札幌で長く美術展の企画やオルタナティブスペースの運営に携わってきた中森敏夫さんが3月25日深夜亡くなったそうです。
正確な年齢が分かりません。確か1946年生まれです。
この3カ月ほど入院していたそうですが、体調はかなり前から悪そうだったと記憶しています。筆者は札幌に戻ってきてから一度も話をしていませんでした。
もともと札幌の中心部(現在のpivot)で営んでいた「中森花器店」を親から引き継いだと聞いています。
筆者が知ったときはすでに円山北町(中央区北4西27)に2階建ての店舗を営んでおり、2階では陶芸やガラスの展覧会を時々開いていました。
その南隣に、平屋の小屋があって、花器店からは室内のドアで行き来できました。その小屋が「temporary space」です。
吉田豪介著「北海道の美術史」によると、中森さんがアートにかかわったきっかけは、1983年、いまや世界的作家の川俣正がまだ若い時分、近くの民家を角材で覆う大規模なインスタレーション(仮設展示)「TETRA-HOUSE」をバックアップしたのが最初だそうです。
同著から引きます。
漢数字は洋数字に直し、ルビをふりました。
参加した顔ぶれを見ると、すごいな~としかいいようがありません。
ちなみに詩人は吉増剛造だろうし、日本を代表する舞踏家、大野一雄も関係しているはずです。
temporary space も、岡部、戸谷のほか一原有徳、インドネシアのメラ・ジャルスマなど、さまざまな展覧会を企画しました。
特筆すべきなのは、当初はカラーの図録を毎回制作していたこと。展覧会を開くたびに大赤字だったはずですが、意に介する様子がありませんでした。
こういうどんぶり勘定の経営がたたったのだと思いますが、花器店とテンポラリースペースは2006年1月末に立ち退くことになりました。
同年春に、現在地で再開したのが、きのう26日まで秋元さなえ展が開かれていた現テンポラリースペースです。
古い民家で、壁面は狭くて絵画展示には向いていませんでしたが、2階まで吹き抜けになっていて、はしごで上り下りするというユニークな構造で、それを生かしたインスタレーションなどの展示がたびたび開催されていました。
とりあえず、このブログでとりあげた、テンポラリースペースでの展示を下に挙げておきます。
このスペースが果たした役割や、これまで行われた展示について、あらためて振り返る機会がほしいと感じています。
ご冥福をお祈りします。
※秋元さんの姓が「岡元」と誤っていたのでおわびして訂正します。申しわけありませんでした。(3月28日)
過去の関連記事へのリンク
村岸宏昭展「木は水を運んでいる」(2006年7月18~28日)
■藤谷康晴個展 CONCRETE FICTION (3月9日)
■樫見菜々子 微風(07年5月29日~6月3日)
■村岸宏昭の記録展 (07年8月7~12日)
■木村環作品展“Little Fury Things” (07年8月23日~9月5日)
■石田尚志展 (07年8月28日~9月9日)
■中嶋幸治展「Dam of wind,for the return」 (07年9月25~30日)
■毛利史長・河合利昭 陶二人展「産土不一致」 (07年10月2~12日)
■木村環×藤谷康晴作品展「乱」 (07年12月25~30日 17時からライブペインティング)
■森万喜子展 (08年1月9~20日)
■小林麻美個展「風景が私をみている気がする。」 (08年5月9~15日)
■齋藤周展 おおらかなリズム (2008年6月7日-22日)
■細井護展 水が風景をつくる (08年7月8~17日)
■久野志乃個展「物語の終わりに,」 (2008年7月22日-8月3日)
■アキタヒデキ個展「点と点と展」 (2009年8月9~17日)
■Scenery of cell 細胞の風景 梅田マサノリ個展 (2008年10月1~7日)
■阿部守展「場に立つ」 (2008年10月9~19日)
■M企画「logs/river/city」 (2008年11月4~16日)
■ALGILLN'NE展「モーラ」 (2008年11月18~30日)
■野上裕之展「i」 (2009年2月17日~3月1日)
■佐々木恒雄展「本日ノ庭」 (2009年3月3日~15日)
■佐佐木方斎展「メタレリーフ」 (2009年4月7~17日)
temporary spaceの看板
■川俣正テトラハウス326 アーカイブ展 (2009年5月12~24日)
■中嶋幸治「エンヴェロープの風の鱗」展 (2009年6月23日~7月5日)
■藤倉翼写真個展「つば写」 (2009年9月22日~10月4日)
■森本めぐみ展「くものお」 (2009年12月15-30日・1月5~17日)
■宍戸優香莉展 (2010年3月2日~14日)
■藤谷康晴個展 ANALOG FLIGHT -SAPPORO→- (2010年4月13日~25日)
■交差線 (2010年5月~18日)
■梅田マサノリ展「マニノ・アル・シツナイ」 (2010年5月25日~30日)
■阿部守展 (2010年6月1日~13日)
■阿部守展 (2011年5月20日(金)~6月3日)
【告知】これから下りていこう/齋藤周 (2011年6月11~26日)
■竹本英樹写真展 「意識の素粒子」(2011年8月18日(木)~9月8日)
【告知】藤谷康晴 覚醒庵~ドローイング伽藍~ (2011年9月13~25日)
■森本めぐみ展 (2012年6月6~24日)
【告知】中橋修展 内包-呼応する場- (2012年7月20日~25日)
■吉増剛造展 怪物君(2013年12月14日~14年1月5日)
■佐々木恒雄展 “And Yet” (2014年1月21~26日)
■中嶋幸治展 風とは (2014年9月23日~10月5日)
■メタ佐藤写真展「光景」 (2014年10月7~19日)
■瀬川葉子展「FILE」 (2015年7月21日~8月2日)
■佐佐木方斎展 Hosai's early works (2015年10月6日~18日)
■森本めぐみ展「百年の予定」 (2016年12月30日~17年1月3日)
中嶋幸治 芸術記録誌「分母」vol.2 特集メタ佐藤 −包み直される風景と呼び水− (2017年3月3、4日)
■吉増剛造展「火ノ刺繍乃る=道」 (2017年5月16~28日)
■鈴木余位 / 村上仁美展「ふたたび 花 傍らに」 (2018年2月27日~3月11日)
■チQ展「NMAMDB」展 (2018年7月10~15日)
■齋藤周個展「継ぎ」 (2018年8月15~26日)
■田村佳津子個展「ふわふわとひらひらと」(2018年10月23~28日)
訳詞家高野圭吾の世界」展
■野上裕之展「雲間にて」(2018年12月27日~2019年1月5日)
■Tsuneo Sasaki Exhibition -signs- (2019年1月15~20日)
■谷口顕一郎 彫刻スタジオ個展 凹みスタディ #44 (2021年12月11~19日)
紺屋 纏祝堂 個展「群青のイデア」
佐佐木方斎展
■齋藤周個展「契機のあとに」 (2022年12月3~11日)
正確な年齢が分かりません。確か1946年生まれです。
この3カ月ほど入院していたそうですが、体調はかなり前から悪そうだったと記憶しています。筆者は札幌に戻ってきてから一度も話をしていませんでした。
もともと札幌の中心部(現在のpivot)で営んでいた「中森花器店」を親から引き継いだと聞いています。
筆者が知ったときはすでに円山北町(中央区北4西27)に2階建ての店舗を営んでおり、2階では陶芸やガラスの展覧会を時々開いていました。
その南隣に、平屋の小屋があって、花器店からは室内のドアで行き来できました。その小屋が「temporary space」です。
吉田豪介著「北海道の美術史」によると、中森さんがアートにかかわったきっかけは、1983年、いまや世界的作家の川俣正がまだ若い時分、近くの民家を角材で覆う大規模なインスタレーション(仮設展示)「TETRA-HOUSE」をバックアップしたのが最初だそうです。
同著から引きます。
その彼がプロデュースした企画では「界川游行」が最大規模のものであろう。
「アート・イベント・イン・サッポロ 1989 界川游行」は、札幌市の円山地区をかつて流れていた川で、いまは暗渠となって地下に潜った界川の記憶と原風景をよみがえらせるイベントで、1989(平成1)年10月1日からほぼ1か月の期間で実施されたものである。美術家としては岡部昌生、阿部典英、楢原武正、戸谷成雄、保科豊巳、国安孝昌ら8名、それに詩人と音楽家、さらに生け花作家などが加わり、合計200点の作品で約1キロの川の跡を仮構するものである。(中略)現代美術の行為が日常の社会構造の中で、どう関わり、どんな意味を持つか、このコンセプトはお祭り気分の側面で、芸術の存在理由に向けて垂直に切り込む問題意識を感じさせるものだといえる。
漢数字は洋数字に直し、ルビをふりました。
参加した顔ぶれを見ると、すごいな~としかいいようがありません。
ちなみに詩人は吉増剛造だろうし、日本を代表する舞踏家、大野一雄も関係しているはずです。
temporary space も、岡部、戸谷のほか一原有徳、インドネシアのメラ・ジャルスマなど、さまざまな展覧会を企画しました。
特筆すべきなのは、当初はカラーの図録を毎回制作していたこと。展覧会を開くたびに大赤字だったはずですが、意に介する様子がありませんでした。
こういうどんぶり勘定の経営がたたったのだと思いますが、花器店とテンポラリースペースは2006年1月末に立ち退くことになりました。
同年春に、現在地で再開したのが、きのう26日まで秋元さなえ展が開かれていた現テンポラリースペースです。
古い民家で、壁面は狭くて絵画展示には向いていませんでしたが、2階まで吹き抜けになっていて、はしごで上り下りするというユニークな構造で、それを生かしたインスタレーションなどの展示がたびたび開催されていました。
とりあえず、このブログでとりあげた、テンポラリースペースでの展示を下に挙げておきます。
このスペースが果たした役割や、これまで行われた展示について、あらためて振り返る機会がほしいと感じています。
ご冥福をお祈りします。
※秋元さんの姓が「岡元」と誤っていたのでおわびして訂正します。申しわけありませんでした。(3月28日)
過去の関連記事へのリンク
村岸宏昭展「木は水を運んでいる」(2006年7月18~28日)
■藤谷康晴個展 CONCRETE FICTION (3月9日)
■樫見菜々子 微風(07年5月29日~6月3日)
■村岸宏昭の記録展 (07年8月7~12日)
■木村環作品展“Little Fury Things” (07年8月23日~9月5日)
■石田尚志展 (07年8月28日~9月9日)
■中嶋幸治展「Dam of wind,for the return」 (07年9月25~30日)
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■木村環×藤谷康晴作品展「乱」 (07年12月25~30日 17時からライブペインティング)
■森万喜子展 (08年1月9~20日)
■小林麻美個展「風景が私をみている気がする。」 (08年5月9~15日)
■齋藤周展 おおらかなリズム (2008年6月7日-22日)
■細井護展 水が風景をつくる (08年7月8~17日)
■久野志乃個展「物語の終わりに,」 (2008年7月22日-8月3日)
■アキタヒデキ個展「点と点と展」 (2009年8月9~17日)
■Scenery of cell 細胞の風景 梅田マサノリ個展 (2008年10月1~7日)
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■野上裕之展「i」 (2009年2月17日~3月1日)
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■佐佐木方斎展「メタレリーフ」 (2009年4月7~17日)
temporary spaceの看板
■川俣正テトラハウス326 アーカイブ展 (2009年5月12~24日)
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■藤谷康晴個展 ANALOG FLIGHT -SAPPORO→- (2010年4月13日~25日)
■交差線 (2010年5月~18日)
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■阿部守展 (2010年6月1日~13日)
■阿部守展 (2011年5月20日(金)~6月3日)
【告知】これから下りていこう/齋藤周 (2011年6月11~26日)
■竹本英樹写真展 「意識の素粒子」(2011年8月18日(木)~9月8日)
【告知】藤谷康晴 覚醒庵~ドローイング伽藍~ (2011年9月13~25日)
■森本めぐみ展 (2012年6月6~24日)
【告知】中橋修展 内包-呼応する場- (2012年7月20日~25日)
■吉増剛造展 怪物君(2013年12月14日~14年1月5日)
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■チQ展「NMAMDB」展 (2018年7月10~15日)
■齋藤周個展「継ぎ」 (2018年8月15~26日)
■田村佳津子個展「ふわふわとひらひらと」(2018年10月23~28日)
訳詞家高野圭吾の世界」展
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■Tsuneo Sasaki Exhibition -signs- (2019年1月15~20日)
■谷口顕一郎 彫刻スタジオ個展 凹みスタディ #44 (2021年12月11~19日)
紺屋 纏祝堂 個展「群青のイデア」
佐佐木方斎展
■齋藤周個展「契機のあとに」 (2022年12月3~11日)