわけではありません。
オレンジや青、藍など、さまざまな色が、白と自然に響き合っています。
オオカミはどこに向かっているのか。ここはどういう地帯なのか。
いろいろ、想像力が働く絵の世界です。
個展タイトルにもなっている「Subjective observation」。3枚で1点です。
書き忘れましたが、支持体はいずれも板です。
これらの作品には、下書きのドローイングもいっしょに展示されています。
筆者ぐらいの世代だと、いったん下書きを描いてから、またキャンバスや紙に一からおなじものを描くと思いますが、高橋さんは、下書きをスキャンして出力して絵に利用しているとのこと。この手法を使うと、同じ岩を、複数の画面に使うことが可能になります。
右の作品は「Lamb on the rock」。
現実にはありえないような形状の岩山のいただきに、羊が立っています。
「どうやって上ったんでしょうか」
「みなさん、それおっしゃいます。降りられるんだろうか、とか」
と高橋さん。
これまた、シンプルな構図ながら、物語性をはらんだ作品だと思います。
オオカミと羊というのは、対照的に言及されることが多いですが、今回おなじ会場に並んでいるのは偶然とのこと。
羊から聖書を、オオカミからジャック・ロンドンなどを連想するのは、いささか文学的な見方にすぎるのかもしれませんが、見るのは自由ですよね。
ほかに、「PANDORA Sattelite of the Saturn」の三部作。
このうち「パンドラ・スプリング」展には2点を出品していました。
「A Portrait」「Queen's dress with her breath」「Contact Position 1」「Contact Position 2」も出品。
高橋弘子さんは札幌高専を卒業後、首都圏で働き、札幌に戻ってきたそうです。
6月には、カフェエスキスで個展を予定しているので、今回見逃した方は、ぜひどうぞ。
2015年4月17日(金)~29日(水)午前11時(土日は正午)~午後10時(日曜は午後6時、最終日は午後5時ごろから搬出)、19日休み
画廊喫茶チャオ(札幌市北区北24西4 サンレーブビル3階 https://www.facebook.com/ciaocafe1993)
・地下鉄南北線、北24条駅からすぐ
・中央バス「北24条西5丁目」から約190メートル、徒歩3分