毎年春にひらかれている「札幌美術展」は、2001年までは、札幌で活動する主要な作家を網羅した「ベスト・オブ・札幌」的な性格の強い展覧会でしたが、02年に大きくスタイルが変わり、学芸員や評論家が少数の作家を推薦する形式になりました。いきおい、尖端的な表現が多くなり、旧来の絵画などは締め出される格好になったのですが、この方式はわずか3年間しかつづかず、昨年からは「札幌を彩る作家たち」と題して、間口をもうすこし広げ、絵画、彫刻、工芸などの作家約30人のほか、物故作家も交えた顔ぶれになっています。
ただ、昨年からどうしてこういう形式になり、いまはだれが作家を選定しているのか、まったくわからないんですよ。べつに、どうしても公開しなくちゃならないもんでもないけど、そこがものたりない。
たとえば、あの3年間はたしかに、いわゆる「現代美術」系の作家が多くなったのだけれど、その反動なのか、昨年とことしは、ひとりもえらばれていません。それは、やっぱりちょっと極端なんじゃないか。また、その3年間もかならず展示されていた書道が、昨年からゼロになっていますが、この理由もわからない。
札幌美術展の書道ってけっこうすきだったんですよ。一定の水準の作品を広々とした会場で見られる機会って、ほかにあまりないから。
それと、写真がゼロにもどってしまった。これまで写真は、札幌市写真ライブラリーの別企画で写真家をえらんでいましたが、その企画を担っていた会社がなくなってしまいました。愛好家が多い分野だけに、はたして蚊帳の外に置いたままでいいのか。課題ではあると思います。
展覧会そのものについて云うと、出品者をかりに分野にわけてみると、つぎのとおり。
絵画:會田千夏、川畑摩沙子、岸本裕躬、斉藤嗣火(つぐほ)、櫻井マチ子、佐藤武、竹岡羊子、谷口一芳、波田浩司、平向功一(日本画)、廣澤正俊、福島靖代、藤田恵、細木博子、山川彩子、吉井光子、渡會純价
彫刻:浅井憲一
工芸:片平隆行、櫻田真理、下村好子、土屋秀樹、中村照子、橋本紀比古、簑島一成、巳亦敬一、渡辺信
版画:金沢一彦、小林大、三島英嗣
物故作家:阿部国利、亀山良雄、木路毛五郎、国松登(すべて絵画)
というわけで絵画が多いですね。
絵画は、どこかで見たことのある作品が大半。
筆者はしばらく札幌を空けていたのに、そう感じるんですから。
新しい作品をそろえてきたのは、川畑摩沙子さんと斉藤嗣火さん。
斉藤さんは裸婦の背後に巨大なフクロウが赤い目を光らせているのがおもしろい。風景と組み合わせた作品があるのもめずらしく感じました。
若手の山川さんの「碧」も、これまでの色彩爆発といった作風から一点、青系統にしぼっていて、あらたな展開を感じます。
岸本さんは、以前はペーソスを漂わせた人物画という印象があったのですが、今回の「菌類湿原」などは、さまざまなかたちの色斑が画面で暴発しているようで、むしろ若返ったというか、激しい作品になっています。
渡會さんが、3点ともアクリルの大作で、版画ではないというのもめずらしいかも。このうち「樹景」は、以前「木の城たいせつ」の本社で見ました。いずれも、オーケストラが題材で、版画でもアクリルでも、雰囲気はあまりかわりません。
工芸のほうが新鮮。片平、下村の両氏は、公募展に所属していないこともあり、ほとんど初見です。
片平さんはオーガンジーのような薄い絹をつかい、はかなさと構築性を両立させたようなユニークな作品だと思いました。
土屋さんのあかりは、美工展などで何度か拝見していますが、あらためて薄暗い会場で見ると美しい。落ち葉や雪の結晶のかたちの木片をおびただしく組み合わせた労作です。
中村さんのトルコ青の陶器も美しいです。白化粧をほどこした家型の「帰り道」には、郷愁のようなものを感じます。
美しいといえば、今回ただひとりのガラスの出品者となった巳亦さんの皿3枚も美しい。2枚の皿を蒸着させたようなかたちをしているのですが、繊細さと強さを併せ持っているかのようでした。
というわけで、あたらしい作品を見たい人には、ちょっと割高な展覧会かもしれません。
札幌美術展2006 札幌を彩る作家たちII 幻想の刻(とき)永遠の夢
3月1-12日(月曜休み) 10:00-19:00(入場は18:30まで)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
一般600円、高大生200円、中学生以下・障碍者・65歳以上無料
ただ、昨年からどうしてこういう形式になり、いまはだれが作家を選定しているのか、まったくわからないんですよ。べつに、どうしても公開しなくちゃならないもんでもないけど、そこがものたりない。
たとえば、あの3年間はたしかに、いわゆる「現代美術」系の作家が多くなったのだけれど、その反動なのか、昨年とことしは、ひとりもえらばれていません。それは、やっぱりちょっと極端なんじゃないか。また、その3年間もかならず展示されていた書道が、昨年からゼロになっていますが、この理由もわからない。
札幌美術展の書道ってけっこうすきだったんですよ。一定の水準の作品を広々とした会場で見られる機会って、ほかにあまりないから。
それと、写真がゼロにもどってしまった。これまで写真は、札幌市写真ライブラリーの別企画で写真家をえらんでいましたが、その企画を担っていた会社がなくなってしまいました。愛好家が多い分野だけに、はたして蚊帳の外に置いたままでいいのか。課題ではあると思います。
展覧会そのものについて云うと、出品者をかりに分野にわけてみると、つぎのとおり。
絵画:會田千夏、川畑摩沙子、岸本裕躬、斉藤嗣火(つぐほ)、櫻井マチ子、佐藤武、竹岡羊子、谷口一芳、波田浩司、平向功一(日本画)、廣澤正俊、福島靖代、藤田恵、細木博子、山川彩子、吉井光子、渡會純价
彫刻:浅井憲一
工芸:片平隆行、櫻田真理、下村好子、土屋秀樹、中村照子、橋本紀比古、簑島一成、巳亦敬一、渡辺信
版画:金沢一彦、小林大、三島英嗣
物故作家:阿部国利、亀山良雄、木路毛五郎、国松登(すべて絵画)
というわけで絵画が多いですね。
絵画は、どこかで見たことのある作品が大半。
筆者はしばらく札幌を空けていたのに、そう感じるんですから。
新しい作品をそろえてきたのは、川畑摩沙子さんと斉藤嗣火さん。
斉藤さんは裸婦の背後に巨大なフクロウが赤い目を光らせているのがおもしろい。風景と組み合わせた作品があるのもめずらしく感じました。
若手の山川さんの「碧」も、これまでの色彩爆発といった作風から一点、青系統にしぼっていて、あらたな展開を感じます。
岸本さんは、以前はペーソスを漂わせた人物画という印象があったのですが、今回の「菌類湿原」などは、さまざまなかたちの色斑が画面で暴発しているようで、むしろ若返ったというか、激しい作品になっています。
渡會さんが、3点ともアクリルの大作で、版画ではないというのもめずらしいかも。このうち「樹景」は、以前「木の城たいせつ」の本社で見ました。いずれも、オーケストラが題材で、版画でもアクリルでも、雰囲気はあまりかわりません。
工芸のほうが新鮮。片平、下村の両氏は、公募展に所属していないこともあり、ほとんど初見です。
片平さんはオーガンジーのような薄い絹をつかい、はかなさと構築性を両立させたようなユニークな作品だと思いました。
土屋さんのあかりは、美工展などで何度か拝見していますが、あらためて薄暗い会場で見ると美しい。落ち葉や雪の結晶のかたちの木片をおびただしく組み合わせた労作です。
中村さんのトルコ青の陶器も美しいです。白化粧をほどこした家型の「帰り道」には、郷愁のようなものを感じます。
美しいといえば、今回ただひとりのガラスの出品者となった巳亦さんの皿3枚も美しい。2枚の皿を蒸着させたようなかたちをしているのですが、繊細さと強さを併せ持っているかのようでした。
というわけで、あたらしい作品を見たい人には、ちょっと割高な展覧会かもしれません。
札幌美術展2006 札幌を彩る作家たちII 幻想の刻(とき)永遠の夢
3月1-12日(月曜休み) 10:00-19:00(入場は18:30まで)
札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)
一般600円、高大生200円、中学生以下・障碍者・65歳以上無料
なんか、もう一工夫という気がしますね。
私はmixi経由ではありませんが、とりあえず文字化けは見かけたことがありませんよ。
gooどうしだとだいじょうぶなのかもしれません。
>S-Toshiさん
メールどうもありがとうございました。
さて、どうしたものか…
今日になって直っております。なんか、ちょしましたか?(北海道弁)
ま、ちゃんと読めるなら、いいことなんですけどね。
エントリーの数が多くてすいません。