NECCO (ネッコ)は、札幌を拠点に活動するユニークなパフォーマンスとアートのユニット、近未来美術研究所(略してキンビ。笑)のアラキヨシキヨさんが、電車通り沿いの高層住宅の一室で運営しているスペース。2011年に始まりました。
「アングラ、サブカルの発信基地」を掲げており、いろんな講座や、ビブリオバトルが開かれています。時には展覧会も企画され、ギャラリーとして使われています。
おもしろいと思うのは、今回出品した人や、あるいは、NECCOで開かれた関節球体人形展(月内に第2回が開催されます)に出品した人たちって、以前から、創作・発表していたと思うのですが、筆者のアンテナにはほとんど引っかかってこなかったんですよね。別に、筆者の資質に問題があるとか、そういうことを言いたいのではなくて、美術館や、時計台ギャラリー、スカイホール、CAI02といったギャラリーで発表したり、フライヤー(ちらし、案内状)を置かせてもらったり、といったことがなかったら、そもそもアート畑の人には認知してもらえる確率はぐんと低くなるわけです。だから、たとえ活発なシーンが存在していたとしても、それが他の絵画や現代美術とクロスする場面というのは、ほとんどなかったといえそうです。
ところが、こうしてそれっぽいハコが誕生すると、これまでアート畑の視野に入ってこなかった作者や作家が、急に視野に入ってくるようになるのです。しかも、これがけっこうおもしろかったりする。美術史の流れとはあまり関係なしで創作されたものであったとしても、です。
このあたりの事情は、絵画が減って映像やインスタレーションが増えていた現代美術の世界で、pixivが急浮上してきて、それまでの美術史がなんだかよくわからないことになってしまったのと、いくらか似ているように思えます。
さて、今回の企画「森で出くわしたくないもの展」にも、よく知らない作家を含む計20人が、楽しい作品を出していました。
冒頭画像、左側の「むし」は、フェルト製。
フェルトの人形というと、ふつうはやわらかな風合いを生かしたかわいらしいものが多いと思うのですが、これは不気味です。
伍七さんの作品です。
このそばにあった長谷川常夜さんの人形も、相変わらず怖かった。
ことばでは説明できない「怖さ」を表現しえていたと思うのが、「猫と羊」さんによる絵「●●●●●●」。
直線で区切られた四角の枠の中に単色で描かれているところは、マンガと似ていますが、ストーリーやキャラクターが明確でないところは異なります。ひとつひとつの枠の中は、人物や動物の顔などが描かれているのですが、底知れない恐怖感が伝わってくるのです。
タカダヨウさんの絵画の部分。
これも、怖いです。
飴屋吉丸さんの人面犬などの絵。
スマホでバーコードを読み取ると、映像がスタートするというコガラさんの作品もありました。
これは、「森ででくわしたくないもの」が何かを書いたスケッチブックを、男性が手にしているという映像が、えんえんと続くというもの。
「デヴィ夫人」とか、虫とか、「そりゃ森で会いたくねーけど、別に森じゃなくてもどこでもやだよな」と思わせるものが続き、ちょっぴり飽きかけたとき、目に飛び込んできた文字が
社長
いやあ、これは一本とられた!
社内や街角で社長に会っても、さわやかにあいさつすればいいわけですが、森で会ったら…。
ウチの会社、ヤバイんじゃね? と、背筋が冷たくなります。
ほか、画面をスライドさせて読むemchakaさんの作品も、恐怖でした。
というわけで、会場でいろいろ教えてくださったアラキさんと伍七さん、ありがとうございます。
会場は、かなりの来客者でにぎわっていました。
2014年 3月20日(木)~26日(水)午後7時~11時 (23日だけは午後1~7時)
Sapporo Underground NECCO (札幌市中央区南1西12 AMSビル4階)
□ http://morideku.tumblr.com/