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ニキータ・カダン「別の場所から来たもの」●大地の芸術祭2024への旅(12)

2024年10月16日 06時58分00秒 | 越後妻有・大地の芸術祭2006/2024
(承前)
 半月ぶりにシリーズ再開です。

 信濃川や支流の清津川は幾段もの河岸段丘を作りながら流れており、その段差を超えるときにはカーブが連なる急坂を通らなくてはなりません。
 そういう複雑な道を下って、信濃川の本流まで来ると、これまでの中里エリアではなく津南エリア内でありながら、割合近くに野外設置の新作があることを知りました。

 東京電力信濃川発電所連絡水槽にある、ウクライナの作家ニキータ・カダンによる新作、M088「別の場所から来たもの」です。

 カーナビゲーションに従って、信濃川をわたり、国道を上っていきます。
 右岸に比べると左岸は平地に乏しいです。
 近くに信濃鹿渡という駅がありますが、シカや動物が通るような狭い谷間ということなのでしょう。
 

 さて、駐車場に車を入れると、目の前に巨大な円筒形の構築物が現れました。

 トヤ沢砂防えん堤といい、水害対応の緊急工事のようです。

 谷間に出現した物体の存在感に、これも現代アートかと思ってしまいました。
 
 
 実際の作品は、国道の反対側にあります。
 設置されている発電所は、遠目にも見えます。

 まるで工事現場にありそうな、仮設の急階段を下り、現地へと歩いていきます。
 
 それにしても「大地の芸術祭」の道案内は黄色と黒でデザインが統一されて、ほんとうに見やすい。
 遠くから、クルマを運転しながらでも、一瞬でそれとわかります。
 まさにデザインの仕事です。
 





 以下、ネタバレになってしまいますが、遠くからでも見えるのは、2点組みのうち片方だけで、近づいて見ると両方が目に入ってきます。
 


 発電所のコンクリートの存在感がものすごいので、アーティストも、素材とか形状にはずいぶん頭を悩ませたのではないかと想像します。
 
 
 公式ガイドブックには次のように書かれています。

ヴェネチア・ビエンナーレなどの国際展にも参加歴の多い、ウクライナの現代美術シーンを担う作家のオブジェ作品。鏡面仕上げの金属でつくられる本作は、子どもの遊ぶ公園をイメージしている。けれど、離れた場所からしか見ることのできない「入ることのできない公園」であるという。それは、手の届かない幸福な空間であり、同時に、過ぎ去った幼年時代を想起させる場でもある。
 



(この項続く) 


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