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知床自然センターから「森づくりの道」を、クマの気配におびえながら歩いてみた。/2021年10月10日その12

2021年11月13日 10時09分51秒 | つれづれ写真録
(承前)

 オホーツク管内斜里町の知床自然センターそその周辺では10月1日から10日まで「知床サスティナブルウイーク」( https://sustainablefes.shiretoko.or.jp/art )が開かれ、トークや、トレッキングツアーなど、さまざまな催しが展開されていました。

 アートのプログラムも多数ありました。
 前項の2人展「RIMSE」と、さっぽろアートビーンズ「自然のトルク」もそのひとつです。

 
 リンク先には、次のアートプログラムも記されています。

 ■JVCケンウッド・デザイン「感性の森 2021~#SHIRETOKO」Online配信 (10月1~10日)

 ■加々見 太地「しれとこ・森のポイエーシス」

 ■Muranishenko サンドアートパフォーマンス (10月1日)

 ■森のブックカフェ by 流氷文庫シリエトク (10月3日)

 このうち、終了期限を設けず展示することになっていたのが、加々見さんの作品です。

 加々見太地さんは東京藝大の彫刻研究科を修了した若手作家。

 会場は、同センターから続く「森づくりの道・開拓小屋コース」の先のほうのようです。

 センター内の略地図では位置関係や距離がいまひとつわかりにくいのですが、とりあえず、行ってみることにしました。
 個人的には、センターからそれほど離れていない「フレペの滝」などにも行ってみたいのですが、この際、アートです。

 道路を渡って、コースに足を踏み入れるなり、早くも後悔の念がきざしました。

 クマがいそうな、ヤバそうな雰囲気に満ちている…。 




 
 「知床サスティナブルウイーク」のサイトには、次のように書いてありました。

知床の森づくり「しれとこ100平方メートル運動」と「彫刻家・加々見太地」による、自然とアートのコラボレーションプロジェクト。森づくりの過程で生じるアカエゾマツの間伐材を用いて、加々見太地が彫刻作品の現地制作と野外展示をおこないます。

タイトルの「ポイエーシス」とは「創造」や「制作」を意味するギリシャ語で、自然そのものが内包する豊かさを、人びとの創作を通じて取り出し、形にあらわす行為と捉えられます。

間伐材がアート作品として立ちあらわれ、歳月と共に森に還元されていく過程を含めた常設展示とすることで、知床における自然と人の豊かな関係性を提示するプロジェクトです。






 ただ、わりと近くを知床横断道路が通っていて、車の音が時折聞こえてくるのが救いです。

 コースの途中、知床横断道路を横切るところもあります。
 道路を渡ってすぐのところに、かつての開拓小屋が残されていました。
 戦後、こんなところにまで入植した人がいたんですね。

 秋も深くなり、虫はほとんどおらず、鳥の鳴き声もしません。
 わざと落ち葉の中を歩いて音をたてるなどして、クマを警戒しながら前へと進みます。

 コースの入り口で、戻ってきた2人連れとすれ違ったほかは、だれひとりとして人間の姿はありません。
 万一クマに襲われたら、しばらく発見されなさそうです。









 というわけで、帰りのバスの時間も心配になってきたし、ますますクマが怖いので、やむを得なく引き返すことにしました。

 仕方ない。
 こういうときは、引き返すことが、勇気のあかしなんだ。

 ふんの跡があるとか、なにか動くものの影があるとか、具体的な根拠があったわけではないのですが、出会ってしまったときにはもう遅いのです。

 紅葉は西日に照らされて、きらきらと美しく輝いています。
 クマの心配さえ無ければ、楽しい山道でした。


 作品「森のポイエーシス」は常設展示とされています。
 機会があったら、おおぜいでにぎやかに山歩きをしながら再チャレンジしたいです。
 おそらく、日本でも屈指の「到達困難なアート作品」でしょうから、そういうチャンスが巡ってくるかどうかわかりませんが…





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