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「6回目」と某新聞にあったが、第5回は昨年ソウルでの開催だったので、道内では5度目。最初の2回は札幌のギャラリーで開かれており、キンビ(道立近代美術館)を会場とするのは3年ぶり3度目。
いまや道内を代表する現代アートのグループ展と呼んでさしつかえないだろう。
もうひとつの特徴は、なんといっても韓国との共同展という国際性。過去には、ドイツ作家も交えて3カ国ということもあった。
東京の頭越しにソウルの最新のアートが見られるなんて、おもしろい機会じゃないかと思う。
ごくおおざっぱに特徴を述べれば、写真や映像を使った作品が多い韓国勢と、インスタレーションが目立つ道内勢ということになるだろうが、単に輸送費の関係で重量のかさばるものを持ってこられなかったというだけの話かもしれない。
また、道内から武田浩志、山田良、藤沢レオの3人は「水脈」初登場であり、世代交代が着実に行われているのが頼もしい。
一方で、川上りえ、伊藤隆介といった中堅どころが、今回は出品していない。
道内からの作家をここで列挙しておくと、荒井善則、柿崎煕、齋藤周、佐々木けいし、鈴木誠子、鈴木涼子、武田浩志、谷口明志、端聡、藤井忠行、藤木正則、藤沢レオ、藤本和彦、八子直子、山田良の15氏である。
冒頭は、左側が谷口明志さん「無題」。
青いボールペンでぐるぐるぐるって線をかいて紙からはみだした、それのサイズが大きくなった-という軌跡を表現した、とのこと。
いわゆる「絵画」の制約を超えたところで、どんなふうに絵画は成立するのか-という問いがそこにはあるように思う。
右は八子直子さん「三年峠」。
八子さんは母親という立場で絵筆を執っている。
技法的には、単なる平面ではなく、支持体の一部が浮き上がったり、切り取られてほかのところにくっついたり、かなり型破りなのだが、彼女はそのこと自体に主眼があるのではなく、あくまで子育てから得られる日々の気持ちに主眼があるようなのだ。
次は鈴木涼子さん「ANIKORA-DVD」「ANIKORA-kawaii」。
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彼女の「アニコラ」シリーズを最初見たときは衝撃だったが、そうかあれからもう8年もたっているのか。
このシリーズを武器に彼女は、パリフォトに行ったり、中国でアートインレジデンスを行っている(このシリーズだけじゃないけどね)。
首から下は本人以外の画像を貼りつけて合成する「アニコラ」の技法を使っているのだが、あれからネット世界でも急激に動画が滲透しているので、そういうのもやったらおもしろいのになーと、無責任なことを思ったりもする。
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左は武田浩志さん、右は稚内をへていまは岡山県在住の藤木正則さん。
藤木さんの「岡山ウォーク」は、最近よく街角で見かけるキャリーバッグに着目した作品。
バッグの持ち手を長ーく延ばして、都市の中で転がしたら、どんなふうになるだろう? と、実験してみた映像も公開中。
これが爆笑もので、「人と人との関係に着目し、それをちょっとズラしてみる」
という彼の作風らしいものになっている。
画像は、ギャラリートークのときのもの。
武田浩志さんは作品が12点もある。
「adorned island」「神秘の家 God's House」「portrait 24-26」「神殿 Temple」「聖なる山 holy mountain」「necklaces」「此処 this place」「聖なる山」「Flag」「portrait」
旗とかシャンデリヤとか、武田さんの作品も、美術業界的な美意識からどこか「ズレ」を見せている。かっこわるい格好良さというべきか。
「洞爺湖でキャンプしたときに感動した。それを形にしたいと、単純に風景を描きました。高いところに自画像を置いたのが、今後につながるというか、いい決心がついたと思う」
とギャラリートークでは話していたが。
(この項続く。なお、今回の画像はすべて谷口明志さんからいただいたものです)
2009年12月5日(土)-13日(日)9:30-5:00(入場-4:30)月曜休み
道立近代美術館(中央区北1西17 地図D)
一般500円、大学生300円、高校生以下・65歳以上・障がい者手帳持参の人は無料
●ワークショップ=12月6日(日)1:00-3:00
●ギャラリートーク=12月6日3:30-4:30
■2006年のシンポジウム
■2002年の「水脈の肖像」
□Ryoko Suzuki Website http://www.ryokobo.com/
□http://shusaito.com/
□Hiroshi Takeda http://www.azkepanphan.com/
□金属造形家 藤沢レオ official site http://homepage.mac.com/reof/
□Fujiki Masanori http://city.hokkai.or.jp/~fujiki/
□2002年のartscapeでの吉崎元章さんの批評(参考)