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■網走市立美術館の常設展で木村捷司の絵を見た

2011年01月11日 11時11分11秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(1月13日、文章の一部を手直ししました)

 網走市立美術館の常設展は、折に触れて作品の入れ替えがなされている。

 同館を代表する所蔵品である、居串佳一の絵画は、じつは2010年度は展示されていない。
 これは、ことし2011年9月から、居串の生誕100周年を記念する展覧会を開く予定であり、彼の作品を詳しく調査しているためである。

 居串佳一(1911~55)は、野付牛村(現北見市)生まれの画家で、全道展の創立会員。道立近代美術館に代表作「朝霧(北方)」が収蔵されている。国立近代美術館にも所蔵作があるそうだ。

 2011年1月現在、常設展のメーンとなっているのは、木村捷司(1905~91)の絵画である。
 バラを描いた静物画などは見たことがあるが、木村の絵をまとめて見るのは、これがはじめてだ。

 木村は函館生まれ。医学を学ぶため北大の予科に進むが中退し、上京して東京美術学校(現東京藝大)で西洋画を学ぶ。
 展示室内にある説明によれば、北海道開拓記念館にある大壁画が、彼の手になるものらしいので、今度行ったときには注意してみる。

 また、渡島管内七飯町には木村捷司記念室があるが、筆者はまだ訪れる機会を得ていない。

 彼の絵は、オーソドックスな、黒田清輝以来の日本的アカデミスムとでもいうべき画風である。
 戦前はサハリンにおもむき、北方民族の生活を描いており、今回、「網を繕うギリヤーク」「ギリヤークの老婆」といった、落ち着いた筆遣いの絵が並んでいた。

 思わずハッとしたのは、「シャーマンのつどい」の前に立ったとき。
 薄暗がりの室内で車座にすわる人々を描いているのだが、これが、師匠・和田英作に似ている作品があったような気がしたからだ。

 2階展示室には、遠藤彰子、松樹路人、羽生輝といった画家の絵が展示されていた。

 網走市立美術館の面白いところは、地元に偏りすぎず、オホーツク地方と関係のない画家の個展を数多く企画していること。
 開会中の中川裕孝展もそうだ。
 札幌からだと遠いのが難点だが、流氷などの観光と組み合わせた場合、北海道に住んでいて網走に来ない手はないと思うのだ。


(最後の画像は、美術館の前にあった灰皿.「日本専売公社」というのが時代を感じさせる)



・JR網走駅から1.2キロ、徒歩16分
・網走バスターミナルから330メートル、徒歩5分


(投稿時間はフィクションです)


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
流氷・・・。 (怜な)
2011-01-11 19:26:26
美術館と流氷の組み合わせ、いいですね。
一度は、網走に行きたいと思っています。

2007年、輪島進一展の時に撮影された、
網走の夜景(夕方?)は本当に素晴らしいですね。
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流氷はまだ先ですが (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2011-01-12 23:45:04
2007年の12月に撮った写真は、これですね。

http://blog.goo.ne.jp/h-art_2005/e/c45590b949b982458f7a566bb62629d1

自分でも気に入ってる1枚です。

こうやって考えると、12月後半って、あわただしささえクリアできてれば、旅には悪くないかも。
1月はちょっと寒すぎます(苦笑)。

流氷が来てる2月、3月がいいのかな。
でもいつ接岸するかは、神様しか知りません。
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