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■鈴木隆展 (2023年2月8~20日) 帯広・冬の旅(5)

2023年03月08日 21時30分00秒 | 展覧会の紹介-現代美術
(承前)

 前回の記事から間隔が開いてしまったので、先を急ごう。
 前述したとおり「popke 地域活動拠点ポプケ・galleryしらかば通り美術館」では、十勝や札幌、旭川の現代アート作家らによる連続展覧会を開いており、帯広の南隣、中札内村に住む鈴木隆さんの個展が、日程の最後を飾っていた。

 鈴木さんはドイツの美術大学で学び、素朴な木彫を出品することが多いが、コンセプチュアルな作品を手がけることもあり、次に何を出してくるか、良い意味で予想を裏切る作家だ。

 今回は、2018年の「帯広コンテンポラリー 河口」の続きともいえる作品。
 塩を置いて鉄板がさびるのを促進させたのだ。
 
 
 シンプルながら、いろいろ考えさせられるのは、鈴木さんが
「装置を作ったけど、あとは見させてもらっているだけなんですね。自分は何もしてない」
というところ。
 透明なアクリル板のような装置に詰めた塩が、少しずつしみ出てくる。

 個展の会期中にも、さびた鉄片がばらばらと床に落ちて、始まったときと会期末では作品の様相が異なる。

 「何もしていない」というのは一種の謙遜だろうけど、放射状にさびを広げている真の作者は
「時間」
なのかもしれない。
 
 鈴木さんやわたしたちが年老いても、さびは広がり続けるから。
 もう作者の意図は関係ないのだ。

 同じ方法論による平面作品も並んでいた。


2023年2月8日(水)~20日(月)
popke 地域活動拠点ポプケ・galleryしらかば通り美術館 (帯広市西21南2ー26)

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鈴木隆展 (2019)

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